S&P 500月例レポート(2018年5月配信)

 S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

2018年4月:「大いなる期待感」がもたらした好調な企業利益と極めて良好な売上高

 4月の米連邦準備理事会(FRB)はタカ派スタンスで始まったものの、月末にはハト派姿勢に転じました。5月1-2日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では何らかの説明がなされる可能性もあります。また、5月のFOMCでは声明文の文言が修正されるかもしれませんが、金利は据え置きになる見通しです。6月12-13日開催のFOMCでは0.25%の追加利上げが予想されています。

 4月に起きた特筆すべきイベントは、貿易戦争と核兵器を用いた最終決戦(米大統領が「ずっと大きくて強力な核兵器を保有している」と発言)に対する懸念が後退したと思われることです。ただし、完全には払拭されてはいません。貿易協議は水面下で進められ(勝者と敗者の間の格差は縮小し、話し合いの結果を受け入れる姿勢が強まっている)、紛争拡大が懸念されていた朝鮮半島の2カ国間ではそれぞれのリーダーが手を携えて一瞬の間ですが軍事境界線を互いに越えました。軍の最高司令官である独裁者とかつての人権派弁護士が演出した奇妙な光景でしたが、政局が呉越同舟を生じないとは言い切れないでしょう。

 金融市場に関して言えば、期待通りのものを手にすることができました。決算発表シーズンが佳境を迎え、企業業績からの押し上げ効果はそれほど大きくはないものの、株価はそれなりに下支えられるという「大いなる期待感」に見合う内容となりました。S&P500指数構成銘柄のうち65%が決算発表を終えましたが、このうちの78%が高水準の事前予想をさらに上回りました。所得税率の引き下げが主な要因と思われますが、利益はあっさりと過去最高を更新する見通しです。しかし、真の勝者であり株価下支え役として称えられるのは売上高です。S&P500指数構成銘柄のうち72.5%の企業で売上高が事前予想を上回り、前年同期比9.0%増となりました。売上高の事前予想は、好調なホリデーシーズンの恩恵を受けた2017年第4四半期に次ぐ、過去2番目(前期比ベースでは-3.1%)の高水準でした。とはいえ、利益の伸びは売上高を圧倒しました。営業利益率はいとも簡単に過去最高となる11.75%を記録し、過去20年間の平均8.08%を大幅に上回りました。自社株買いも1-3月期は重要な役割を果たしました。

 自社株買いは当初発表ベース(構成銘柄の29%の企業が発表した時点、詳細は10Qレポートの発表が必要)では、驚異的な72%の増加となっており、これは数銘柄が大規模な自社株買いの増額を発表したことにもよりますが、それらを除いても25~42%の増加となります(どの銘柄を除くのかで異なります)。2018年第2四半期はまたもや自社株買いの増加が見込まれており、今年の最高額を記録する見通しです。S&P500構成企業の総株主還元額(自社株買いと配当)は、史上初めて1兆ドルを超えると予想されます。

 インフレに関しては、10年国債利回りが3%を超えたことから警戒すべき事態が迫りつつあると思われ、投資家もインフレと右肩上がりで上昇してきた株価を警戒したかのように見えました。しかし、ヒステリー(私自身の表現です)は急速に薄れたようです。実際のところ、3%という利回りは1981年の15.8%を大幅に下回っており(その当時、私のいとこは購入した新居のモーゲージ金利が16%だったことを祝ってシャンパンボトルを開けました)、過去50年間の平均である6.44%も大きく下回っています。重要なことは金利が上昇に転じ(過去50年の最低水準は2016年7月に記録した1.34%)、今後も上昇が続くと予想されていることです。物価、利払いコスト、金利の上昇、そして住宅業界への圧力が一段と高まっていますが、いずれも相対的に低位かつ対処可能な水準です。消費者と同様に、企業はすでに長期の支払金利を低水準で固定しており、向こう数年間は利払いコストと預金金利は低い水準が続くと予想されます。

 1カ月間を振り返ると、4月の株式市場は値動きが不安定で、月間取引日数21日のうち6日で1日の株価が1%以上変動しました(1%以上上昇した日が3日、1%以上の下落が3日で、うち1日は2%以上の下落)。一方で、VIX恐怖指数は3月の終値19.78から16.05に低下しました。4月の騰落率は、2月の3.89%下落、3月の2.69%下落と2カ月連続でマイナスとなった後、0.27%のプラスに転じました。年初来では依然として0.98%の下落(配当込みのトータルリターンは0.38%のマイナス)となっています。一方、過去1年間のS&P指数の騰落率にはセクター間のパフォーマンス格差は反映されていません。業種別の騰落率は引き続きばらつきが大きく、一般消費財が年初来で5.09%上昇した一方で、生活必需品は11.94%下落と、その差は17.03%開いています。
 

