そもそもはアメリカの高高度防衛ミサイル韓国配備からことが始まった

著者:木村佳子
投稿:2018/05/09 08:09

中国の高精度な空母完成と海洋戦略に対してアメリカは?

日本最大の中国情報サイト「レコード チャイナ」が5月5日に伝えたところによると、韓国に設置される予定のアメリカ高高度防衛ミサイルについて、韓国内の設置反対派の妨害で米軍作業は難航しており、完全な状態になるにはさらに3か月はかかる見通しだそうです。

そして、中国は「もはや北朝鮮が核放棄と表明し、緊張が和らぐ中、高高度防衛ミサイル網など必要ない」との見解を示していると伝えています。

その中国はロシアから購入し、改良を重ねた空母「遼寧」に続き、新たに高精度な空母も着々と建造。4月には南シナ海において大規模な海洋訓練を実施。沖縄、宮古島にも接近したことが知られます。台湾の潜水艦建造に協力しようとしているアメリカへのけん制と推測されます。

南シナ海にはレーダーに察知されにくい十分な深さの海域が存在していることから、南シナ海の実行支配を既成事実化している、との見方も広がっています。

こうした中国の姿勢に危機感を抱いているのはアメリカだけでなく、インドも同様であり、対策に乗り出そうとの動きがあります。「アメリカ、インド、フィリピン、オーストラリアで合同訓練すべきだ」という意見が出る中で、気になるのはロシアメディアが伝える韓国の情勢です。
板門店での両国トップの笑顔での南北融和路線に多くの韓国民は感動。件の冷麺を提供する店には行列が、疑似・板門店撮影が人気化する中、
韓国の準空母が5月14日にも進水するそうです。そして、このことに対して中国は「日本との関係に影響を与えられる」との見解を示しているとか。
そのニュアンスから考えると、文在寅氏施政下の韓国はアメリカよりも中国を向いているといえるかもしれないですね。

中国の戦略がオセロゲームや囲碁の一手のように、じわじわ、着々と進行している印象が強い中、
アメリカと北朝鮮の会談前に北朝鮮と中国、中国と日本、中国とアメリカ、アメリカと韓国など首脳級の話し合いがもたれ、調整、駆け引き、腹の探り合いが続いています。

日本はこの国際的重要場面において、将来の国民の生命と財産、生活の防衛に万全を尽くすべきなのは言うまでもありませんが国際的なプレゼンスを示すにもまさに正念場に差し掛かっています。しかしながら、国際感覚からはまったく違和感のある国会での野党の首相糾弾の在り方等、いささか残念なことになっていますね。日本国民のために有用な政治の「時と場合を熟慮した政治姿勢」が求められるのではないかと感じます。日本のこの状態はどこかの国にとっては「しめしめ。ずっとそうやってなさい」と言われかねません。

将来の企業業績がすべての株式市場にも国会での審議のあまりな国際感覚のずれは多少なりとも影響を与えるのではないかと思います。

さて、トランプ大統領と米軍の戦略すり合わせはなおも継続しているようです。
トランプ氏は演出面での効果を考えて板門店での会談に傾いたようですが、
「それはいくら何でもまずい」との米軍サイドの意見から
シンガポール、マレーシア、モンゴルなど場所の選定に慎重な吟味があるようです。

いずれにしても北朝鮮は中国にとって重要な本質隠しのツール。
今、アメリカと日本が問われているのは、中国による南シナ海実効支配が既成事実化していいのか、どうなのかということに尽きます。

石油価格がじわじわ上昇している点を鑑みれば、
アメリカが着々と有事に備えつつあるとの見方もできるのではないかと思います。

ドーンと下抜けするようなドル安にはさせないという観点からアメリカのイラン核合意離脱をとらえれば、
権威がないとバカにされ続けているトランプ大統領にノーベル平和賞の鼻薬は効き目がなかったのかもしれない、と見ることもできます。

もしそうなら、トランプ大統領、背後の筋読み筋も楽観はしていないといえるでしょう。
高高度防衛ミサイルを配備させたくない中国と南シナ海実効支配を阻止する観点から配備が重要と考えるアメリカ。
あまり時間的猶予がない中、話し合いでどこに着地しようとしているのでしょうか? 株式市場の動向を考える意味でもなおも注目です。

配信元: 達人の予想

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