S&P 500 月例レポート

S&P 500®

2015年がそれまでの3年間の2桁台の上昇からの揺り戻しであるなら
 ―― 再び挑戦させて下さい

 
週、月、四半期、そして年を締め括る日がやってきました ―― シャンパンの栓を抜き、家族の待つ家に帰りましょう。ただ、残念なのは、週明け月曜日(1月4日)には皆、再びここに戻って来なければならないことです。けれども今は、去りゆく2015年を見送りましょう。シャンパンで喉が潤うと、(少しばかり)我に戻るようで、様々な考えが頭の中に浮かんできます。2015年、S&P500は最終日に0.94%安となり、年間では0.73%安とマイナスに転落しました(取引最終日まで待っていたのとはまるで異なります)。年間での下落は、過去3年間の2桁台の上昇、そして82カ月に及ぶ強気市場(平均は59カ月)の後であり、終値は過去最高値(2015年5月21日に記録した2,130.82)を4.08%下回る水準でした。従って、2015年の下落がそれまでの揺り戻しであるなら、よいでしょう、再び挑戦させて下さい。けれども、経済がさらに減速し、欧州か中国の景気が悪化するなら、これが後退局面の始まりの可能性もあります。年末までに原油価格は1バレル30ドル台半ばから後半が当たり前となり、調査レポートでは20ドルという予想もいくつかあります。1ドル53ドルだった2015年初め(2014年6月には105ドル)ははるか昔の話です。2015年は個別銘柄を物色する者にとっては夢(もしくは悪夢)のような1年でした。3分の2以上の銘柄が10%以上変動し、4分の1以上の銘柄が25%以上変動したからです ―― ファンドの成績を確かめるのは興味深いことでしょう(従来の宣伝方法である新聞紙上で、勝利を宣言するファンドを探してみる手はあります)。M&Aブームは続いており、2015年は既に11月の段階で過去最高を記録しました。この先減速が見込まれるものの、記録的な水準からの落ち込みであり、投資銀行マンの懐をまだ潤してくれるでしょう。2016年に関しては、注目・検討すべき銘柄は多くあるとみられます(取引については後で検討してみます)。一番の注目材料は米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げのスケジュールですが、利上げ判断は経済指標次第であるため、経済データ(そして相場動向)に注目することが重要になりそうです。金利は低水準に留まっているものの、上昇が見込まれるため、2016年以降の、将来のための新たな借入れが年央あたりから出始めるでしょう(FRBの動向を見極めてから)。M&Aは過去最高を記録した2015年からは減少するものの、高止まりするとみられます。タックス・インバージョンに対する規制は、強制力のあるものとはならず、世論が盛り上がるだけに終わる可能性があります。その他にも、国際通貨基金(IMF)による2016年10月1日からの人民元の特別引出権(SDR)への採用がどのように受け入れられるかも(そして、市場でどのようなポジションがとられるかも)、注目材料としてあります。週明け4日には休暇中の予定も薄商いも終わり、ウォール街は現実に戻ります。さらに現実に引き戻してくれる材料が雇用統計(2016年1月8日金曜日)、そして決算発表のスタートです。そう、何を言おうと、またこうして日常が始まるのです。