 
●4月のまとめ

 ○4月のS&P500指数は2,648.05で取引を終え、3月末の2,640.89から0.27%上昇し(配当込みのトータルリターンはプラス0.38%)、3月の2.69%下落(同マイナス2.54%)や2月の3.89%下落(同マイナス3.69%)から改善しました。同指数は過去3カ月で6.22%下落(同マイナス5.77%)、年初来では0.96%下落(同マイナス0.38%)、過去1年では11.07%上昇し(同プラス13.27%)、2016年11月8日の大統領選当日(終値2,139.56)からは23.77%上昇(同プラス27.42%)となりました。S&P500指数は4月中に最高値を更新することはなく、終値での最高値更新は年初来で14回となっています(直近の高値更新は2018年1月26日で2,872.87)。最高値の更新は2017年に62回あり(1995年の77回に次ぐ過去2番目の更新回数)、大統領選以降で84回となりました。

 ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は24,163.15ドルで取引を終え、3月末の24,103.11ドルから0.25%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス0.34%)。3月のダウ平均は、2月末の24,943.71ドルから3.70%下落していました(同マイナス3.57%)。年初来では、2017年12月末の24,719.22ドルに対し、3月は2.49%下落(同マイナス1.96%)でしたが、4月は2.25%下落(同マイナス1.63%)となりました。ダウ平均も4月中に最高値を更新することはありませんでした(年初来では終値で最高値を11回更新、直近の高値更新は2018年1月26日で26,616.71ドル)。最高値の更新は2017年に71回と過去最高を記録し(1896年以降。1995年は69回)、大統領選以降で99回となっています。

 ○S&P500指数の時価総額は4月に740億ドル増加して22兆5,700億ドルとなり、世界の株式市場の時価総額は4,080億ドル増加して(このうち620億ドルが米国市場の増加分)54兆3,750億ドルとなりました。年初来では、S&P500指数の時価総額は2,520億ドル減少し、S&Pグローバル総合指数の時価総額は2,150億ドル減少しました(このうち3,200億ドルは米国市場の減少分)。また大統領選以降では、S&P500指数の時価総額は4兆930億ドル増加し、世界の株式市場の時価総額は10兆4,490億ドル増加しました(このうち4兆9,020億ドルは米国市場の増加分)。

 ○米国10年国債の利回りは3月末の2.74%から上昇し、終値で3%台に乗る局面もありましたが、最終的には2.95%で月を終えました(2017年末は2.41%、2016年末は2.45%)。

 ○英ポンドは3月末の1ポンド=1.4028ドルから1.3767ドルに下落し(同1.3498ドル、1.2345ドル)、ユーロは3月末の1ユーロ=1.2303ドルから1.2081ドルに下落しました(同1.2000ドル、1.0520ドル)。円は3月末の1ドル=106.41円から109.29円に下落し(同112.68円、117.00円)、人民元は3月末の1ドル=6.2990元から6.3337元に下落しました(同6.5030元、6.9448元)。

 ○原油価格は3月末の1バレル=64.96ドルから5.4%上昇して68.45ドルで取引を終えました(同60.09ドル、53.89ドル)。米国のガソリン価格(全等級)は、4月末は1ガロン=2.961ドルと、3月末の2.764ドルから上昇しました(同2.589ドル、2.364ドル)。

 ○金価格は3月末の1トロイオンス=1,329.40ドルから下落して1,316.10ドルで取引を終えました(同1,305.00ドル、1,152.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は3月末の19.78から低下して16.05で月を終えました(同11.05、同14.04)。月中の最高は25.72、最低は14.57でした。

 ○ビットコイン(価格低下を背景に、市場の関心もやや失われました)は3月末の7,202ドルから上昇して9,225ドルで取引を終えました(同13,850ドル、968ドル)。月中の最高値は9,765ドル、最安値は6,464ドルでした。

 ○ボトムアップベースで算出した1年後の目標値はS&P500指数が3,012(現在値から13.7%上昇)、ダウ平均は27,624ドル(同14.3%上昇)と、相場が下落する中で底堅さを維持しています。

