今週のドル円 一目の雲のどちらを突破するか?(9/10週)

著者:山口哲也
投稿:2018/09/10 14:22

【先週のドル/円の動向と今週の主要イベント】

今週の主要イベント
先週の米ドル/円(TFX)は小幅続落。111.110で寄り付いた米ドル/円は米国の強い経済指標やイギリスのEU離脱に対するリスク懸念が後退したこと等により週半ばにかけて111.770まで上昇いたしました。週後半になると欧州株の下落や米8月ADP全米雇用報告が弱かったこと、また、トランプ大統領の発言などを受けて円が買われ、110.38まで下落。週末にかけて通商摩擦や新興国通貨安への過度な警戒感が弱まったことや注目されていた米8月雇用統計が強い結果だったことから値を戻し、先週末の終値111.085に比べ6.5銭円高ドル安となる111.020で引けました。
なお、今週の主な経済指標は以下のとおりです。
今週は13日にトルコ、ECB、英国の金融政策決定があります。特にトルコの利上げ幅が市場予想に対して下回る場合は、再度、トルコ売りが加速しやすいものと思われます。
ただ、トルコが仮に大幅な利上げに踏み切ったとしても、既に米国にケンカを売ってしまっている状況となるため、トルコ売りの長期的な流れに変化をもたらすかどうかは疑問です。
また、同じく13日には米国のCPIの発表、また、14日には米国の小売売上高の発表があります。
CPIが市場予想よりも強い場合は米国の利上げ期待が高まりやすく、逆に弱い場合は、利上げ期待が低下します。
また、小売売上高の伸びが高い場合は、米国のGDPの6割は個人消費となるため、強い米経済が確認できますが、逆に低い場合は景気後退懸念が高まります。

【米ドル/円(TFX)週足 チャート】

【米ドル/円(TFX)週足 チャート】
米ドル/円の週足チャートです。
米ドル/円の週足は、先週一時は13週移動平均線(110.961)を下回り52週移動平均線(110.368)まで下落する局面がありましたが、終値ベースでは再度これを上回って引けています。当面は13週移動平均線や52週移動平均線がサポートとして意識されますが、マーケットが極端にリスクオフへ傾いてしまうと、これらを下回る可能性があると見ており、その場合、目先は109.737が目標価格となります。
逆にレジスタンスは112円手前にあり、これを上回ることができるかどうかというところです。

【米ドル/円(TFX)日足 チャート】

【米ドル/円(TFX)日足 チャート】
一方、日足チャートを見ると以下の点から方向感がつかめないトレンドレス(=横ばいトレンド)継続と読み取れます。
1.価格がほぼ一目の雲の中での推移となっております。
2.基準線が下向きで、遅行スパンが日々線より下にあり、価格が転換線を下回っている点は弱気
3.価格が200日移動平均線や基準線を上回っている点は強気
4.ストキャスティクスが下降トレンドとなっている点は弱気
当面は雲の上限、または下限を終値ベースで超えてきた方向にポジションをとりたいところです。

このコメントはテクニカルアナリスト山口の個人的な見解で、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
山口哲也
フジトミ証券株式会社 チーフ・テクニカルアナリスト
配信元: 達人の予想