ゼンリン[東1](9474)、トヨタが地図自動生成システムを展示

投稿:2015/12/24 15:23

 10月2日に同社と三菱電機、アイサンテクノロジー、インクリメント・ピー、トヨタマップマスター、パスコ、三菱総合研究所の7社が、「ダイナミックマップ構築検討コンソーシアム」として内閣府の「自動走行システムの実現に向けた諸課題とその解決の方向性に関する調査・検討におけるダイナミックマップ構築に向けた試作・評価に係る調査検討」を受託したと発表したことを手がかりに、12月21日に年初来の高値2586円と買われています。

 「SIP・自動走行システム」では、東京オリンピック・パラリンピックを一里塚として、自動走行(自動運転)を含む新たな交通システムを実現し、事故や渋滞を抜本的に削減、移動の利便性を飛躍的に向上させることを目指すことへの期待が高まったものと思われます。

 また、22日にトヨタ自動車は、2016年1月6日(水)~9日(土)に米国ネバダ州ラスベガスで開催する2016 International CESにおいて、市販車に搭載しているカメラやGPSを活用して、自動運転の走行に必要となる高精度地図を自動的に生成する「地図自動生成システム」を展示すると発表しましたので、ゼンリンに対する関心は一段と高まると思われます。

 本システムは、カメラを装着した車両が走行中に収集した路面の画像データと位置情報をデータセンターに集約し補正することで、自動的に広域の高精度地図データを作成。将来の自動運転車の走行に役立てるとしています。

 トヨタが2020年頃に実用化を目指し開発中の自動車専用道路での自動運転で必要となる重要な要素技術の一つであり、将来的には一般道や道路上の障害物への対応など、機能を拡張していくほか、高精度地図データの公共・民間サービスへの活用も視野に、地図メーカーとの連携も強化していくとコメントしていますので、ゼンリンが大きく見直されると予想されます。


 トヨタは、1996年に設立されたITS企画部(現 IT・ITS企画部)を中心にITSの事業化を目指し、研究開発・普及活動を推進。同年9月にゼンリンへ出資していますから、今回の地図自動作成システムの開発においてゼンリンと関係を強化すると思われます。

 グーグル、ヤフー、マイクロソフトなどほとんどのデジタル地図サービスは、ゼンリンの地図データを基にしています。同社は、欧州、北米、新興国など、海外のカーナビゲーションやGIS、各種のデバイス向けに、地図データやExit Data(出口周辺情報)、ブランドアイコンなどの各種コンテンツを提供していますし、世界34カ国のハイウェイジャンクション画像を整備しています。

 この12月11日にはゼンリンは、自己保有株19万0900株を大日本印刷に、同9万7900株を博報堂に譲渡しましたが、インターネットを利用したコンシューマーや法人向けの地図情報などの提供で提携を強化するとしたことも株価を刺激しています。カーナビ向け地図でトップシェアを誇るゼンリンに対する関心は一段と高まると見られます。

 同社は、2020年3月期売上高700億円(16年3月期555億円予想)、営業利益100億円(同25億円予想)、ROE12%以上(同4%)、DOE3%以上(同3%)目標の中長期経営計画を掲げており、中長期的な視点から注目されます。

 チャート的には、24か月移動平均線(1445円)をサポートラインに上昇トレンドを鮮明にしていますので、2008年2月高値3260円どころが次の目標になると考えます。これまで主力株の多くが06年、07年高値奪回した経緯を見ます時、テーマに乗っているゼンリンは、長期では06年1月高値4580円前後を目指すこともありそうです。
 
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配信元: みんかぶ株式コラム