市場参加者の減少続き閑散相場に

著者:冨田康夫
投稿:2016/12/26 18:46

27日の東京株式市場見通し

 27日の東京株式市場は、欧米の主要株式市場が26日はクリスマスの祝日の振り替え休日に当たり休場となることから、市場参加者の減少が続くなかで売り買いともに手控えられ方向感に乏しい推移となりそうだ。

 きょうの日経平均株価の高値と安値の振れ幅は、わずか46円54銭と極めて小幅にとどまり、東証1部の売買代金も1兆6302億円と、10月24日の1兆5658億円以来、約2カ月ぶりの低水準となった。

 市場関係者からは「全体相場の変動幅は小幅にとどまっているものの、これまでのトランプラリーで買い進まれた銀行、自動車、商社といったセクターの銘柄には利益確定の売りが目立っている。これとは対照的に医薬品、食品といったディフェンシブ系銘柄が買われた」との見方が出ていた。

 26日の東京株式市場は、外国為替市場での円高傾向が重荷となり、輸出株中心に利益確定売りに押される展開となった。ただ、全体商い薄のなかで下げ圧力も限定的で、日経平均株価終値は前営業日比31円03銭安の1万9396円64銭と3日続落した。

26日の動意株

 GMOペイメントゲートウェイ<3769>=大幅高で5000円大台を回復した。
市場では全体主力株の上値が重いなか、個人投資家資金は値動きの速いテーマ株に向かっている。そのなか、同社はフィンテック関連の一角として人気化素地を持っており、半年にわたる下落基調で売り物も枯れていたこともあって、目先は上値を積極的に買う動きが顕在化している。市場では「値がさ株の割に出来高流動性に富んでおり、短期資金の回転売買だけでなく機関投資家の買いも観測されるようだ」(準大手証券ストラテジスト)と指摘する声もあった。

 インソース<6200>=後場に入り上げ幅を拡大。
きょう正午ごろ、同社の子会社ミテモが来年1月18日から、資格対策eラーニング「STUDIO資格」のサービスを開始すると発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っている。「STUDIO資格」は、インターネットを利用して、パソコンでFP2級・3級や宅建などの資格取得を目的とした約40種類のコンテンツの講義映像を「24時間、365日」「いつでも」「どこでも」「何度でも」テレビを見るような感覚で、視聴学習できるというサービス。

 オハラ<5218>=急騰し、年初来高値更新。
株価は800円台を回復し2012年7月以来約4年半ぶりの高値圏まで駆け上がってきた。同社はスマートフォンなど情報機器向けを主力とする光学ガラスの大手メーカーでその技術力と商品競争力の高さに注目が集まっている。特に、結晶化ガラス技術を進化させ、優れた機械的特性や高透過率を実現した「ナノセラム」がスマートフォン向けなどで引き合い旺盛。デジタルカメラ向けレンズ材などの需要低迷を受け光学ガラス設備の生産能力をナノセラム向けに転用する構えで需要取り込みを図る方針だ。

 三桜工業<6584>=一時ストップ高で年初来高値更新。
市場では「マグネシウム電池関連として蒸し返す動き。同社はホンダ<7267>などと充電可能なマグネシウム2次電池を共同開発しており実用化にメドがついた段階と伝わっている。このことに前週に発売された四季報新春号で触れられていたことが、投機資金の攻勢が強まる背景となったようだ」(国内ネット証券大手)と指摘する声が出ていた。売買高は前週20日に241万株まで急増したが、きょうは朝方から大口の買いが観測され、その時の水準を超えそうな勢いとなっている。

 バーチャレクス・コンサルティング<6193>=大幅反発。
同社は22日の取引終了後、タイムインターメディア(東京都新宿区)と共同開発中のチャットボット作成ツール「Kiten(キテン)」のベータ版を提供開始したと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。Kitenは、サービス提供者がLINEやSlack(スラック)上で動作するチャットボットを作成できるツール。自動応答のロジックはあらかじめ用意されたテンプレート以外に、サービス提供者自身でプログラムすることが可能になっており、幅広い業務への適用が可能な点が特徴としている。

 いい生活<3796>=6日続伸。
同社が22日の取引終了後に発表した11月度の月次概況(速報)で、クラウドソリューション事業の売上高が1億6400万円で前年同月比1.2%増となり、19カ月連続で前年実績を上回ったことが好感されている。主力のクラウドサービス(拡販サービス)の売上高が同2.2%増となったことが寄与した。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想