ジャパンベストレスキューシステム 榊原暢宏社長インタビュー

投稿:2011/10/12 16:49

「困っている人を助ける」をコンセプトに事業を展開
ニッチ分野ながらコスト競争力に優れた経営で高シェアを獲得

略歴
ジャパンベストレスキューシステム株式会社
代表取締役
榊原暢宏(さかきばら・のぶひろ)
 
株式会社アクロスを経て1994年有限会社ノアを設立。1997年現在のジャパンベストレスキューシステム株式会社の前身となる日本二輪車ロードサービス株式会社を設立。代表取締役に就任。2005年には東証マザーズ、2007年に東証一部市場変更を果たす。

──御社の業態は

当社は「JBR生活救急グループ」という名前が表現しているように「困っている人を助ける」企業活動を全国で行っています。具体的には生活全般のトラブル解決サービス総合ブランドとして「生活救急車」を掲げて、安心・快適なサービスを提供しています。例えば台所などでの水漏れ、トイレの詰まり、鍵のトラブル、ガラスの割れ換え、パソコン修理、バイク・自動車などのトラブル、屋根・瓦・家電などの修理、ハウスクリーニング、庭木の剪定、害虫駆除など細かいお困りごとや生活トラブルに24時間365日対応しています。そこで「110番、119番以外のすべてのお困りごとを解決する組織作りに挑戦」という方針も掲げています。また企業の代わりにコールセンターの運営から出動までを代行する「緊急出動付スーパーコールセンター」を展開。さらにトラブルに備えた生活会員「安心入居サポート」や少額短期保険「新すまいRoom保険」、携帯電話の故障費用や不正使用をカバーする保険なども取り扱っています。

──創業の経緯は

平成9年にバイクロードサービスを目的として「日本二輪車ロードサービス株式会社」を設立。平成11年に現社名に変更しました。幼い頃から祖父母に可愛がられて育ちましたので荷物を持ったり、買い物に行ったり、日々の生活の中で二人が喜んでくれることを率先して手伝っていました。今でもその時に言われたてくれた「ありがとう」と「笑顔」は鮮明に覚えています。格好良く言えば「人の役に立つ」仕事、あるいは困っている人を助けてあげる仕事をしたくて創業したと言えます。大学を卒業して会社員になった後に「5年で独立します」と宣言したことから必死に頑張りました。
あるとき立ち往生しているバイクに遭遇して放って置くことができなかったことがあり、「これがビジネスになるのではないか。バイク版JAFを目指してみよう」と閃いたのが創業の原点でした。当初、「JBR」は「日本二輪車ロードサービス」の意味でしたが、その後「ジャパンべストレスキューシステム(JBR)」に変更しています。平成17年に東証マザーズ、平成19年に東証1部に上場しました。
もっとも子会社で行っていたバイク会員事業については事業環境の不透明感などを勘案して今年4月に株式を売却しています。一方で自動車賃貸事業には前期から新規参入しました。

──多くの企業と提携されていますね

そうですね。例えば旭硝子さんとは「旭硝子ガラスの救急車」ブランドでガラスの緊急割換えサービスを提供していますし。INAXさんとは「株式会社水の救急車」を設立して水まわりの緊急対応を展開、セコムさんとは「セコムウィン株式会社」を設立して「セコムあんしんガラス(防犯ガラス)」の施工請負やセコムホームセキュリティに対する生活救急車サービスを行っています。業績面からみても第2四半期で「ガラスの救急車事業」が4億2500万円(前年同期比1.4%増)、「水の救急車事業」が9億5700万円(同5.8%増)と順調に推移しています。企業提携事業全体では売上高19億3200万円(同8.2%増)、営業利益で2億2400万円(同6.9%増)となっています。特にweb広告による作業件数の増加が顕著となってきました。これからも生活対応をベースにして多くの企業様との提携を目指していく方向は変わりません。

──コールセンター事業に注力されてますね

当社はもともと生活上のトラブルをコールセンターで受け付けるシステムを採用してきました。一般のお客様向けの鍵や水まわりなどのトラブルサービスの全国展開で事業としては順調な伸びを継続してきています。この蓄積された経験を活用して最近は緊急出動員付コールセンターである「スーパーコールセンター」を拡充しています。このスーパーコールセンターでは様々な業種に対応できる充実の研修・教育体制を採用して、クライアント企業のブランドイメージを損なわない高品費のサービスを提供しています。「業務を効率化しコストを下げて利益を生み出す」徹底したビジネスアウトソーシングを行える業務ノウハウが役に立ちました。業界としては賃貸・分譲などの不動産業界、損保・クレジットなどのファイナンス業界、パソコン業界、防犯・介護・水道・サッシなどの各種メーカー、飲食・小売・コンビニなどの店舗業界などで採用していただいています。1日のコール数は約3500件、1日の駆けつけ数は約650件となっております。24時間365日稼働できる上に低コストという点が評価されていると思います。「24時間365日対応、日本全国で対応可能、コスト削減、信頼度・満足度アップ」がスーパーコールセンターのメリット。常に丁寧にそしてマニュアルにもないような問い合わせにも対応できるように日々研鑽を重ねています。お客様の商品価値の増大や新規マーケッティングにも生かされています。おかげさまでコールセンター受託企業数は第2四半期時点で164社と増加基調を継続しています。

──株主優待にキッザニア招待もありますね

当社の株主優待制度には当社サービスの割引に加えてキッザニアへのご招待もあります。それは当社グループが「体験を通じて社会とのかかわりあいの尊さを学ぶ」というキッザニアの基本理念に賛同したからです。キッザニア東京とキッザニア甲子園では「ビルクライミング」パビリオンに出展しています。

──今後の課題は

認知度・知名度を上げるということでしょうか。現在レベルの安定的成長を維持していくのはそう難しくはないでしょうが、たぶん株主様や社会から求められているのは高成長と急拡大だろうと考えています。知名度向上のための広告戦略などが当面の課題です。一方おかげさまで手元キャッシュフローも積み上がってきていますので、M&Aなども含め今後どういう方策がベストであるのかをさまざまな角度から考えて実現していきます。

取材メモ
数年ぶりの榊原社長への取材。上場当時に比べ「人物が一回り大きくなられた」印象でした。本業を固めつつも業容を新分野にも拡大していく姿勢は今後も継続されるのでしょう。さらに数年後の同社は1部上場企業としての主導的役割を演じていると確信しました。「ありがとう」をもっともっと言ってもらってください。

会社概要および業績

社名 ジャパンベストレスキューシステム株式会社
証券コード 2453
公開市場 東証1部 名証1部
上場年月日 2005年8月(東証マザーズ)2007年9月(東証1部)
設立 1997年2月
決算期 9月
連結決算予想(2011年9月)
売上高7,472百万円(9.4%増)、営業利益590百万円(9.1%増)、経常利益530百万円(0.9%増)、当期純利益513百万円(69.7%増)、一株当たり当期純利益7631.01円
トピックス
2011年5月13日~6月13日にかけて自社株買い(2000株)を実施。

配信元: みんかぶ株式コラム