円高一服で買い先行、トランプ発言に“耐性”の見方

著者:冨田康夫
投稿:2017/01/18 19:18

明日の東京株式市場見通し

 19日の東京株式市場は、1月10日以降ほぼ一本調子で進行してきた外国為替市場での円高・ドル安進行にやや一服の兆しが見えはじめたことを手掛かりに、投資家心理が改善し、買い先行となりそうだ。また、来週から本格化する17年3月期決算企業の第3四半期累計(4~12月)決算発表のなかで、昨年11月以降の急速な円安を追い風とした輸出関連企業の業績好転への期待感もある。

 市場関係者からは「きょうは、トランプ次期米大統領が米メディアとのインタビューで、中国の人民元相場に関連して米ドルが高すぎると発言したのを嫌気して、外国為替市場で一時、1ドル=112円台半ばまで円高・ドル安が進んだ。しかし、午後には113円30銭台まで戻す展開で、日経平均株価も上昇に転じた。トランプ発言のマイナス影響に対して市場では徐々に“耐性”ができつつあるようだ」との見方が出ていた。

 18日の東京株式市場は、朝方は海外株安の流れや円高を嫌気して日経平均株価は続落歩調で始まったものの、売り一巡後は押し目買いが優勢となり、後場は上昇に転じた。日経平均株価終値は、前日比80円84銭高の1万8894円37銭と3日ぶりに反発した。

18日の動意株

 大泉製作所<6618>=ストップ高で、昨年来高値を更新。
17日の取引終了後、臨時株主総会の開催と取締役の異動を発表しており、取締役選任候補者のうち1人を投資会社インテグラル(東京都千代田区)が指名することから、インテグラルの経営参画に対する期待感から買いが入っているようだ。なお、インテグラルは、運用するファンドを通じて昨年11月から12月にかけて大泉製株に対するTOBを実施。現在、26.27%を保有している。

 エルテス<3967>=後場急伸。
18日、人工知能エンジン×検知テクノロジーを用いて行動履歴分析やリスクの予兆検知を行う、AI Analyticsシリーズの第1弾として、プロジェクト稼働状況や実態の分析、可視化を目的とした「AI Operation Analytics」の提供を今月から開始すると発表しており、これを好材料視した買いが入った。

 コナミホールディングス<9766>=反発。
18日、傘下のコナミデジタルエンタテインメントが、スマートフォンゲーム「遊戯王 デュエルリンクス」を欧州・南米・アフリカ大陸に向け配信を開始したと発表しており、ユーザー層の拡大を期待した買いが入っているようだ。「遊戯王 デュエルリンクス」は、11日にグローバル配信を開始しており、日本、北米、欧州を中心に75の国と地域、9言語で楽しまれているトレーディングカードゲームの面白さを、スマートフォン向けに最適化したゲーム。

 山王<3441>=4日連続のストップ高で昨年来高値更新。
引き続き12日の取引終了後に発表した、東京工業大学と共同で研究・開発を行い発明した「金属複合水素透過膜とその製造方法」について特許を取得したことが材料視されているようだ。この発表を受けて株価は人気化し、13日から3日連続でストップ高配分を記録。これを受けて東京証券取引所ではこの日から値幅制限を300円に拡大したが、なおも買いを集め、ストップ高でひけた。

 日本ファルコム<3723>=一時ストップ高し、昨年来高値更新。
同社はきょう、都市型神話アクションRPGのプレイステーション・ヴィータ向け「東京ザナドゥ」英語版を今夏に、プレイステーション4向け「東京ザナドゥeX+(エクスプラス)」英語版を今秋に、北米および欧州で発売すると発表。業績への寄与などが期待されているようだ。

 平田機工<6258>=6日続伸。
同社は17日、自動車関連生産設備の大型案件を複数受注したと発表。これが材料視されているようだ。同社は第2四半期(7~9月)から電気自動車関連生産設備を受注しており、第3四半期までの累計受注額は110億円超になったとしている。また、第4四半期には北米自動車メーカーから約30億円のトランスミッション関連の生産設備を受注したことも明らかにした。なお、業績への影響は、一部の案件について今期予想に織り込んでいるとしている一方、その他は来期以降の業績に寄与することを見込んでいる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想