■今後の見通し
1. 2019年2月期の業績見通し
キャリアリンク<6070>の2019年2月期の連結業績は、売上高が前期比31.0%増の21,968百万円、営業利益が同13.6%減の476百万円、経常利益が同2.7%減の591百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.2%減の363百万円となる見通し。官公庁向け臨時給付金関連案件や民間企業向けBPO大型プロジェクト案件の1つで業務処理量が減少となる一方で、2018年3月に完全子会社化したJBSの売上高で約3,500百万円を見込むほか、製造系人材サービス事業の好調により、売上高は2期ぶりに過去最高を更新する。営業利益に関しては上記の民間企業向けBPO大型プロジェクト案件の減収が続くことや人材採用費の増加等により減益を見込んでいる。また、営業外でキャリアリンクファクトリーの消費税等差益120百万円を計上することにより、経常利益の減益率は小幅にとどまることになる。
上記の民間企業向けBPO大型プロジェクト案件については2016年2月期をピークに業務の縮小が続いてきたが、全体の収益に与えるマイナスの影響も今上期で一巡する格好となる。このため、半期ベースで見れば業績は今上期が底で、下期以降は新規BPO案件の獲得や製造系人材サービス事業の拡大等により増益基調に転じるものと予想される。通期の業績計画から上期計画を差し引いた下期の業績は、売上高で前年同期比46%増の11,795百万円、営業利益で同75%増の378百万円を見込んでいることになる。なお、JBSについては収益性がまだ低いことから、利益面での貢献は計画にほとんど織り込んでいない。
金融機関向け人材サービス事業の拡大を目的にJBSの完全子会社化とDSBとの資本業務提携を発表、2019年2月期以降の収益貢献に期待
2. JBSの完全子会社化とDSBとの資本業務提携について
同社は2018年2月に、DSBの完全子会社であったJBSの全株式を取得するとともに(株式取得日は2018年3月31日)、DSBと資本業務提携を締結したと発表した。JBSは大手証券会社を中心とした金融機関向け人材派遣事業を主力事業とし、そのほかにも人事給与請負事業やビジネスサポート事業を行っている。事業拠点は東京、大阪、札幌の3拠点で、2018年3月末の従業員数は877名(うち、派遣稼働数778名)となっている。
JBSの2017年3月期業績は、売上高で3,609百万円、営業損失で32百万円。売上高については順調に拡大しているものの、収益性が低い点が課題となっている。なお、人材派遣事業の売上高については、同社の事務系人材サービス事業に、人事給与請負事業やビジネスサポート事業についてはその他事業に含まれることになる。
同社ではJBSの子会社化の実現により、今後、双方の経営資源を相互に活用することで、金融機関向け人材サービス事業の一段の拡大が図れると同時に、業務効率の向上による収益性向上が期待できることを挙げている。株式の取得価額は918百万円となり、のれんも発生しない。
また、DSBとの資本業務提携の目的として以下の3点を挙げている。第1に、DSBが得意とする金融機関向けBPO案件において同社の運用ノウハウや人的リソースを活用することでBPO関連事業部門を拡大すること、第2に、金融機関以外の民間及び官公庁向けにおいて、より幅広い人材サービスの提供を可能とし、企画提案型BPO業務処理受託を一層充実させていくこと、第3に、両社の経営資源を相互活用し、各々の事業成長及び業務効率の向上を目指すこと、などとなる。具体的な協業の取り組みに関しては現在、協議を進めている段階だが、地方金融機関向けに、さまざまな提案を行い、潜在需要を掘り起こしていくと考えられる。なお、資本提携に関しては両社の関係をより強固なものとするため、同社の発行株数の1%相当の金額の株式を相互に持ち合うことを2018年4月20日に実施した。
3. 事業別の売上見通しと営業戦略
(1) BPO関連事業部門
BPO関連事業部門の売上高は前期比2%増の11,600百万円を見込む。減収要因としては、前述した民間企業向けBPO大型プロジェクト案件のほか、官公庁向けの臨時給付金業務がなくなることが挙げられ、新規BPO案件の獲得などでカバーする格好となる。