●S&P500指数

 市場は再び10%の調整ポイント近くで膠着し、それまでの9年間の強気相場から獲得した利益はマネー・マネージャーにとって魅力的だったため、企業業績への期待の大きさ、貿易戦争への懸念、ワシントンで続く対立はいずれも、4月の相場上昇観測が「エープリルフール」に終わる可能性を示唆していました。しかし、予想外のプラスとなった売上高に伴う良好な利益、貿易戦争が貿易交渉に移行したこと、さらに北朝鮮問題も(少なくとも今のところは)沈静化するなど、良好な条件が整いました。その結果、市場の不安は薄れ、ファンダメンタルズがより注目されるようになり、振り返ってみると、ポートフォリオの入れ替えは通常の規模となりました。相場が上昇して月を終えたことは喜ばしいことですが、何よりも良かったのは、大きな落とし穴となりうるあらゆる懸念要因を回避できたことです。

 決算発表は峠を越したものの、その後、小売業の発表が始まるため、5月も企業業績の影響は続くと予想されます。また5月2日にはFOMCが開催され(結果は午後2時発表)、声明文の内容に注目が集まるでしょう。現時点で政策変更は見込まれていません。景気が予想通りに拡大すれば、次回の利上げは6月に、そして年内さらに2回(おそらく9月と12月)の利上げが予想されます。5月には、減税の影響に関する分析も関心の高いテーマになるとみられます。実際の節税額が算出され、予想節税額が再評価される中、企業への影響が検証されるでしょう。経済指標によって消費者の支出の詳細(小売売上高、住宅改修など)が明らかになれば、米国GDPの70%を占める消費支出に対する減税の効果への関心も高まるでしょう。

 過去の実績を見ると、5月は57.8%の確率で上昇しており、上昇した月の平均上昇率は3.17%、下落した月の平均下落率は4.63%、全体の平均騰落率は0.13%の下落となっています。今後のFOMCのスケジュールは、2018年5月1日-2日、6月12日-13日*、7月31日-8月1日、9月25日-26日*、11月7日-8日、12月18日-19日*(*は記者会見が行われる)となっています。

 4月のS&P500指数は0.27%と、小幅ながら待望の上昇となり(配当込みのトータルリターンは0.38%)、過去2カ月連続のマイナス(3月は2.69%下落、2月はさらに大幅な3.89%下落。その前の1月は過去最高値を数回更新して5.62%上昇)から辛うじて反転しました。年初来では0.96%下落(同マイナス0.38%)と依然としてマイナスで、2018年1月26日に付けた終値ベースでの最高値を7.83%下回っています。大統領選当日からは23.77%(同27.42%)の上昇となりました。

 2月に始まったボラティリティの上昇は4月も続き、1%以上変動したのは月間取引日数21日中6日でした(上昇が3日、下落が3日)。出来高の大幅な変動やプログラム取引による大きな影響はなく、相場は落ち着いていました。月初めは貿易関連を中心にニュースが相場全体の流れを決めていましたが、企業の決算発表が始まると、特に貿易戦争の問題が落ち着き、北朝鮮問題も沈静化したことから、個別銘柄での動きへと徐々に移行しました。

 業績は良好でも事前の高い期待と比較され、一部で下値を拾う動きが見られるなど、セクター別の騰落率は引き続きまちまちで、その差は拡大しました。4月は最も値上がりしたセクター(エネルギーセクターが反発)と最も値下がりしたセクター(生活必需品セクターは引き続き下落圧力にさらされた)の騰落率の差は13.81%と、3月の7.86%および2月の11.23%から拡大しました(1月は12.34%)。

 4月は11セクター中6セクターが上昇し、3セクターが上昇した3月と全セクターが下落した2月を上回りました。月間のパフォーマンスが最も高かったのはエネルギーセクターでした。需給が均衡点に向けて収斂する様子を見せる中、同セクターはプラス9.29%と4月も上昇し、年初来のパフォーマンスは2.09%とプラスに転じました。とはいえ、2014年6月(原油価格は1バレル=105ドル)の水準と比較すると、エネルギーセクターは依然として25.16%下落しており、S&P500指数の中で下落率が最も大きいセクターとなっています(同期間で最高の騰落率を示したのは情報技術セクターで、プラス80.56%)。公益事業セクターもプラス2.05%と反発しましたが、年初来ではなお2.24%の値下がりでした。

