イベントを前に買い手控え、目先的な達成感から利益確定売りも

著者:冨田康夫
投稿:2016/12/01 21:08

明日の東京株式市場見通し

 2日の東京株式市場は、同日日本時間夜に発表される米11月の雇用統計の内容や、4日に予定されるイタリアでの憲法改正の是非を問う国民投票の結果を見たいとする姿勢から、買い手控えムードが強まり売り先行の展開となりそうだ。

 現地11月30日の海外為替市場で、1ドル=114円台へと円安・ドル高が進行したことで、きょう寄り付きの日経平均株価は、1万8500円台に乗せてのスタートとなり、一時1万8700円台まで買い進まれる場面もあった。後場は円安が一服したこともあり、日経平均株価は伸び悩んだものの1月4日以来約11カ月ぶりに終値ベースでの年初来高値を更新した。

 市場関係者からは「きのうまでの“凪状態”から、きょうは日経平均株価の1日の高安の変動値幅が277円と広がり、東証1部の売買代金は3兆2911億円と膨らんだ。年初来高値を更新したことで、目先的な達成感から利益確定売りが増加している」との見方が出ていた。

 1日の東京株式市場は、原油先物価格の急上昇と外国為替市場での円安進行を好感し終始買い優勢のなか、日経平均株価は終値ベースの年初来高値を更新し、終値は前日比204円64銭高の1万8513円12銭と続伸した。

1日の動意株

 タダノ<6395>=大幅高。
同社は建設用クレーンでトップクラスのメーカー。インフラ老朽化に対応した点検用の高所作業車などが好調で収益に寄与している。市場では「輸出比率が売り上げの約半分を占めており、トランプ次期米大統領が掲げる大規模インフラ政策でクレーン需要に恩恵が期待できるほか、足もと急速に進む円安進行も収益メリット要因として意識されている」(準大手証券ストラテジスト)という。信用倍率は0.5倍と売り長で株式需給関係の良さも値動きの軽さに反映されているもよう。

 オールアバウト<2454>=後場に入って一時ストップ高。
同社はきょう、子会社のオールアバウトライフワークスがウォルト・ディズニー・ジャパンとライセンス契約を結んだと発表。ディズニーキャラクターを使ったハンドメイドレッスン「ディズニーハンドメイド」を展開するとしている。また、子会社のディー・エル・マーケットが運営するデジタルコンテンツに特化したダウンロード販売専門のマーケットプレイス「DLmarket」が、トゥ・ディファクト(東京都品川区)が運営するハイブリッド型総合書店「honto」との連携を開始したことも明らかにしている。

 マルマン<7834>=ストップ高で5日続伸。
足もとでは禁煙パイポを手掛けていることで禁煙関連として人気化しているが、前日11月30日には孫会社でゴルフ場運営事業を手掛ける西山荘C.C.マネジメントの全株式をユニマットプレシャス(東京都港区)に譲渡すると発表。これが新たな買い手掛かりとなっているようだ。同社は財務体質の改善および強化のため、グループの収益構造の見直しを行っており、今回の譲渡はその一環。ユニマットプレシャスは、ゴルフ場および関連施設を経営しているほか、リゾートホテルやその関連諸施設の経営などを手掛けている。なお、譲渡価格は非公表としており、業績への影響は現在精査中だとしている。

 ネオス<3627>=後場一段高。
同社は前引け後に、LINEなどの主要チャットサービスに対応したチャットボット基盤「SMART BOT」を開発したと発表しており、業績への貢献を期待した買いが入っている。同サービスは、チャットボットを開発する上で最も重要となる自然言語処理の機能を取り入れた会話処理エンジンを備えているのが特徴。

 NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油ダブル・ブルETN<2038>=ストップ高。
30日に開催された石油輸出国機構(OPEC)総会では、8年ぶりの減産で最終合意に達した。これを受け、同日の米原油先物相場のWTI(ウエスト・テキサス・インター ミディエート)の期近17年1月物は前日比4.21ドル高の1バレル49.44ドルに急上昇。一時49.90ドルと10月下旬以来の水準に値を上げた。この原油価格の急騰に連動し、NN原油ブルも大幅高となっている。

 プロパティエージェント<3464>=大幅続伸。
同社は11月30日、分譲住戸の完売を相次いで発表。これによる業績への寄与などが期待されているようだ。完売したのは、鉄筋コンクリート16階建で総戸数52戸の「クレイシア新宿」および、鉄筋コンクリート8階建で総戸数26戸の「クレイシア両国ヴェルデ」。なお、「クレイシア両国ヴェルデ」の26戸のうち投資用分譲住戸17戸は既に9月30日に完売している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想