8月の季節傾向(ドル円・NYダウ)

著者:菊川弘之
投稿:2018/08/03 15:41

8月は円高傾向

 7月31~8月1日の日程で行われた連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、米景気が「強固なペースで拡大」とし、9月利上げの可能性を示唆したことで、利上げ観測が高まっている。FOMC直後のFedウォッチでは、9月の利上げ観測が90%を超え、12月の利上げも65%に近い数字となっている。雇用統計で強気の数字が出れば、利上げ観測の更なる高まりからドル買いと共に、NY金にとっては、もう一段安のリスクはあるだろう。米7月雇用統計の事前予想は非農業部門雇用者数が19.3万人増、失業率は3.9%、平均時給は前月比+0.3%、前年比+2.7%。まずは、事前予想との乖離と発表後の反応が短期的な注目。
 ただ、既に米好景気は110ヶ月目に突入しており、青信号と言うよりも、赤信号(リセッション入り)になる直前の黄色信号の時間帯だと考える。NYダウの月間騰落率を振り返ると、7月は陽線確率も高く、月間騰落率も強気優勢の時間であったが、9月にかけては反対に売り優勢が確認される。またドル円の月間騰落率を見ると、8月は円高圧力の強い月である。一方、ドルやNY株と逆相関のNY金は、8月・9月と買い優勢の傾向が確認できる。2018年上半期のNY金は売り優勢となったものの、8月以降は徐々に下げ止まとなるだろう。
 特に今年は秋に中間選挙を控えており、不透明感の強い中、9月のヘッジファンドの決算を前にした45日前ルールの売りが高値圏にあるNY株式市場では出やすい。中間選挙までに、イラン再制裁の期限(第一弾が8月・第二弾が11月)や、8月9日からは日米貿易協議もスタートする。雇用統計を受けてドル買いが進んだとしても、今後のスケジュールを考慮すると、ドルの持続的な独歩高は想定し難い。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想