閑散に売りなしで小動き、方向感に乏しい推移

著者:冨田康夫
投稿:2016/12/28 18:56

明日の東京株式市場見通し

 29日の東京株式市場は、国内投資家が年末年始休暇入りすることから、市場参加者は限定的で、閑散商いのなか方向感に乏しい推移となりそうだ。ただ、外国為替市場の円相場が1ドル=117円台半ばでの推移となっており、売りを出し難い地合いが続いている。

 市場関係者からは「きょうは、12月期末の配当権利落ち日にあたり、日経平均株価の落ち分は約28円だった。落ち分の即日埋めはならなかったものの、東証株価指数(TOPIX)が5日ぶりに小幅反発に転じ、東証1部の値上がり銘柄数が1411に達するなど、実質は比較的堅調な相場だった」との見方が出ていた。

 米国の原子力発電事業に関連して数千億円規模の減損損失が出る可能性があると27日に発表した東芝<6502>はストップ安に売り込まれたものの、そのマイナス影響は東芝プラントシステム<1983>など一部の関連企業に限られ、全般相場への波及は限定的で、地合いの底堅さを示した。

 28日の東京株式市場は、売り買い交錯のなか日経平均株価は狭いレンジでの往来となった。終値は前日比1円34銭安の1万9401円72銭とわずかながら反落した。年末特有の市場参加者不足から売買代金の落ち込みが目立ち、東証1部の売買代金は1兆5591億円で今年最低となった。

28日の動意株

 コナミホールディングス<9766>=大幅高で年初来高値更新。
モバイルゲーム「遊戯王 デュエルリンクス」を17年1月中旬から全世界に向けて配信する予定であり、期待感が高まるかたちとなっているようだ。このゲームは、日本・北米・欧州を中心に75の国と地域、9言語で楽しまれているトレーディングゲームカードの面白さをスマートフォン向けに最適化したモバイルゲーム。国内では11月17日から配信を開始し、前日27日には700万ダウンロードを突破したことを明らかにしている。

 ダイセキ<9793>=大幅反発し年初来高値更新。
27日付でみずほ証券が投資判断「買い」継続、目標株価を2650円から3000円へ引き上げた。原油価格の上昇や円安による鉛価格の上昇で事業環境が好転、17年2月期は通期連結営業利益で会社側計画の76億9000万円(前期78億4900万円)に対して従来予想の85億円から85億3000万円へ、18年2月期は90億5000万円から94億5000万円へ引き上げている。

 中村超硬<6166>=大幅高。
同社は27日の取引終了後、住江織物<3501>との合弁会社で、シリコンウエハーの加工・販売を手掛ける中超住江デバイス・テクノロジー(NSDT)の株式を追加取得し、連結子会社化すると発表しており、業績への貢献を期待した買いが入っている。NSDTには、住江織物が50.1%、中村超硬が49.9%を出資しているが、今後の事業展開を考慮した結果、1万9248株を追加取得し、所有割合を90.0%に高めるという。なお、株式譲渡実行日は12月末までとしている。

 神戸物産<3038>=大幅反発し年初来高値更新。
同社は27日の取引終了後、16年11月の月次実績を発表、「業務スーパー」店舗への出荷実績は、既存店で前年同月比8.0%増となった。全店では同12.2%増ととなっており、全体売上高は同11.2%増の184億5500万円となり、営業利益については同60.7%増の9億5300万円の大幅増益となっている。仕入れコストの低減や、NB商品をPB商品へ切り替えたことで利益率が大幅に改善している。

 IGポート<3791>=3連騰で年初来高値更新。
全般相場が手掛かり材料難となっているなか、アニメ関連としてのテーマ性が改めて注目されているもよう。また、23日からは人気アニメ「攻殻機動隊」シリーズの人気キャラクター「タチコマ」を活用した接客サービスの実証実験を東京大学発ベンチャーのkarakuri productsなどと共同で展開しており、これに対する関心も高まっているようだ。なお、同取り組みは経産省による16年度の「ロボット導入実証事業」にも採択されている

 ニッコウトラベル<9373>=急伸し年初来高値更新。
同社は熟年向けの海外旅行の企画販売を手掛ける。27日取引終了後に17年3月期の連結業績予想の修正を発表した。最終利益を500万円から4000万円(前期比80.9%減)に8倍に上方修正しており、これを好感する動き。修正後の最終利益でも前期比8割減と低迷しているが、株価は底値圏でもみ合いを続けていたこともあって、上値が軽い。PBRは0.9倍に過ぎず、配当利回りが3.3%前後と高いこともポイントとなっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想