新しい材料ではなく,就任式を前に買戻しの材料を模索していた状況 トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2017/01/19 11:30

日足チャートは「抱き線」、しかし、ドルインデックスは、「はらみ線」が出現


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■昨日は、注目されていたイエレンFRB議長による講演があり、利上げ時期について「今後数ヶ月の経済情勢をみて」という言葉をきっかけに、急ピッチでドルを買い戻す動きとなりました。
ここ数日間のトランプ次期大統領によるドル高けん制発言をかき消すかのような動きになっています。


■さて、トランプ次期大統領の就任式が明日に控え、神経質な相場展開と予想しています。

昨日は、イエレン議長発言でドルが巻き戻されましたが、これで完全にトランプ相場の調整が終了したと判断するのは少々、疑問です・・

というのもトランプ次期大統領の異常なまでの支持率で、その不人気ぶりは前代未聞といって良いほどの状況です。少なくても明日の就任式では、その状況を踏まえ「米国の第一主義」を連呼する可能性が高く、予定されているトランプノミクスに言及する可能性も低いかもしれません。
むしろ、TPP離脱やNAFTAの再開、貿易不均衡を言い出す可能性が大とみています。その意味では、為替相場はリスク回避に傾く可能性がありそうです。


これだけの不支持で就任するとなると、今後のトランプ次期大統領自身のリスクを想定しなければいけない状況です。自国にいても、他国に訪問しても敵が多いことは、米経済情勢にとってもアゲンストだとみています。


■但し、現在の米経済情勢は世界中で一番良好な状態は認めます。しかし、トップが替わることでその流れも急激に変化することはどの国も同じです。

これまでのハイブリッシュなリスク選好相場で、「トランプリスク」という言葉を忘れているような気がします。
もしかするとこのトランプリスクとは、トランプ次期大統領自身のリスクにあるのだと、最近感じました。

そのトランプ次期大統領の標的となっているのが「中国」です。これまで対中貿易において、どれだけ不合理なものを突きつけられてきたのか・・、
通貨切り下げや米国債売却とやりたい放題にはもう我慢の限界というイメージです。

その意味では今後の中国との貿易摩擦にも注目したいです。更に言えば、中国の動き次第では、つながりの深いアジア諸国の経済情勢も急低下する恐れもあり、1997年以来のアジア危機に発展する恐れもあるので注意したいです。


■最後に、ドル円です。

昨日はイエレン議長発言でドル円の日足チャートは「抱き線」になっています。しかし、ドルインデックスは、「はらみ線」が出現しています。

正直どちらが本物なのか迷うところです。

しかし、このトランプラリーは何が出ても不思議ではないし、テクニカルで判断できる相場出ないことも確かです。

トランプ次期大統領の「ドル高けん制」VSイエレンFRB議長の「追加利上げ」どちらが強く相場に作用するのか・・?

本日は、115円前半レベルでの「戻りの売り」を想定しています。

平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想