米FOMCが政策金利であるフェデラルファンド金利誘導目標のレンジを、0-0.25%から0.25-0.5%に引き上げた。利上げは、「景気回復が続くというFOMCの自信を反映したもの」とした。
今回の利上げは2006年6月以来。2008年12月からは事実上のゼロ金利政策を続けていた。今後の利上げについては「緩やかな」ペースになるとし、来年に0.25ポイントの利上げが4回実施されると想定しながらも、今後入手するデータがもたらす経済見通し次第だとしている。
FOMCは、今年に入って労働市場の状況は著しく改善したと判断しており、インフレ率が中期的に2%の目標に向けて上がっていくとするだけの合理的な確信があるとしている。また、今回の引き上げ後も金融政策の運営姿勢は引き続き緩和的(バランスシート規模を当面維持)で、それによって労働市場の状況の一段の改善と、2%のインフレへの回帰を支えるとした。
今回の利上げに関して、FOMCの金融政策の2大目的の1つである、労働市場の回復を疑うむきはいないものの、物価の安定(消費者物価コア指数2%前後)に関しては、疑わしいとする指摘が多い。
とはいえ、他の物価指数はともかく、先日発表された米11月の消費者物価指数は前月比フラット、前年比+0.5%だった。コア指数では前月比+0.2%、前年比+2.0%と、前月比を12倍しても、前年比をみても、目標は達成されている。エネルギー価格、食糧価格を含む総合指数も、このまま下げ続けるのでなければ、前月比、前年比では安定してくる。
また、今回の利上げに特徴的なことは、利上げをしながらも、金融政策の運営姿勢は引き続き「緩和的」としたことだ。つまり、これは引き締めではないと強調した。これがどういう意味なのかは、イエレン議長が次のような表現を使ったことで判明する。「End of an ‘extraordinary’ era」。
「米経済は異常事態を脱した」。このことに反論するエコノミスト、市場関係者がいるなら会ってみたい。
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