営業戦略としては、JBSの完全子会社化とDSBとの資本業務提携を通じた金融機関・SIer向けビジネスの拡大を推進していくほか、BPOベンダーとの協業により銀行の預貯金口座付番制度・金融合理化需要の取り込みを図っていく。また、中央省庁や政令指定都市等の案件獲得や恒常的公共サービスへの事業領域拡大などにも注力していく方針だ。BPO市場では参入企業の増加もあって、競争が年々激しくなってきているが、同社ではナレッジ化推進やサービス品質向上による差別化を図ることで、引き続き主力事業として売上拡大を図っていく方針だ。
(2) CRM関連事業部門
CRM関連事業部門の売上高は前期比68%増の3,200百万円を見込んでいる。JBSの完全子会社化による増収により、金融機関向けの売上拡大を見込む。また、札幌や仙台、福岡、沖縄など地方都市におけるテレマーケティング事業者の需要も引き続き取り込んでいく方針だ。
(3) 一般事務事業部門
一般事務事業部門の売上高は前期比217%増の2,800百万円を見込んでいる。JBSの完全子会社化による増収及びDSBとの業務提携による地方金融機関向け案件の拡大が見込まれる。同社でもスタッフのキャリアパスを実現するためのフォロー活動を実施し、証券外務員等の資格が必要となる高単価な金融案件の取り込みを推進していく。
(4) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前期比35%増の3,500百万円と2ケタ成長が続く見通し。食品業界をメイン領域と位置付け、高品質なチーム派遣により食品系コンビニベンダーの顧客開拓及び取引規模の拡大を推進していく。2018年は新たに首都圏にも進出し、2拠点を開設する計画となっており、拠点開設後に人材採用を行いスムーズな事業展開を図っていく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
1. 2019年2月期の業績見通し
キャリアリンク<6070>の2019年2月期の連結業績は、売上高が前期比31.0%増の21,968百万円、営業利益が同13.6%減の476百万円、経常利益が同2.7%減の591百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.2%減の363百万円となる見通し。官公庁向け臨時給付金関連案件や民間企業向けBPO大型プロジェクト案件の1つで業務処理量が減少となる一方で、2018年3月に完全子会社化したJBSの売上高で約3,500百万円を見込むほか、製造系人材サービス事業の好調により、売上高は2期ぶりに過去最高を更新する。営業利益に関しては上記の民間企業向けBPO大型プロジェクト案件の減収が続くことや人材採用費の増加等により減益を見込んでいる。また、営業外でキャリアリンクファクトリーの消費税等差益120百万円を計上することにより、経常利益の減益率は小幅にとどまることになる。
上記の民間企業向けBPO大型プロジェクト案件については2016年2月期をピークに業務の縮小が続いてきたが、全体の収益に与えるマイナスの影響も今上期で一巡する格好となる。このため、半期ベースで見れば業績は今上期が底で、下期以降は新規BPO案件の獲得や製造系人材サービス事業の拡大等により増益基調に転じるものと予想される。通期の業績計画から上期計画を差し引いた下期の業績は、売上高で前年同期比46%増の11,795百万円、営業利益で同75%増の378百万円を見込んでいることになる。なお、JBSについては収益性がまだ低いことから、利益面での貢献は計画にほとんど織り込んでいない。
金融機関向け人材サービス事業の拡大を目的にJBSの完全子会社化とDSBとの資本業務提携を発表、2019年2月期以降の収益貢献に期待
2. JBSの完全子会社化とDSBとの資本業務提携について
同社は2018年2月に、DSBの完全子会社であったJBSの全株式を取得するとともに(株式取得日は2018年3月31日)、DSBと資本業務提携を締結したと発表した。JBSは大手証券会社を中心とした金融機関向け人材派遣事業を主力事業とし、そのほかにも人事給与請負事業やビジネスサポート事業を行っている。事業拠点は東京、大阪、札幌の3拠点で、2018年3月末の従業員数は877名(うち、派遣稼働数778名)となっている。
JBSの2017年3月期業績は、売上高で3,609百万円、営業損失で32百万円。売上高については順調に拡大しているものの、収益性が低い点が課題となっている。なお、人材派遣事業の売上高については、同社の事務系人材サービス事業に、人事給与請負事業やビジネスサポート事業についてはその他事業に含まれることになる。
