主力株には見送り姿勢、個人の中小型株物色は活発化

著者:冨田康夫
投稿:2016/12/27 19:19

明日の東京株式市場見通し

 28日の東京株式市場は、官公庁や事業会社の多くが仕事納めを迎えるため、市場参加者は一段と減少し、機関投資家の売買比率の高い主力銘柄には見送り姿勢が強まりそうだ。その半面、株価が比較的低位でボラティリティの高い個人投資家好みの中小型株に物色人気が集まる可能性がある。外国為替市場での円相場が1ドル=117円台にとどまり、それ以上円高・ドル安方向に進まない限り、日経平均株価も大幅な下落は避けらそうだ。

 市場関係者からは「中小型株物色活発化を裏付けるように、東証2部指数は心理的フシ目の5000ポイントを超えてからもジリ高歩調が続いている。市場エネルギー不足のなかで、しばらくはこうした流れが続きそうだ」との見方が出ていた。

 27日の東京株式市場は売り買い交錯のなか、日経平均株価は前日終値を挟んでの上下動を繰り返し、結局大引けは小幅ながらプラス圏に浮上した。日経平均株価終値は、前日比6円42銭高の1万9403円06銭と4日ぶり小幅反発。東証1部の売買代金概算は、1兆8354億円と2日連続で2兆円を割り込んだ。

27日の動意株

 東京個別指導学院<4745>=続急騰。
市場参加者不足で主力株の上値が重くなるなか、中小型の材料株物色の流れが強まっており、そのなか値動きの軽い同社株には個人投資家を中心とした短期資金が集中している。首都圏中心に個別指導塾へのニーズが高まるなか、同社の3~11月期累計の新規入会者数は前年同期比8.8%増と大きく伸びているほか、11月の在籍生徒数が前年比4.5%増と好調で、これを材料視するかたちで買い人気が継続している。2016年のオリコン日本顧客満足度ランキング「高校受験 個別指導塾 首都圏」でも4年連続1位を獲得するなど高評価を獲得している点は強み。

 トレイダーズホールディングス<8704>=急騰。
KDDI<9433>が27日、指紋など高度な生体認証技術を持つベンチャーのLiquid(リキッド、東京都千代田区)と資本・業務提携したことを発表、リキッドの技術を活用してスマートフォンなどで普及が進んでいる本人認証システムの基盤構築を目指す方針。トレイダーズHDはLiquidと提携関係にあり、指紋認証関連として急速人気化する格好となっている。

 ハイパー<3054>=後場急動意。
同社は午後1時過ぎに、リチウムイオン電池事業に特化したベンチャー企業のMIS(東京都品川区)と提携し、モバイルバッテリー特化型UPS(無停電電源装置)「PowerUPS」の販売を開始したと発表しており、業績への貢献を期待した買いが入っている。「PowerUPS」は、MIS社製のモバイルバッテリー「PowerShuttle」専用の無停電電源装置。企業や自治体でBCP(事業継続計画)策定の必要性が高まっており、特に自然災害時に携帯電話やスマートフォンへの充電用電源をいかに確保するかが大きな課題となっていることから、BCP強化対策の一環としてUPSの導入を検討する企業や自治体に対して、提供を開始したという。

 グランディーズ<3261>=続急伸し、約7カ月ぶりに年初来高値更新。
同社は26日の取引終了後、16年12月期の単独業績予想について、売上高を19億円から19億4300万円(前期比14.6%増)へ、営業利益を2億4500万円から2億9500万円(同30.5%増)へ、純利益を1億5000万円から1億8500万円(同32.1%増)へ上方修正したことが好感されている。主力の建売住宅販売や投資用不動産販売が堅調に推移したことが業績を引き上げた。また、用地費や建設費の抑制による収益性の改善や、粗利益率の高い不動産仲介手数料収入の計上、さらに販売費の削減などが寄与した。

 パピレス<3641>=続急伸。
同社は26日、初めての1社提供ミニ番組「コミックBAR Renta!」を来年1月4日からTOKYO MX1で放送開始すると発表しており、認知度向上による利用者層の拡大に期待した買いが入っている。同番組は、夜更けのバーを舞台に、マスター(声優の森嶋秀太氏)が、来店する客の悩みに耳を傾けて、カクテルではなく、同社が展開する電子書籍レンタルサイト「Renta!」で読めるマンガを勧めるという内容。イケメン声優たちが続々と来店予定で、マスターと客による、新感覚の「朗読コーナー」などが楽しめるという。

 豆蔵ホールディングス<3756>=大幅続伸。
同社は26日の取引終了後、データ統合ツール「AGRA」の開発・販売を手掛けるアグラ(東京都新宿区)の全株式を取得し子会社化すると発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っている。ビッグデータ関連事業における既存サービスの付加価値向上やライセンスビジネスの拡充を図るのが狙い。なお、17年3月期業績への影響は軽微としている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想