 消費者関連の2つのセクターは引き続き対照的な動きを示しました。一般消費財セクターは、景気の加速に加えて、減税によって消費者の所得が増すという期待が追い風となって4月に2.27%上昇し、年初来では5.09%の上昇となりました。一方、生活必需品セクターは4月に4.52%値下がりして11セクター中最低のパフォーマンスとなり、年初来ではマイナス11.94%と、2桁の下落率を記録しました(全セクターで最低)。情報技術セクターは、個人情報の利用とプライバシー保護に関する懸念が新聞紙上(および米議会)を賑わせたものの、0.03%と小幅に値上がりし、その結果、年初来では3.24%上昇、大統領選挙後では48.82%上昇となりました。金融セクターは企業決算(および相場)が好調だったにもかかわらず、4月に0.48%値下がりし、年初来の騰落率はマイナス1.85%、大統領選挙後ではプラス37.26%となりました。

 過去3カ月の市場の動きの一部は、値固めと新たな経済環境(減税、貿易問題、さらに言うまでもなく、政治)の再評価を反映するものであったとみられています。本稿執筆時点では、背景で個別の値動きはあるものの、市場がレンジ内に留まっていることは、今後の上昇に向けた値固めとして前向きに捉えられています。

 銘柄の変動をみると、4月は一転して、値上がりした銘柄数が値下がりした銘柄数を上回りました。値上がり銘柄数は265銘柄(平均上昇率は5.02%)となり、3月の193銘柄(2月は88銘柄)を上回りました。このうち10%以上上昇した銘柄数は31銘柄(3月は8銘柄)でした。一方、4月に値下がりした銘柄数は240銘柄(平均下落率は4.91%)で、3月の312銘柄から改善しました。そのうち24銘柄は10%以上値下がりしました(3月は23銘柄)。年初来では引き続き、値下がりした銘柄数が値上がりした銘柄数を上回っており(とはいえ、改善しました)、220銘柄(3月は208銘柄)が値上がりしました(平均上昇率は9.85%)。10%以上値上がりした銘柄数は81銘柄(3月は64銘柄)で、そのうち11銘柄が25%以上値上がりしました。値下がりした銘柄数は285銘柄(3月は296銘柄)で(平均下落率は9.27%)、10%以上値下がりしたのは115銘柄(3月は93銘柄)、そのうち7銘柄が25%以上値を下げました。

●企業業績

 2018年第1四半期の企業業績で重要な点は次の3つです。まず、第1四半期の業績予想が2017年末から10.4%引き上げられ、EPSは過去最高を更新する見通しであるほか、2018年予想、2019年予想ともに8.3%引き上げられています。第2に、営業利益率は過去20年間の平均が8.08%であるのに対して、2018年第1四半期は現時点で、過去最高の11.75%となっています(これまでの最高は2017年第4四半期の10.27%)。第3に、売上高は前年同期比9.0%増と好調で、過去最高を記録した2017年第4四半期(年末商戦)に次いで2番目の高水準となっています(ただし、前期比では-3.1%)。これまでに決算発表を終えた企業の業績は良好でしたが、好業績への期待感が高かったため、株価の上昇は限られました。現在、279社が第1四半期の決算発表を終え(時価総額では全体の63.7%、企業数では全体の55.2%)、事前予想を上回った企業は217社、予想を下回ったのは46社、予想通りだったのは16社でした。

 売上高では、完全に比較可能なデータのある276社のうち200社(72.5%)で予想を上回りました。これまでのところ、予想を上回った割合が最も高いのは33社のうち31社(93.9%)で、営業利益が予想を上回った情報技術セクター、次いで30社のうち28社(93.3%)が予想を上回ったヘルスケアセクターとなっています。一方、冴えなかったのは電気通信セクターと公益事業セクターで、実績が予想を上回った企業数は、電気通信セクターでは2社のうち1社、公益事業セクターでは10社のうち5社で、いずれも50%となっています。金融セクターは概して好調で、トレーディング収益の改善も追い風となり、52社のうち41社(78.9%)で業績が予想を上回りました。全体としては、第1四半期の営業利益は過去最高を更新する勢いを示し、前期比10.9%増、前年同期比30.1%増となっています。

 米国の一般会計原則(GAAP)に基づく公表利益は、税額控除の評価減に関連して費用が発生したことを背景に、2017年第4四半期に減少しましたが(法人税率引き下げにより、繰延税金資産の将来価値が減少するため)、2018年第1四半期には大幅に増加して、過去最高を更新する見通しです。