経済関連のニュースは、「期待せよ、さらば得られん」という教え通りの結果になりました(これは滅多にないことです)。FRBが大方の予想通り0.25%の利上げを実施し、市場は予想、そして実際の結果を材料に上昇しました。原油価格、企業業績、消費支出など、利上げ前からの懸念が引き続きくすぶる中、利上げを受けて市場の次の疑問は「利上げ開始時期」から「次の利上げ時期」に移行しました。FRBの声明とガイダンスに関しては、期待された(あるいは取引のための)脚本を忠実になぞったような内容でした。FRBは、景気は力強さを増して2016年にさらに改善するとみており、失業率は低下が続くと予想しています(エコノミストの中には低失業率がインフレ上昇につながるとの見方もあります)。ガイダンスによると、FRBは2016年に0.25%ずつ計4回の利上げを見込んでいるようです ―― 少なくともウォール街はそう解釈しました。そこから導かれた結論は、利上げは緩やかで安定したペースで行われ、経済指標次第になるというものでした――このシナリオならウォール街も安心できるでしょう(不透明感も一部払拭されました)。その他の経済ニュースとしては、IMFが予想通りに中国の人民元をSDRの準備通貨に採用すると決めたことが挙げられます(2016年10月1日から導入)。そうした中、中国は導入に備えて人民元の取引時間を2倍に延長すると発表しました。中国では、国家統計局による11月の製造業PMIは低下し(49.8から49.6)、サービス業PMIは上昇(53.1から53.6)しました。輸出は減少(11月は前年同月比6%減)し、輸入も同様に減少(同8.7%減)しました。鉱工業生産は予想を上回りました(11月は前年同月比5.7%増の予想に対して6.2%増)。日本のGDP改定値は速報値の0.8%減から1.0%増に上方修正され、リセッション入りは回避されました。ユーロ圏加盟19カ国の第3四半期GDPは0.3%増(第2四半期の0.4%増から減速)、英国は年率換算2.1%増となりました。欧州中央銀行(ECB)は中銀預金金利をこれまでのマイナス0.20%からマイナス0.30%に引き下げ、資産買入期間を6カ月延長しました(2017年3月まで)。しかし、ドラギ総裁が「必要なことは何でも行う」とのスタンスを示していたことから予想されていた、月間買入額600億ユーロ(約630億ドル)の増額は見送られました。相場は予想が全てであるため、このニュースを受けて市場は反落し、ユーロは上昇しました。日銀は買入対象国債の平均残存期間を7~10年から7~12年に延長し、量的緩和プログラムを僅かに増強しました。中国人民銀行は2016年の中国の成長率予想を6.8%と、従来の6.9%から若干下方修正しました。米国では、第3四半期のGDP成長率発表の第3弾、つまり確報値が予想通り2.0%増となりました。11月のISM非製造業景況指数は予想を下回り(59.1の予想に対して55.9)、ISM製造業景況感指数も同様に予想を下回りました(50.5の予想に対して48.6)。10月の建設支出は予想を上回り(前月比で0.6%増の予想に対して1.0%増)、前年同月比では13.0%増加となりました。11月の雇用統計では、非農業部門就業者数は21.1万人増(予想は19万人増)となり、建設業の就業者数は最も大幅に増加した住宅建設業(2.6万人増)を中心に4.6万人の増加となりました。失業率は横ばい(5.0%、失業者数は790万人)で、週平均労働時間は34.5時間と、先月から若干減少し(先月は当初の34.5時間から34.6時間に上方修正)、平均時給は0.2%増の25.25ドルとなりました。11月の輸出は予想以上に減少した一方、輸入は予想を上回り、輸出は前年同月比で6.3%減、輸入は同9.4%減となりました。11月の食料品とエネルギーを除くコアの消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.0%となりました。米住宅関連指標は強弱まちまちとなりましたが、楽観的な見通しが続きました。NAHB住宅市場指数は住宅着工件数と同様に予想を下回りました。一方、FHFA住宅価格指数はS&Pケース・シラー住宅価格指数と同様に予想を上回りましたが、新築住宅販売件数は予想に届きませんでした。しかし、市場の注目を集めたのは中古住宅販売件数で、前月比10.5%減、前年同月比では3.8%減となりました。


M&Aについては、2015年の世界の取引総額は11月までの合計で4兆3,000億ドルと、過去最高だった2007年の4兆2,900億ドルを上回りました。そのうち米国関連の案件は2兆ドル超と発表されました。米複合企業大手General Electric(GE、12月は4.0%高)はスウェーデン家電大手Electrolux(ELUXY、同17.6%安)に家電事業を33億ドルで売却する計画を撤回すると発表しました。投資会社JAB Holdings(傘下にコーヒーメーカーを所有)は米コーヒーメーカー大手Keurig Green Mountain(GMCR)を139億ドル、78%のプレミアムで買収すると発表しました。驚くようなプレミアムですが、これは相対的なものです(株価は71.2%高で12月の取引を終えたものの、年初来では32.0%安です)。化学大手Dow Chemical(DOW、同1.2%安)と同業DuPont (E.I.) de Nemours(DD、同1.1%安)は株式交換で対等合併することを発表しました。英国のバイオ医薬品会社AstraZeneca(AZN、同0.3%安)はオランダのガン治療薬ベンチャーAcerta Pharma(株式非公開)と買収協議中だと発表しました(市場は買収金額を50億ドルと推定)。日用品大手Newell Rubbermaid(NWL、同1.3%安)は同業Jarden(株式非公開)を150億ドルで買収すると発表しました。米半導体大手Micron Technology(MU、同11.1%安)は台湾の同業Inotera Memories(Micronは現在Inotera株を33%保有)を32億ドル(現金と債務)で買収すると発表しました。クレジットカード決済処理サービスのGlobal Payments(GPN、同8.9%安)は同業Heartland Payment Systems(HPY、同13.6%高)を43億ドル(現金と株式)で買収すると発表しました。カタールの最大手銀行Qatar National BankはNational Bank of Greeceのトルコの銀行部門を29億ドルで買収すると発表しました。難航している案件もあります。鉄道会社Norfolk Southern(NSC、同11.0%安)はCanadian Pacificからの数回にわたる買収提案を「甚だしく不十分」として正式に却下しました。米規制当局は、事務用品小売り大手のStaples(SPLS、同21.5%安)とOffice Depot(ODP、同14.4%安)の合併計画について、公正な競争を妨害する恐れがあるとして差し止めを求めて提訴しました。


その他のニュースを見ると、S&Pレーティングズ・サービシズは「米国政府が国内の銀行システムに異例の支援を与える可能性は今や「不透明」であり、「政府支援を前提としたかさ上げ部分を取り除く」として、米国の大手銀行8行の格付けを引き下げました。対象となったのは、Bank of America(BAC)、Bank of New York Mellon(BK)、Citigroup(C)、Goldman Sachs(GS)、JPMorgan(JPM)、Morgan Stanley(MS)、State Street(STT)、Wells Fargo(WFC)です。アルゼンチンのマウリシオ・マクリ新大統領(2015年12月10日に就任)がアルゼンチン・ペソに対する通貨規制を撤廃して為替を自由化し、ペソは30%下落しました。ベネズエラの中間選挙では統一社会党のマドゥロ大統領の力が弱まり、野党が勝利しました。OPECが発表した11月の原油生産量は3年ぶりの高水準となり(日量3,170万バレル、サウジアラビアの日量は1,013万バレルで全体の32%を占める)、原油価格は下落が一段と進み、ついに40ドルを割り込んで30ドル台半ばから後半で推移し、2008年12月以来の低水準となりました。OPECの「世界石油見通し」は、原油バスケット価格が2020年に70ドル、2040年には95ドルに達するとの予測を打ち出しました。さらにOPEC加盟国の2020年の生産量は、2015年11月実績を下回る日量3,070万バレルになるとも予想しています。

個別銘柄では、英国の鉱山会社Anglo American Plc(NGLOY、12月は27.7%安)は事業の再編、資産の60%の売却、従業員8万5,000人の削減(全従業員数13万5,000人)、配当の停止(2016年まで)を発表しました。コモディティ企業のGlencore Plc(GLNCY、同8.0%安)は負債削減、事業縮小、資産売却、配当停止を発表しました。天然ガスの輸送と貯蔵を手掛けるKinder Morgan(KMI、同36.7%安)は75%の減配、鉱山会社のFreeport-McMoRan Copper & Gold(FCX、同17.2%安)も3月に84%の減配を決めていましたが、ついに配当を停止する意向を明らかにしました。一方で、天然ガス会社のONEOK(OKE)はガイダンスを発表し、2016年の配当を据え置くとの見通しを明らかにしました。減配はないとの見方から、その見通しを受けて同社の株価は上昇しましたが、12月は16.4%安で取引を終えました。通信機器製造のCiena(CIEN、同17.4%安)や衣料販売大手のMen’s Warehouse(MW、同26.6%安)は、赤字(または赤字見通し)が株価の重しとなりました。ドラッグストアチェーン大手のWalgreens Boots Alliance(WBA、同1.3%高)と製薬会社のValeant Pharmaceutical(VRX、同13.0%高)は販売に関する長期契約を結びました。ValeantのCEOは現在、病気療養のため休職中です。東芝(TOSYY、16.0%安)は今期(2016年3月期)の赤字見通しと共に、リストラ策の一環として8,600人の人員削減を発表しました。

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは12月にS&P500指数の構成銘柄の入れ替えを行い、日用品メーカー大手のChurch & Dwight(CHD)を追加し、Altera(ALTR)を除外しました。またComcastのクラスA特別普通株(CMCSK)がクラスA普通株(CMCSA)に分類が変更されたため、CMCSKを除外しました。さらに2016年1月4日の取引終了後に、保険会社のWillis Group Holdings(WSH)を追加し、Fossil Group(FOSL)が除外される予定です。


FRBは12月に0.25%の利上げを行いましたが、金利に大きな変化はありませんでした。米国10年債利回りは2.27%で取引を終えました(11月末は2.22%、2014年末は2.17%、2013年末は3.03%)。また、30年債の利回りは3.02%となりました(同2.99%、2.75%、3.94%)。外国為替市場では、ECBの施策が不十分との見方からドルは対ユーロで値下がりし、1ユーロに対し1.0861ドル(同1.0569ドル、1.2098ドル、1.3756ドル)となり、英ポンドに対しては1.4776ドル(同1.5055ドル、1.5582ドル、1.6564ドル)、円は1ドルに対して120.66円(同123.26円、119.80円、105.20円)、人民元は1ドルに対して6.4930元(同6.3994元、2015年8月10日の対ドルレート切り下げ前は6.2104元)となりました。金は下落して1,060.50ドル(同1,174.30ドル、1,183.20ドル、1,204.80ドル)となり、原油価格は1バレル40ドル台半ば付近から30ドル台半ば~後半に下落し、37.06ドルで(同41.72ドル、53.27ドル、98.70ドル)、またガソリン価格は2.034ドルに下落して(同2.094ドル、2.299ドル、3.271ドル)12月の取引をそれぞれ終えました。VIX恐怖指数は11月末の16.13から18.21に上昇して12月を終えましたが、2014年末の19.20と比べると低下しています。
 
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12月の1.75%の下落により2015年の年間リターンはマイナス0.73%に

12月は前月からの反発期待にもかかわらず値下がりという結果に終わり、またもや市場にとって厳しい月となりました。10セクターのうち6セクターが値下がりし、S&P500指数は月間で1.75%の下落(配当込みで1.58%の下落)となりました。下落率が特に大きかったのはエネルギーの10.0%です。原油価格は30ドル半ば~後半で推移し、複数の調査レポートが20ドルになると予想しています。エネルギーは年間で23.55%値下がりし、断トツの最下位でした。エネルギーを除くと、S&P500指数の年間リターンは1.37%のプラスでした。コモディティ価格の下落により、素材も大幅に値下がりし、12月は4.43%、年間では10.36%という2桁の下落となりました。12月に最も健闘したのは2.51%上昇した生活必需品で、年間でも3.77%の上昇で終わりました。一般消費財は、個人消費に対する懸念が払拭されず、また実店舗vsネット販売の戦いが続いていることから12月は2.97%値下がりしましたが、年間では8.43%のプラスとなり、全セクターの中で最も高いパフォーマンスでした。ヘルスケアは、2016年度のオバマケアの申請件数が予想以上に伸びたことで12月は1.61%値上がりしました。オバマケアの収益性に対する懸念は残っていますが、現時点では、主に売上高の伸び(健康保険加入者数の増加に伴う)を背景にヘルスケアセクターの利益は上向いています。2015年の上昇率は5.21%、2年間では29.73%と、いずれも高い数字となっています。2014年に最も高い上昇率を記録した公益事業は、12月は反発して1.85%値上がりしましたが、年間騰落率をプラスに引き上げるには足りず、2015年は8.39%の下落で終わりましたが、2年間では依然として13.86%の上昇となっています。

12月は183銘柄が値上がりし(平均上昇率は3.70%)、321銘柄が値下がりしました(平均下落率は6.41%)。上昇率が10%以上となったのは8銘柄で、下落率が10%以上となったのは58銘柄でした。年間の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差はマイナスで終わり、215銘柄が値上がりし(平均上昇率は17.99%)、282銘柄が値下がりしました(平均下落率は20.31%)。上昇率が10%以上となったのは139銘柄で、下落率が10%以上となったのは191銘柄でした。1月は決算発表シーズンを迎えることから、市場ではボラティリティの上昇が予想されます。全体では、低調だった第3四半期に比べて第4四半期は増益が予想されますが、各社が発表する年間ガイダンスとウォール街の予想が比較され、2016年の利益見通しが市場を大きく左右することになりそうです。
 
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投資家が押さえておくべきポイント
・S&P500は12月に73.6%の確率で上昇を記録していたものの、昨年の12月は1.75%下落し、2015年の騰落率はマイナス0.73%となりました。しかし、これは、それまでの3年間の2桁台の上昇、そして82カ月に及ぶ強気市場(平均は59カ月)の後のことであり、終値は過去最高値(2015年5月21日に記録した2,130.82)を4.08%下回る水準でした。従って、2015年の下落がこれまでの揺り戻しであるなら問題はないと思われます。ただし、経済がさらに減速し、欧州か中国の景気が悪化するようであれば、相場の転換点となる可能性もあります。
・原油価格は1バレル30ドル台半ばから後半が当たり前となり、調査レポートでは20ドルという予想もいくつかあります。
・IMFは2016年10月1日から人民元をSDRの準備通貨に採用することを決定しました。
・2015年は、S&P500構成銘柄の66%の銘柄が10%以上、また38%が20%以上変動し、個別銘柄を物色とする者にとっては夢のような(もしくは悪夢のような)1年でした。ファンドの成績を確かめるのは興味深いでしょう(従来の宣伝方法である新聞紙上で、勝利を宣言するファンドを探してみる手はあります)。
・M&Aブームは続いており、2015年は既に11月の段階で過去最高を記録しました。この先減速が見込まれるものの、記録的な水準からの落ち込みであり、投資銀行マンの懐をまだ潤してくれるでしょう。

注目のデータ:エネルギーセクターの株式市場への影響
 
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2016年の考えのメモと注目のポイント:
・一番の注目材料は米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げのスケジュールですが、利上げ判断は経済指標次第であるため、経済データ(そして相場動向)を注視することが重要です。
・金利は低水準に留まっているものの上昇が見込まれるため、企業による(2016年以降の)将来のための新たな借り入れの動向が注目されます。
・M&Aは過去最高を記録した2015年からは減少するものの、高水準に留まるでしょう。タックス・インバージョンに対する規制は、強制力のあるものとはならず、世論が盛り上がるだけに終わる可能性があります。
・IMFによる2016年10月1日からの人民元のSDRへの採用がどのように受け入れられるかも(そして、市場でどのようなポジションがとられるかも)注目材料です。

基本統計:
・S&P500の2015年のリターンはマイナス0.73%とかなり低調であったものの、その裏で、指数構成企業の66%が10%以上の株価の変動を記録しており(10%以上値上がりした銘柄数は140銘柄、10%以上下落した銘柄数は191銘柄)、また、38%の構成銘柄で20%以上株価が変動しました(20%以上値上がりした銘柄は71銘柄、20%以上値下がりした銘柄は118銘柄)。
・2015年の金利はほぼ横ばいで、年末時点の米国10年債利回りは2014年末の2.17%に対して2.27%となっています。今年は金利の上昇が見込まれるものの、急激な上昇は予想されていません。
・S&P500構成企業の2016年の利益予想は引き続き若干引き下げられているものの、なお18.6%の増益が予想されています。2015年は5.6%の減益が見込まれていることを踏まえると、経済が底堅さを維持する限り(そして、エネルギー価格が反発すれば)、これは非現実的な数字ではありません。


1月のフューチャー・ショック
・ウォール街には「1月の市場がその年の市場を占う(As January goes, so goes the year)」と言う古い格言がありますが、これまで、この格言が的中した確率は72.4%となっています。一方、取引初日の値動きとの相関はこれほど確かではなく、取引開始日と同じ方向にその年の市場が動いた確率は50.6%、逆方向に動いた確率は49.4%となっています。
・過去の実績を見ると、S&P500は1月に63.2%の確率で上昇しており、上昇した月の平均上昇率は4.15%、下落した月の平均下落率は3.92%で、全体の平均騰落率はプラス1.18%となっています。
 
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FOMCの会合:
1月26-27日、3月15-16日※、4月26-27日、6月14-15日※、7月26-27日、9月20-21日※、11月1-2日、12月13-14日※

※議長の記者会見が通常、米東部時間午後2時30分に行われます。また、四半期ごとの経済見通しの改定が2時に発表されます。
また、1月21日にはECB政策理事会が開催されます。

 

ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・
インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

本翻訳は、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。
SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはこちらをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム