今週のドル円:中期的にトレンドを変化させる可能性

著者:平野朋之
投稿:2018/07/23 12:08

110円割れの可能性も視野に

いつもお世話になっております。
トレードタイムです。


■先週はテクニカル的にも大幅な上昇が期待され、今年の高値(113.40円)に迫る勢いでした。しかし、週末にその勢いどころか最近の上昇トレンドにも陰りが出始めました。今週は、戻り売り優勢な展開になる可能性がありそうです。

先週末、ついに「トランプ劇場」が開幕しました。
この記事でも再三、警告してきましたが、米中貿易戦争が予想を上回る展開に発展しかけています。
中国からの全輸入品に対して制裁関税を課すことに言及し、その額は5000億ドルと世界的にも影響が出る可能性が出てきています。今後中国も報復関税を出すことになれば、日本にも影響が出ることは確実です。

また、一番懸念していた「為替操作」にも中国とEUに対して言及しました。
このことで、「貿易戦争」だけでなく「通貨戦争」も勃発する可能性すらでてきました。

もし通貨安競争に再び陥ることになれば、米ドルは確実にドル安になり、ドル円においても再び二桁の相場展開に突入することが避けられません。

■更に、現状のFRBの金融政策にまで言及しました。
これまで追加利上げをベースにインフレ抑制を試みてきたFRBですが、金利を上げれば必然的に米ドルは高くなることに不満爆発。トランプ大統領は自身の掲げる「米国ファースト」には追加利上げは不必要と思わせる発言は、今後のドル円に影響が出そうです。


■この先の展開としては、中国の報復関税の行方を横目に、為替操作やトランプ砲を受け始めたFRBの動向に注目したいです。更にはわが国日本に対しての自動車関税にも要注意です。


■最後に、テクにカル面からみたドル円です。

チャート的には一旦、113円の大台に対する達成感が出た感じです。

また、週末の下落で初押しになりました。チャート的には水平線で見ても前回の高値(5月21日:111.41円)は既に割り込んでいます。
今週の注目はやはり移動平均50日線(20日現在:110.51円)になります。このレベルを「終値ベースで」下回るようであれば、110円割れも覚悟が必要です。

今回のトランプ劇場は一過性のものでもなく、中期的にトレンドを変化させる可能性があります。
ニュース等では貿易戦争は軽視、そしてリスクオンで1ドル115、120円という記事が散見されますが、こういった記事が多く出回りだした今が一番危険ではないかと最近感じています。
今こそ相場格言「人の行く裏に道あり花の山」ではないかと感じています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想