世界戦略車第一弾を発表
昨年の東京国際モーターショーでお披露目された「TRICITY(トリシティ)」。前輪二輪の三輪車という、この“新たな乗り物”は、世界戦略車の第一弾であるとともに、低迷久しい国内バイク市場活性化の起爆剤としての役割も期待されている。先日開かれた国内向けの発表会では、CMキャラクターの元AKB48・大島優子さんも登場。会場の東京・秋葉原UDXには、普段はバイクとは縁遠い報道陣も数多く押し掛け、普段と異なる熱気に包まれた。
三輪バイクで若者市場を狙う
7月1日、曇天の東京・秋葉原。今や東京の文化発信拠点となったこの街の駅前にある複合ビルに、400人近い報道陣が詰めかけた。ヤマハ発動機が新たなコンセプトで開発した前輪二輪の三輪バイク「TRICITY」の国内向け発表会が開催されたのだ。
世界で10万台目標
このバイクの登場劇には2つの注目ポイントがある。1つは同社が今後、続々投入していく世界戦略車の第一弾が、いよいよ日本市場にデビューするという点。そして、若者や女性などこれまでバイクとは縁遠かった層向けに、同社が“本気”で市場開拓の姿勢を見せているという点だ。
リーマン・ショック後の事業改革を終えた同社では、昨年から新コンセプトの世界戦略車を矢継ぎ早に発表した。その先陣を切って、世界市場に投入されるのが「TRICITY」だ。
世界規模の生産最適化によってタイ工場で全量生産されるこの新型バイクは、同社が「リーニング・マルチ・ホイール(LMW)」と名付ける、二輪車免許で乗れる二輪車ではない“新たな乗り物”の1つ。4月に発売されたタイでは、これまでのところ計画を上回る出荷数で、上々の滑り出しを見せている。
日本市場以外でも、今夏から欧州市場に投入されるほか、来年以降はASEAN各国への投入も予定。同社の柳弘之社長は、「17年にはLMW分野で、世界10万台の販売を目標にする」と語っている。
一方、年間7000台の販売目標を掲げ、9月に発売される国内市場では、近年のバイク業界の悲願である若年層開拓に期待がかかる。
現在、国内のバイク市場は年間42万台と、300万台を超えていた全盛期とは比ぶべくもない水準。特に、若年層のバイク離れは著しいが、そんななか、唯一、この層の需要を伸ばしつつあるのが「TRICITY」が投入されるシティ・コミューターの分野だ。
株価も素直に好感
若者市場の開拓を狙う同社の“本気度”は、グループ脱退後、初のCMキャラクターとなる大物タレントの起用や、35万円台と同クラスの二輪車並みにまで抑えた価格戦略などで明らかだ。
今回の発表を受け、同社の株価は1週間で100円近く高騰。このバイクの登場劇は、多くの市場参加者も歓迎する明らかな好材料だったのだ。
大島優子さん起用で、若者需要の開拓を狙う「TRICITY」。
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