「ひとまず底入れ」と見るが、上値を追うには「もう一押し欲しい」…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/08/07 10:58

◆米雇用統計は“概ね良好” - 一時111円台を回復

※ご注意:予想期間は8月8日と表示されていますが、本日(8月7日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


注目の米雇用統計は“概ね良好”な結果でした。

“非農業部門雇用者数(+20.9万人)”は事前予想を上回り、“失業率(4.3%)”は2001年5月以来の水準に低下しました。
“時間当り平均時給(+0.3%)”も前月を上回っており、「米年内利上げ/バランスシート縮小が後ズレする」との思惑は後退していきました。
「秋に税制改革を発表する計画」とのコーンNEC(国家経済会議)委員長発言も後押しとなり、ドル円は一時111円台を回復しています。

もっとも111円台での“上値の重さ”は相変わらずであり、その後は“週末のポジション調整”も重なりました。
一時2.29%に上昇していた米10年国債利回りが2.26%に伸び悩んだことで“上げ渋り”に転じ、110.70円水準に押し戻されて先週末の取引を終えています。

◆「ひとまず底入れ」と見るが、上値を追うには「もう一押し欲しい」…!?

米雇用統計は「跳び抜けていい」というわけではないものの、「悪いところは見当たらない」という結果でした。
このため「111円からさらに上値を模索するか?」と問われれば、“微妙”といわざるを得ないところです。
ただ「米年内利上げ/バランスシート縮小の後ズレ観測」に関しては、着実に後退すると見られます。

一方で「111円台の滞空時間は極わずか(数分間)」であり、“上値の重さは鮮明”といわざるを得ません。
このため「先週末の動きがそのまま引き継がれる」と考えるのが“いささか早計”であり、後押しとなるイベントも本日は不在です。

オーダー状況を見ると“110.60-50円のドル買い/110.90-111.10円にドル売り”が目立っており、どちらを突破するにも骨が折れそうな感じがします。
「ひとまず底入れした」と見ますが、上値を追うには「もう一つ、後押しが欲しい」と考えたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:111.619(7/11~8/4の38.2%戻し、日足・一目均衡表先行スパン下限)
上値4:111.504(50日移動平均線)
上値3:111.328(7/28高値、100日移動平均線、7/26~8/4の61.8%戻し)
上値2:111.224(ピボット1stレジスタンス)
上値1:111.047(8/4高値、日足・一目均衡表転換線、大台)
前営業日終値:110.710
下値1:110.586(8/4高値後の押し目、8/4安値後の38.2%押し)
下値2:110.447(8/4安値後の50%押し)
下値3:110.306(8/4安値後の61.8%押し)
下値4:110.131(8/4安値後の76.4%押し)
下値5:110.000(大台、ピボット1stサポート)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:28 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想