IBJ Research Memo(5):婚活事業はコーポレート事業を中心に高成長が続く

配信元:フィスコ
投稿:2018/04/06 15:35
■IBJ<6071>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) 婚活事業
婚活事業の売上高は前期比14.9%増の5,850百万円、セグメント利益は同30.5%増の2,764百万円となった。「ブライダルネット」の会員数減少によりコミュニティ事業が唯一減収となったものの、その他の事業はすべて2ケタ増収が続いた。また、利益に関してはコミュニティ事業も含むすべての事業で増益を達成している。コミュニティ事業に関しては、インターネット広告費を戦略的に絞り込んだことが増益要因となった。

a) コーポレート事業
コーポレート事業の売上高は前期比23.4%増の1,178百万円となった。2017年12月期末の「日本結婚相談所連盟」の加盟数が前期末比22.9%増の1,629社と順調に拡大したことに加え、第3四半期より初期開業費用を120万円から150万円に改定したことも増収要因につながった。また、第3四半期には業界初のお見合いシステムアプリをリリースし、婚活会員に対するサービス向上にも取り組んだ。

「日本結婚相談所連盟」の活動実績を見ると、2017年12月末における婚活会員数は前期末比1.3%増の5.9万人となり、年間お見合い件数は前期比9.9%増の約30万件、成婚者数は同16.6%増の9,375人(連盟外含む)、うち、連盟内の会員同士の成婚者数は同20.4%増の5,708人に増加した。「日本結婚相談所連盟」の規模の拡大と同時に、成婚率も上昇していることがうかがえる。

加盟件数については四半期ごとに増加傾向が続いている。フランチャイズフェアなどの展示会に積極的に参加するなど営業チャネルを広げているほか、Webでの集客に注力したことが奏効している。新規加盟の大半は独立開業による個人事業主で占められている。学習塾や飲食店などほかのフランチャイズ事業と比較して初期開業費用が低いほか、パソコンやスマホがあれば開業できること、また、月額システム利用料が約2万円で、婚活会員数を2名(月額会員費約1.5万円と仮定)獲得できれば月間損益が黒字となる計算で、成婚料金20万円とすると、8人を成婚に導けば初期費用も回収できることになり、収益化へのハードルが比較的低いことが人気を博している要因になっていると考えられる。

b) コミュニティ事業
コミュニティ事業の売上高は前期比10.4%減の601百万円と、サービス開始以降初めて減収となった。顧客獲得競争が激化するなか、2017年は消耗戦を避け、差別化戦略の確立に注力した。この結果、2017年12月期末の「ブライダルネット」の有料会員数は前期末比21.3%減の1.44万人となったが、利益面では広告費の削減効果により増益を維持している。

差別化戦略としては、2017年8月にWebサイトをリニューアルし、利便性の向上を図っただけでなく、2018年2月からは会員の婚活をサポートする『婚シェルジュ』の専任担当制を導入した。同社は結婚相談所を運営しており、同相談所のカウンセラーのメソッドを体系化し、『婚シェルジュ』の研修プログラムに組み込むことで顧客満足度の向上(良い出会いの機会を提供する等)を図り、退会率の抑制に取り組んでいく。実際、退会数はここ数カ月減少傾向となっており、2月の会員数は5カ月ぶりに前月比でプラスに転じたと見られる。現在、『婚シェルジュ』は7名体制で、新規会員を中心に担当をつけているが、今後もプラスに寄与するようであれば、婚シェルジュの増員を進め、当面は1人の婚シェルジュにつき1,000人の会員をサポートしていくことを考えている。

c) イベント事業
イベント事業の売上高は前期比17.7%増の2,321百万円と好調に推移した。「PARTY☆PARTY」と「Rush」を合わせたイベント動員数は前期比24.1%増の62万人と大幅に増加したことが要因だ。増収要因の大半を占めた「PARTY☆PARTY」は多彩な企画による集客力アップに取り組んだほか、2016年12月期に出店した直営6店舗(京都、池袋、博多、千葉、名古屋、渋谷)やFC4店舗(新潟、三重、群馬、浜松)が通期でフル寄与したことが高成長につながった。特に、例年は第2、第4四半期に売上高が偏重する傾向にあるが、当期は好天気に恵まれたことや好評な企画が集中したこともあって第3四半期の売上高がピークとなっている。

d) ラウンジ事業
ラウンジ事業の売上高は前期比17.0%増の1,743百万円となった。直営結婚相談所「IBJメンバーズ」の2017年12月期末の会員数が前期末比10.8%増の約5,000人と順調に拡大したほか、2016年夏にコースの見直しと料金改定※を実施したこと、成婚者数が前期比18.4%増の1,269人に増加したことが増収要因となった。

※従来はプランごとに月額会費が異なっていたが、6,200円コースを廃止し、一律15,000円とした。


成婚者数増加の要因としては、2016年夏以降、成婚率の高いハイクラスの男性会員数の獲得に注力し、男性会員比率が5割を超えた効果(2015年までは4割)が出ていることに加えて、カウンセラーと会員との相性を考慮し、活動が停滞している会員については定期的にカウンセラーを変更するなど、成婚に向けた取り組みを強化したことが要因と見られる。なお、店舗数は2017年12月時点で12店舗体制となっている。

(2) ライフデザイン事業
ライフデザイン事業の売上高は3,611百万円(前期は178百万円)、セグメント損失は29百万円(同3百万円の損失)となった。なお、のれん償却前では29百万円(前期は4百万円)の利益となった。

ウインドアンドサンで展開するウェディング事業の売上高は前期の1.7億円から約3億円となった。前第3四半期から連結対象となっており、当期は通年でフル寄与したことになる。営業利益は数百万円の黒字だったが、のれん償却後では若干の損失となっている。同事業では提携式場数の拡充や式場送客の増加による収益力向上に取り組んでいるほか、結婚情報誌の発行及び広告販売の強化を進めている。結婚準備無料相談サロン「ウェディングnavi」については前期から2店舗増やし、合計5店舗に拡大した。いずれも同社の婚活ラウンジと併設した店舗となっている。IBJグループからの式場送客実績は893組(2016年は542組)に拡大し、今後の更なる成長が期待される。

一方、かもめの旅行事業は売上高で33億円、営業利益で約20百万円となった。こちらものれん償却後では若干の損失となっている。海外のパッケージツアーの企画や、大手旅行代理店へのツアー提供、オーダーメイド旅行のアレンジなど、積極的な営業活動に取り組んでいる。IBJグループからの新婚旅行成約実績は42組となっており、今後も更なる増加が期待される。また、2018年からは「PARTY☆PARTY」とのコラボレーションによる婚活バスツアーや海外旅行などの企画もスタートする予定となっており、シナジー効果が出てくるものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

<MH>
配信元: フィスコ

関連銘柄

銘柄 株価 前日比
6071
639.0
(09:36)
-7.0
(-1.08%)