押し目を狙うなら、FOMC後まで待つのが得策

著者:小野山功
投稿:2016/11/25 19:51

~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~

★【2週で9000億円流入】週明けも「押し目待ちに押し目無し」

日本株は10日から上昇を続け、東証1部全体の値動きを示すTOPIXは25日までに11連騰を記録しました。日経平均は1年ぶりの7連騰。1月4日に付けた終値での年初来高値(18450円)を一時上回る場面もみられています。

米大統領選挙後の9日には3ヵ月半ぶりの安値水準(16200円台)に沈みましたが、その後は押し目をつけることなく、2週間あまりで2000円以上も急上昇したことになります。

あの日に買っていればと悔やまれますが、後悔先に立たずともいいます。気持ちを切り替え、仕切り直しと参りましょう。

株高の原動力は外国人投資家による強烈な買いです。11月第3週に日本株を4903億円買い越したと報告されています。前週に4006億円買い越していますので、2週で差引約9000億円近いマネーが東京市場に流入したことになります。

「トランプ氏が大統領に就任すれば、公共投資や減税で景気は良くなる」という期待感だけで、今の相場は形成されている面があり、そう長くは続かないだろう誰しも考えたはずです。個人は2週で約7000億円売り越しており、粛々と利益確定売りを進めている状況です。


■配当が集中する来週は「相場上昇」のアノマリー

ただ、1日に1円ペースで円安が進んでおり、為替が円安に動くことで日本株を取り巻くファンダメンタルズがガラッと変わりました。株高をすっかり正当化できてしまうため、相場に逆らってはいけません。

主要企業が設定する今下期の為替レートは「1ドル=102円」程度。2週間弱で想定から10円超も円安になっているため、今期の業績見通しは、すでに過去のものになっています。

株高・円安のスピードはあまりに急ピッチなため、巡航速度に戻ってほしいという願いはありますが、来週は中間配当の振り込みが集中するため、相場は上昇しやすいというアノマリーも。押し目待ちに押し目無しという相場は、週明けも続く可能性があります。


■押し目を狙うなら、FOMC後まで待つのが得策

ただ、政治絡みで気を付けておかなければならないイベントがあります。イタリアで実施される憲法改正の是非を問う国民投票です。

レンツィ伊首相は、憲法改正への支持が得られない場合は辞任すると発言しており、政治の混乱が波乱の芽となる恐れがあります。

いいとこどりで、急速にリスクオンに傾いたマーケットですが、来週末には11月の雇用統計の発表も予定されています。

今回の雇用統計は、米国の年内利上げを占う最後の手がかりとなるでしょう。ヘッジファンドなどは動きづらい時期になるため、様子見姿勢が強まることになるのではないでしょうか。

利上げを判断する米連邦公開市場委員会(FOMC)は、12月13~14日に開催されます。押し目を狙うのであれば、FOMC後まで待ったほうが得策かと思われます。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想