北朝鮮ミサイル発射で緊張が走るも、2兆円割れの閑散相場に変化なし

著者:市原義明
投稿:2017/08/29 18:38

◆売買代金が増加しないと始まらない?

30日の日経平均は、為替や海外市場が重石になって続落の想定です。

29日は北朝鮮のミサイル発射で円高が加速し、日経平均は続落になりました。サプライズのミサイル発射でもかなり下げ渋ったと思われますが、値動き以上に売買代金が膨らまなかったのが印象的でした。

日経平均は5月1日以来の安値水準ですし、北朝鮮の挑発が一過性の下落になることも多いので、値ごろ感からの押し目買いで売買代金がもう少し増えてもよさそうでした。

しかし、東証1部の売買代金は1兆8千億円台に留まり、7営業日連続の2兆円割れが続いています。

日経平均だけを見るとかなり下がったように感じるのですが、TOPIXは200日線まで十分な余裕があるだけでなく、25日線と75日線のデッドクロスにもなっていません。

また、騰落レシオもやっと100%を割れる程度(96.60%)ですから、株式市場全体は調整ともいえない水準と考えられます。

このため、北朝鮮のミサイル発射で急落しても、安いと感じなかったのだと思われます。

明日も円高や欧米株安が重しになりそうなため、日経平均は続落の想定です。ただし、日経平均が続落するかどうかよりも、株式市場全体の調整が進むのかが焦点になりそうです。

日経平均だけのテクニカル指標は底値が近そうなデータもあるのですが、株式市場の底値シグナルになりやすい騰落レシオや新安値銘柄数は底値とはいえない数字です。

4月の調整のように騰落レシオが70%割れに向かうのであれば、TOPIXや値下がり銘柄などの下落がこれからきつくなると考えられます。値下がり銘柄数が増えていくイメージだと、地合いの悪さが目立ってくるかもしれませんが、全面安の展開になれば短期的なアク抜けにつながる期待もあります。

売買代金が増加して上がり始めれば上昇転換の初動型ですし、下がっても売買代金が増加すれば、セリング・クライマックス型になるかもしれません。いずれにしても売買代金の増加を待ちたい場面だと思われます。
市原義明
株式会社ストックゲート 執行役員兼営業部長
配信元: 達人の予想