同社ではJBSの子会社化の実現により、今後、双方の経営資源を相互に活用することで、金融機関向け人材サービス事業の一段の拡大が図れると同時に、業務効率の向上による収益性向上が期待できることを挙げている。株式の取得価額は918百万円となり、のれんも発生しない。
また、DSBとの資本業務提携の目的として以下の3点を挙げている。第1に、DSBが得意とする金融機関向けBPO案件において同社の運用ノウハウや人的リソースを活用することでBPO関連事業部門を拡大すること、第2に、金融機関以外の民間及び官公庁向けにおいて、より幅広い人材サービスの提供を可能とし、企画提案型BPO業務処理受託を一層充実させていくこと、第3に、両社の経営資源を相互活用し、各々の事業成長及び業務効率の向上を目指すこと、などとなる。具体的な協業の取り組みに関しては現在、協議を進めている段階だが、地方金融機関向けに、さまざまな提案を行い、潜在需要を掘り起こしていくと考えられる。なお、資本提携に関しては両社の関係をより強固なものとするため、同社の発行株数の1%相当の金額の株式を相互に持ち合うことを2018年4月20日に実施した。
3. 事業別の売上見通しと営業戦略
(1) BPO関連事業部門
BPO関連事業部門の売上高は前期比2%増の11,600百万円を見込む。減収要因としては、前述した民間企業向けBPO大型プロジェクト案件のほか、官公庁向けの臨時給付金業務がなくなることが挙げられ、新規BPO案件の獲得などでカバーする格好となる。
営業戦略としては、JBSの完全子会社化とDSBとの資本業務提携を通じた金融機関・SIer向けビジネスの拡大を推進していくほか、BPOベンダーとの協業により銀行の預貯金口座付番制度・金融合理化需要の取り込みを図っていく。また、中央省庁や政令指定都市等の案件獲得や恒常的公共サービスへの事業領域拡大などにも注力していく方針だ。BPO市場では参入企業の増加もあって、競争が年々激しくなってきているが、同社ではナレッジ化推進やサービス品質向上による差別化を図ることで、引き続き主力事業として売上拡大を図っていく方針だ。
(2) CRM関連事業部門
CRM関連事業部門の売上高は前期比68%増の3,200百万円を見込んでいる。JBSの完全子会社化による増収により、金融機関向けの売上拡大を見込む。また、札幌や仙台、福岡、沖縄など地方都市におけるテレマーケティング事業者の需要も引き続き取り込んでいく方針だ。
(3) 一般事務事業部門
一般事務事業部門の売上高は前期比217%増の2,800百万円を見込んでいる。JBSの完全子会社化による増収及びDSBとの業務提携による地方金融機関向け案件の拡大が見込まれる。同社でもスタッフのキャリアパスを実現するためのフォロー活動を実施し、証券外務員等の資格が必要となる高単価な金融案件の取り込みを推進していく。
(4) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前期比35%増の3,500百万円と2ケタ成長が続く見通し。食品業界をメイン領域と位置付け、高品質なチーム派遣により食品系コンビニベンダーの顧客開拓及び取引規模の拡大を推進していく。2018年は新たに首都圏にも進出し、2拠点を開設する計画となっており、拠点開設後に人材採用を行いスムーズな事業展開を図っていく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
関連銘柄
銘柄 | 株価 | 前日比 |
---|---|---|
6070
|
2,535.0
(15:30)
|
+11.0
(+0.43%)
|
関連銘柄の最新ニュース
-
キャリアリンク---業績予想の修正 今日 12:47
-
「好配当」が22位、ハイボラ相場でも安定した魅力<注目テーマ> 今日 12:20
-
<注目銘柄>=キャリアL、高配当利回り魅力で中計も評価材料に 今日 10:00
-
キャリアL(6070) 業績予想の修正に関するお知らせ 11/01 17:00
-
キャリアL、上期経常を3%上方修正 11/01 17:00
新着ニュース
新着ニュース一覧-
今日 16:18
-
今日 16:18
-
今日 16:18
-
今日 16:18