米韓会談の行方~ベトナム方式による南北証券取引所の可能性も

著者:木村佳子
投稿:2018/05/14 12:02

新たな経済発展への期待とリスク

国益最大化を負託されて1期4年走り続ける米国大統領。途中2年ごとに査定に匹敵する中間選挙があるため、任期中は全力疾走することになります。70歳を越えてよくあれだけたくさん、仕事ができますよね。トランプ大統領のタフさには脱帽です。

さて、北朝鮮との会談が6月12日シンガポールで予定されていますが、北朝鮮が積極的にトランプ・デールに乗ってきている背景にはベトナム方式のようなスキームがあるからだろうと思います。

北朝鮮が非核化に応じれば「韓国並みの発展を支援する」とアメリカ側が示す案。実現すれば双方でウインウインです。
行程として北朝鮮にインフラが整備されるには何はともかく電力が必要です。
各地の核施設に民事転用という形で原子力発電所に再生していくことでアメリカ企業のGEや非公開ながらウェスティングハウスのような専門会社の活躍素地があります。
そういえばこの分野の世界的企業にフランスのアレバもありますがは先般、国賓として訪米したマクロンさんの耳元にトランプ大統領はこの案件を「一口、乗るか?」と耳打ちしたのかもしれませんね。あくまで想像ですけれど。
トランプ大統領の耳打ちの後、マクロンさんは固まってましたから、相当のことだろうと思いましたけど。

さて、北朝鮮に安定的電力ができれば工場もできるし、周囲には働く人の住居も作れる。
トランプ大統領はかつて、民主党のクリントン大統領がまだ証券取引所のなかった中国に経済人と一緒に乗り込んでいって、国営企業と米国企業の合弁事業で成果を上げ、その会社を証券取引所に上場させることで投下資金の天文的収益回収を成功させています。そのスキームの半島版を実行しようとしているのかもしれません。

クリントン元大統領はこの一連のスキームで米国財政を黒字に転換させることにも成功しています。もちろん、自身の蓄財についても「クリントン・キャッシュ」にあるようにぬかりなかったようですけれどね。

ちなみにこうしたスキームはビジネス界ではみられるものであり、弱り切っている弱小企業を大手が連結化していくケースが該当します。
これはクリントン元大統領の十八番というわけではなく、こうしたスキームはベトナムでも成功しています。
今では南北のハノイとホーチミンに証券取引所があり、国営企業が上場で次々と資金を得て、民間企業になる流れの中で国の財政が改善されています。
ベトナム、中国で成功した国営企業の上場で朝鮮半島が成長していく過程でアメリカ企業も儲かり、アメリカ、北朝鮮の財政も改善し、防衛上も中国の突出沈静化につなげられるわけで、実現すればうまい方法だと思います。

その場合、日本のどの企業が儲かるのか。アメリカ企業ではどこがもっとも利益獲得機会が多いのか。
それを考えるのが投資家としての面白さですね。
講演でも詳しく話したいテーマです。
配信元: 達人の予想

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