外為市場にらみで調整機運、海外投資家の買いは継続

明日の東京株式市場見通し

　２９日の東京株式市場は、外国為替市場で円安・ドル高進行に一服感が強まることも予想され、日経平均株価は調整色が強まりそうだ。

　市場関係者からは「２８日の東京外国為替市場では、１ドル＝１１１円台前半まで円高・ドル安が進行したにも関わらず、日経平均株価は小幅反落にとどまり、東証株価指数（ＴＯＰＩＸ）は１２日続伸となった。大手の銀行や商社に海外投資家からとみられる積極的な買いが継続しており、全般も下げ渋る頑強な地合いとなった。ただ、短期間の急上昇に対する過熱感も強く、適度なスピード調整を求める見方もではじめている」との声も聞かれた。

　週明け２８日の東京株式市場は、売り優勢で始まったものの日経平均株価の下げは限定的で、後場は急速に下落幅を縮小する推移となった。日経平均株価終値は、前週末比２４円３３銭安の１万８３５６円８９銭と８日ぶり小幅反落した。

28日の動意株

　フューチャーベンチャーキャピタル＜8462＞＝後場に入って急伸。
同社はきょう、大阪府と連携協定を締結すると発表。これが材料視されているようだ。この連携協定は、大阪府の創業・ベンチャー企業などに対する中小企業振興施策に関して、一層の連携および協定関係を構築することが主な目的。なお、１２月５日に大阪府咲洲庁舎で協定締結式を行う予定となっている。

　エディア＜3935＞＝後場急上昇。
前引け後に、同社が運営するスマートフォン向けゲームアプリ「蒼の彼方のフォーリズム―ＥＴＥＲＮＡＬ　ＳＫＹ―」が、１１月２８日に累計１００万ダウンロード（ＤＬ）を突破したと発表しており、業績への貢献を期待した買いが入っている。同アプリは、パソコンや「プレイステーション」で人気となった「蒼の彼方のフォーリズム」のスマートフォン向けカードバトルゲーム。１０月６日にＡｎｄｒｏｉｄ・ｉＯＳ版の配信を開始して以降、順調にユーザー数を増やし、２カ月足らずで累計１００万ＤＬを突破した。

　ケイブ＜3760＞＝一時ストップ高も後場やや伸び悩む。
同社は前週末２５日の取引終了後、第三者割当による第１８回～第２０回新株予約権の取得と消却が完了したと発表しており、将来的な希薄化懸念が後退したとの判断から買いが向かったようだ。

　エヌジェイホールディングス＜9421＞＝一時ストップ高で年初来高値更新。
ここにきて売り物薄のなか激しい上値追い態勢にあり注目を集めている。同社はモバイルゲームの開発などを手掛けるが、同社の連結子会社が開発担当したスクウェア・エニックス・ホールディングス＜9684＞のスマートフォン用新作ゲーム「スターオーシャン：アナムネシス」への期待が高まっており、これを材料に投機資金が集結した。同ゲームは年内配信予定にあるが、現在事前登録者数は４０万人を突破している状況。事前登録特典の追加が公表されたことも刺激材料となっている。

　ウチダエスコ＜4699＞＝ストップ高。
同社は２５日取引終了後に、１７年７月期通期の連結業績予想修正を発表。経常利益見通しは従来の５億２０００万円から６億円（前期比２２．０％増）に上方修正した。売上高見通しも１２６億円から１２８億円（同１０．４％増）に増額修正。足もとで学校市場向けＩＴ関連機器（電子黒板およびタブレット型端末など）の受注が好調に推移していることが業績を押し上げる。

　ユニバーサル園芸社＜6061＞＝大幅反発。
同社は前週末２５日の取引終了後、１２月３１日を基準日として１対２株の株式分割を実施すると発表しており、これを好材料視した買いが入っている。投資単位当たりの金額を引き下げ、投資家により投資しやすい環境を整えることで、株式の流動性の向上と投資家層のさらなる拡大を目的としているという。