“ネガティブに反応しやすそうなムード”は漂っているが…?

著者:武市佳史
投稿:2017/08/04 11:12

◆ドル円、再び110円を割り込む…

※ご注意:予想期間は8月5日と表示されていますが、本日(8月4日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


スーパーサーズデーを背景にした“ポンド売り”、ISM非製造業景況指数を背景にした“ドル売り”がドル円下落を誘いました。

前者は「物価/成長/賃金見通しを下方修正」したことで、“英10年債利回り低下⇒米10年債利回り低下”がもたらされたからです。
一方で後者は「事前予想を大きく下回る2016年8月来の水準(53.9)」に留まったことで、“米雇用統計の下振れ懸念⇒年内追加利上げ観測後退”を誘ったからです。
110円半ば~後半で膠着していたドル円でしたが、再び110円の大台を割り込むに至っています。

◆米雇用統計、注目は“時間当り平均賃金”

こうした状況下、本日は米雇用統計が行われます。
事前予想は「非農業部門雇用者数:+18.0万人」「失業率:4.3%」「時間当り平均賃金:+0.3%」となっており、ここからの乖離具合が注目されるところです。
特に“米雇用情勢は概ね良好”であるものの、“物価伸び悩み⇒米金利先高観後退”との思惑を誘っている状況だけに、“時間当り平均賃金”には特に注意が必要です。

仮に事前予想を下回るようなことがあると、すでに下げた後ではありますが、“新たなドル売り”がマーケットを覆っても不思議ではありません。
一方で短期的なドル売りポジションはかなり積み上がっていると見られるだけに、事前予想を上回ってくるとドル買い戻しが急速に高まってもおかしくありません。
週末のポジション調整ニーズも重なると見られるだけに、後者となった際の展開も十分に想定しておく必要がありそうです。

◆“ネガティブに反応しやすそうなムード”が漂っているが…?

まずは“先走ったドル売りの巻き戻し優勢”、ただしトランプ政権の先行き不透明感もあって“上値の重さも露呈”といった展開が想定されますが、発表までは“小幅レンジの揺れ動き”が基本、そして後は“結果次第”…。
イメージ的には“さらなるドル売り”、“ネガティブに反応しやすそうなムード”も高まりつつあるように見えますが、“大きく巻き戻される”というシナリオに関しても十分に想定しておきたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

注:普段より値幅を拡大しています。
111.328(7/28高値、7/26~8/3の61.8%戻し)
111.198(ピボット2ndレジスタンス)
110.982(8/2高値、7/26~8/3の50%戻し、日足・一目均衡表転換線、大台)
上値5:110.823(8/3高値)
上値4:110.747(7/26~8/3の38.2%戻し)
上値3:110.553(8/2~8/3の61.8%戻し、ピボット1stレジスタンス)
上値2:110.421(8/2~8/3の50%戻し)
上値1:110.289(8/2~8/3の38.2%戻し)
前営業日終値:110.022
下値1:109.860(8/3安値)
下値2:109.647(ピボット1stサポート)
下値3:109.273(6/15安値、ピボット2ndサポート)
下値4:109.000(大台)
下値5:108.788(6/14安値、週足・一目均衡表先行スパン下限)
108.719(4/20安値、ピボットローブレイクアウト)
108.317(4/18-19安値)
108.132(4/17安値)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:30 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想