 会社発表の2018年通期の業績見通しは引き続き堅調で、特に2018年第1四半期予想の引き上げ幅が大きく、第1四半期末からは5.2%、年初来では10.4%引き上げられています。2018年通期の業績見通しは、2018年第1四半期末からは1.3%、年初来では8.4%引き上げられました。2019年予想は年初来で8.4%引き上げられています。

●トランプ大統領と政府高官

 米連邦捜査局(FBI)は、2016年米大統領選へのロシアの介入を調査しているロバート・モラー特別検察官が提供した情報に基づき、トランプ大統領の弁護士の事務所を家宅捜索しました(報道によれば、当該情報はモラー特別検察官が発見したものの、同氏の調査とは関連性がないようです)。トランプ大統領は家宅捜査に関してFBIを非難しており、同大統領がモラー氏を解任するのではないかとの観測が広がっています。ポール・ライアン下院議長は、任期満了(2019年1月)をもって議員を引退する意向を表明しました。

 マイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官(同氏はトランプ大統領から国務長官に指名され、議会の承認を受けました)が極秘に北朝鮮を訪れ、金正恩朝鮮労働党委員長と会談しました。トランプ大統領と金正恩氏の会談に向けた計画が進展しています(交渉内容よりも開催地に関して)。

 フランスのマクロン大統領がワシントンを訪問しました。トランプ、マクロン両大統領は表面上「友好的な関係」を取り繕いましたが、マクロン大統領はトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」に対抗して、世界は団結する必要があると公式の場で発言しました。ドイツのメルケル首相も訪米し、トランプ大統領と会談を行いました。両氏は、表向きは融和的な姿勢を示したものの、通商をめぐる合意には至りませんでした。

 トランプ大統領から退役軍人長官候補に指名されたロニー・ジャクソン氏(元ホワイトハウス担当医)は、経験不足と報道された「素行」面の問題を理由に議会からの猛反発に合い、指名を辞退しました。

 米最高裁判所が、トランプ大統領が発動した渡航禁止令に対する審理を行いました。最終的な判断は6月に予想されます。現段階では、最高裁が渡航禁止令を阻止することはないとみられています。トランプ大統領は、鉄鋼・アルミニウム関税の適用例外措置に関する決定を2018年6月1日まで1カ月先送りしました。

●利回り、金利、コモディティ

 米国10年国債の利回りは一時3%の水準を突破し、終値でも3%を上回ったものの、月末は3月末の2.74%から上昇の2.95%となりました(2017年末は2.41%、2016年末は2.45%)。英ポンドは3月末の1ポンド=1.4028ドルから1.3767ドルに下落し(同1.3498ドル、同1.2345ドル)、ユーロも3月末の1ユーロ=1.2303ドルから1.2081ドルに下落しました(同1.2000ドル、1.0520ドル)。円は3月末の1ドル=106.41円から109.29円に下落し(同112.68円、117.00円)、人民元も3月末の1ドル=6.2990元から6.3337元に下落しました(同6.5030元、6.9448元)。

 原油価格は3月末の1バレル=64.96ドルから5.4%上昇し、68.45ドルで月を終えました(同60.09ドル、53.89ドル)。米国のガソリン価格(全等級)は、3月末の1ガロン=2.764ドルから2.961ドルに上昇して月を終えました(同2.589ドル、2.364ドル)。金価格は3月末の1トロイオンス=1,329.40ドルから1,316.10ドルに下落して月を終えました(同1,305.00ドル、1,152.00ドル)。VIX恐怖指数は月中の最高が25.72、最低が14.57となり、3月末の19.78から16.05に低下して月を終えました(同11.05、14.04)。

 中央銀行関連のニュースでは、FRBが大幅な経済成長の拡大を見込み、インフレ率が2%に達することに自信を深めている一方、貿易戦争を下振れリスクとみなしていることが、2018年3月会合分のFOMC議事録で示されました。FRBの地区連銀経済報告では、地区連銀が関税の影響をやや懸念していることが明らかになった一方、12地区全てで雇用の伸びが示されました。欧州中央銀行(ECB)は予想通り政策理事会で政策金利を据え置き、緩和的な金融政策を再確認しました。日銀も政策金利と政策を据え置きました。


 

 

 



 
 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはこちらをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム