フージャースコーポレーション 廣岡哲也社長インタビュー

投稿:2011/11/11 13:04

ちょっとした発想の転換で、現在の不動産市場の変化を掴むことができる
今後は住宅にも「格付け」の時代がやってくる

略歴
株式会社 フージャースコーポレーション
代表取締役社長
廣岡哲也(ひろおか・てつや)
1963年、栃木県生まれ。慶応大学卒業後、87年にリクルートコスモス入社し、トップセールスマンとして活躍。94年に「適正な価格で豊かなスペースと高い品質を感じられる住まいを提供する」という志を抱きフージャースを設立、現在に至る。趣味は街歩きと読書。

御社の業態について

当社グループは、「お客様のニーズに合った最高品質の住宅・サービスを提供し続けることで、日本の住まいを豊かにする」という経営の基本理念に基づき、首都圏エリアを中心にマンション及び戸建住宅の企画・分譲事業を展開しています。具体的には「デュオヒルズ」「デュオ」といったブランドでの物件提供をしています。企画・販売から入居後の管理・アフターサービスまで製・販・管一体の責任をもったサービスを行うことで、お客様との末永いお付き合いを実現するとともに、真の顧客満足度No.1の企業グループを目指しています。
今後も、お客様の視点に立った考え方を徹底し、最高品質の住宅・サービスを提供し続けることで、お客様に信頼され、選んでいただける企業グループになるとともに、地域社会や日本の住環境の向上に貢献していきたいと考えています。

社名の由来、スローガンは?

社名は学生の頃に滞在していたアメリカ中部インディアナ州民の愛称です。豊かな住環境に恵まれた同地にあやかり、「日本の住まいを豊かにする」という想いのもと、マンションの企画・分譲事業を首都圏エリアにおいて展開しています。おかげさまで創業から7年10カ月でジャスダック市場に上場。9年9カ月で東証1部に上場させていただきました。
スローガンは「欲しかった暮らしを、しよう」です。例えばホームシアターを楽しめるリビングが欲しい、都心まで1時間で通勤したい、趣味に没頭できるスペースが欲しい、家族で旅行に行けるゆとりを持ちたいなど欲しい暮らしや夢・希望はさまざまなものがあるでしょう。そういう皆さんの望みを実現できるお手伝いをしていきたいと考えています。
そのために当社は「ゆとりスタイル」を提唱しています。「都心から通勤圏というゆとり」、「家族が十分にくつろげる広さというゆとり」、「適正価格というゆとり」、「安心・安全に長く住み続けられるというゆとり」など、当社は常に生活者の視点に立って「ゆとり」のあるマンションづくりを心がけています。

現在の市場環境について

リーマン・ショック以降、中堅以下のデベロッパーの整理淘汰が進展しました。一方で、整理淘汰が進んだことで業界は活性化し、新しい事にチャレンジすることも可能になってきたのです。不動産の仕込みの部分についても、従来は売り物として出てくるとは思われなかった土地なども取引されるようになってきた。その意味では、今までマーケットには無かった商品を発掘することも可能になってきています。ちょっとした発想の転換をすれば、現在の大きな変化を捕まえることもできるのではないでしょうか。
例えば、郊外の大規模開発物件で駅から現地までバスを通したこともあります。低廉良質のユニクロ型の商品提供なども新しいチャレンジの例になるのではないでしょうか。少子高齢化の進展に伴って、広い住宅ではなく、買い物に便利な立地で小さめの部屋のマンションが望まれるという傾向も出始めています。目を地方に転じると、かつては一戸建てというのが常識でしたが、このあたりの意識も変化してきています。
例えば地方の百貨店跡地の再利用などは、生活利便性からすると最高の立地になってくるでしょう。このように構造変化に対応した正しい商品提供をしていくことで、新しい市場を開発することができると考えています。
他にも、当社はリーマン・ショック以降、長期化するデフレ下での不良債権ビジネスの分野にも注目してきました。そういった “デフレビジネスモデル”を構築することも重要であると考えています。
また、3月の東日本大震災以降は、首都圏ではウォーターフロントではなく、山側の立地物件に対する需要が増加しました。シニアの方々の戸建てからマンションへの住み替えも促進されています。「住宅は生活防衛の手段」という思考法が色濃く出てきたように感じています。


白金や三田の案件は新しいビジネスモデルですね

シニア向け分譲マンション「ザ・レジデンス白金スイート」には、当社は販売代理の形で携わっています。物件は東京23区内では唯一の「所有権方式」の分譲マンションですから「相続」も「売却」も可能です。さらに賃貸として人に貸すこともできます。終身利用権のみの有料老人ホームや介護施設とは異なり、資産としての住まいという考え方をしています。今年1月から販売していますが、第1期、2期ともに完売しました。看護師が24時間常駐、訪問介護事務所が建物内に設置されています。
また、「カテリーナ三田タワースイート」は752戸の大型マンションで、販売代理とアセットマネジメント業務を受託しています。このプロジェクトは、投資法人所有の分譲マンションを事業主が取得し、販売を行うものです。こういう形の販売代理業務を軸としたアセットマネジメント、ソリューション事業等、幅広い取り組みを、より一層図って行く方向です。
欧米では広く流通していますが日本でもこれからは「ヴィンテージ・マンション」が出てくるのではないでしょうか。いわゆるリノベーションマンションです。日本でもこれからは中古の選別化が進んでいくと思います。その中で、単なる住居ではなく、より良い環境と共存できるような立地・コンセプトの案件が主流になってくるでしょう。住宅では「クラスA、クラスB」といったような物件の格付けはまだ見られませんが、いずれそういう格付けもされてくるでしょう。その意味では物件・案件の選別眼や目利きが今後もさらに重要になってきます。
またミニ開発的物件ではなく大規模開発された物件に人気が集まってくるのではないかと考えています。加えて長期使用に対する耐久性や再利用の際のコンセプト、街づくりの意識などがますます強調されることになるでしょう。

では次に御社の人材戦略について。女性陣の活用に積極的ですね

お客さまからは「販売の現場に女性が多い会社ですね」という声をよく頂戴します。「女性ならではの住まいの提案、きめ細やかな営業がとても良いと思います」とか「買い替えで購入したので、資金の組み立てが難しかったんです。若い女性の方が担当だったのですが、一生懸命サポートしてくれました。お部屋の選び方も親身になって聞いていただいて、女性同士でいろんな話が出来たのが嬉しかったです」という声もいただいています。

最後に、投資家の皆さんに一言

常に会社は誰のもの?ということを考えています。経営としては顧客・株主・取引先・社員という矛盾する立場を考慮しながら、業績向上のために決断を迫られることの連続です。そういったプロセスや息遣いの発信を心がけています。多くの投資家さんに当社の良き理解者となっていただければありがたいです。

取材メモ

常に現場に根ざした発想をもって経営に立ち向かっている印象でした。廣岡社長は「人のやらないことを意識している」と。白金のシニア向け物件も、その先には、所有権マンションとしての介護付きマンションの流通市場創造があるのではないかと思われました。

会社概要

社名 株式会社フージャースコーポレーション
証券コード 8907
公開市場 東証1部
上場年月日 2002年10月
設立 1994年12月
決算月 3月
連結業績予想(2012年3月期)
売上高 20,000百万円(前年同期比131.2%増)、営業利益 4,050百万円(前年同期比74.1%増)、経常利益3,000百万円(前年同期比80.2%増)、通期利益3,050百万円(前年同期比35.1%増)
トピックス
2011年9月に戸建て事業部を新設。新たな戸建てブランド「デュオアベニュー」シリーズを展開。また、賃貸物件を1棟取得し、分譲する買取再販事業もスタート。

 
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配信元: みんかぶ株式コラム