必ずしも“ハト派”とはいえない…?

著者:武市佳史
投稿:2017/07/13 11:23

◆“ドル売り”で反応 - イエレン発言

※ご注意:予想期間は7月14日と表示されていますが、本日(7月13日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


注目のイエレンFRB議長・議会証言(下院)は「バランスシート縮小の年内開始」こそ示唆されたものの、「年内あと1回の利上げ」が示唆されることはありませんでした。
これを“追加利上げに慎重(ハト派)”と捉えたマーケットは“ドル売り”で反応し、一時113円を割り込む水準へと売り込まれています。

◆ただ、必ずしも“ハト派”とはいえない…?

“ハト派”と捉えられたことで、勢いがつきつつあったドル買いは“水を差された”格好といえます。
「それなりに失望が続く」といった可能性は、否めないところです。

一方で「インフレ鈍化は一時的要因」との見方は変わっておらず、必ずしも“追加利上げに慎重(ハト派)”とはいえないところは残っています。
「バランスシートの縮小」にしても、“9月開始の思惑はより高まった”印象さえあります。
このため“日米金利格差拡大観測”は残る可能性が高く、ドルを大きく押し下げ続けるといった展開は、いささか想定しづらいところでもあります。

◆本日は“イベントの谷間”、“積極的なポジション形成は手控えられる”…!?

イエレン議会証言(上院)は本日も予定されていますが、昨日証言を覆すほどの内容が飛び出すとは想定しづらいところです。
またインフレ指標である卸売物価指数(PPI)も予定されますが、明日の消費者物価指数(CPI)に比べると“一段、落ちる”のは否めません。
そうなると本日は“イベントの谷間”的な動きになりやすく、“積極的なポジション形成は手控えられる”と考えるのが自然ということになります。

想定した以上に“下に押した(見方を外した)”直後であり、また前記“イベントの谷間”との見方もあって“本日は様子見”と見ますが、“大きな下落は想定しづらい”と考えたいところです。
「金融政策の正常化争いはドルが先頭⇒最後方を進むのは日本(円)」が変わらない限り…。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:113.962(7/12高値、大台)
上値4:113.895(7/11~7/12の61.8%戻し)
上値3:113.710(7/11~7/12の50%戻し、ピボット1stレジスタンス)
上値2:113.525(7/11~7/12の38.2%戻し)
上値1:113.334(日足・一目均衡表転換線)
前営業日終値:113.169
下値1:113.000(大台)
下値2:112.927(7/12安値)
下値3:112.827(7/5安値)
下値4:112.738(7/4安値、6/30~7/11の50%押し、ピボット1stサポート)
下値5:112.512(20日移動平均線)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:48 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想