■要約
宇徳<9358>は、重量物輸送の先駆けとして1890年(明治23年)に創業以来、港湾荷役、物流、プラント建設等「運ぶ」に関連する多様なサービスを様々なフィールドで提供している。年間約30億円の経常利益をコンスタントに計上する、確かな経営体制を整えている。収益性、資産の効率性、財務の安全性のバランスに優れ、ROE(自己資本当期純利益率)、ROA(総資産経常利益率)ともに8%超を維持している。自己資本比率が72.7%と高いが、今期は受注拡大を狙って、特殊車両を現有資産の約5割増しとするなど積極投資を計画。
1. 業績の概況及び見通し
2018年3月期の連結業績は、営業収入が前期比9.5%増の55,870百万円と過去最高を更新。経常利益は3,426百万円と前期比12.1%増、計画比18.2%増と予想以上の好決算であった。特に港湾事業は、営業収入、経常利益ともに過去最高を達成し、営業収入経常利益率が10.5%となった。高収益が実現できたのは、オペレーションがほぼスケジュールどおりとなり、ワークロードも自社の経営資源で賄える好条件がそろったため。2019年3月期は、通常の状況を前提としているため、港湾事業の利益率は低下を見込む。一方、プラント・物流事業は、貸倒引当金繰入額の減少もあり収益性は改善するだろう。全体では、営業収入が前期比3.5%増、経常利益が同6.6%減少する予想となっている。
2. ONEが3ヶ年収益計画を発表
2018年4月より邦船3社のコンテナ船事業を統合した共同出資会社「OCEAN NETWORK EXPRESS(ONE)」が業務を開始した。ONEの3ヶ年計画では、売上高が初年度の2018年度に13,160百万米ドル、2019年度に13,879百万米ドル、2020年度は14,193百万米ドルと拡大基調を予想している。連結当期純利益の予想は、初年度110百万米ドル、2年目313百万米ドル、3年目が648百万米ドルと急拡大する見込みだ。事業統合によるシナジー効果の現出は、1年目が60%程度、2年目が80%程度、3年目にフルに寄与するとしている。シナジー効果の金額は、当初見込みの1,028百万米ドル(1,100億円)から1,050百万米ドル(1,124億円)に増額修正された。仮に計画どおりの進捗となれば、主要取引先の収益が従来の赤字基調から黒字へ転換し、拡大することになる。
3. 配当政策
2018年3月期はROEを8%超に維持したこともあり、1株当たり配当金を1円増の年10円とした。
■Key Points
・2018年3月期は、営業収入が過去最高を更新、予想を上回る経常利益
・2019年3月期は、好環境を前提とせず、3.5%増収、6.6%の経常減益を予想
・ROE、ROAともに8%超を維持し、1株当たり配当金を1円増の年10円に
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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宇徳<9358>は、重量物輸送の先駆けとして1890年(明治23年)に創業以来、港湾荷役、物流、プラント建設等「運ぶ」に関連する多様なサービスを様々なフィールドで提供している。年間約30億円の経常利益をコンスタントに計上する、確かな経営体制を整えている。収益性、資産の効率性、財務の安全性のバランスに優れ、ROE(自己資本当期純利益率)、ROA(総資産経常利益率)ともに8%超を維持している。自己資本比率が72.7%と高いが、今期は受注拡大を狙って、特殊車両を現有資産の約5割増しとするなど積極投資を計画。
1. 業績の概況及び見通し
2018年3月期の連結業績は、営業収入が前期比9.5%増の55,870百万円と過去最高を更新。経常利益は3,426百万円と前期比12.1%増、計画比18.2%増と予想以上の好決算であった。特に港湾事業は、営業収入、経常利益ともに過去最高を達成し、営業収入経常利益率が10.5%となった。高収益が実現できたのは、オペレーションがほぼスケジュールどおりとなり、ワークロードも自社の経営資源で賄える好条件がそろったため。2019年3月期は、通常の状況を前提としているため、港湾事業の利益率は低下を見込む。一方、プラント・物流事業は、貸倒引当金繰入額の減少もあり収益性は改善するだろう。全体では、営業収入が前期比3.5%増、経常利益が同6.6%減少する予想となっている。
2. ONEが3ヶ年収益計画を発表
2018年4月より邦船3社のコンテナ船事業を統合した共同出資会社「OCEAN NETWORK EXPRESS(ONE)」が業務を開始した。ONEの3ヶ年計画では、売上高が初年度の2018年度に13,160百万米ドル、2019年度に13,879百万米ドル、2020年度は14,193百万米ドルと拡大基調を予想している。連結当期純利益の予想は、初年度110百万米ドル、2年目313百万米ドル、3年目が648百万米ドルと急拡大する見込みだ。事業統合によるシナジー効果の現出は、1年目が60%程度、2年目が80%程度、3年目にフルに寄与するとしている。シナジー効果の金額は、当初見込みの1,028百万米ドル(1,100億円)から1,050百万米ドル(1,124億円)に増額修正された。仮に計画どおりの進捗となれば、主要取引先の収益が従来の赤字基調から黒字へ転換し、拡大することになる。
3. 配当政策
2018年3月期はROEを8%超に維持したこともあり、1株当たり配当金を1円増の年10円とした。
■Key Points
・2018年3月期は、営業収入が過去最高を更新、予想を上回る経常利益
・2019年3月期は、好環境を前提とせず、3.5%増収、6.6%の経常減益を予想
・ROE、ROAともに8%超を維持し、1株当たり配当金を1円増の年10円に
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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