普及加速する仮想通貨、決済サービスの動き拡大

著者:冨田康夫
投稿:2016/11/08 14:35

ビットコインなどの仮想通貨が活発化

 ビットコインをはじめとする仮想通貨の普及に向けた動きが活発化している。10月半ばに、財務省と金融庁が、仮想通貨を購入した時にかけている消費税をなくす方向で検討に入ったと報じられた。現状は仮想通貨を「モノ」とみなして消費税8%を課税しているが、今後は消費税のかからない電子マネーや商品券と同様に「支払い手段」として明確に位置づける方向だ。

 一方、家庭向け電力販売に参入したLPガス事業者の三ツ輪産業(東京都)は、今週から、電気料金をビットコインで支払えるサービスをスタートさせている。これは、全国初の試みで、展開エリアとして関西、中部、関東を想定している。

 仮想通貨と、現金代わりに使えるJR東日本<9020>の「スイカ」のような電子マネーやポイントカードとの違いが明確になってきた。改正資金決済法が定めた仮想通貨の条件の第1は、「不特定多数を相手に物やサービスの買い物などに使え、円やドルなどと交換できる。そしてインターネットで移転できる」こととなっている。これだけなら電子マネーと同様だが、第2の条件として「円や外貨などの法定通貨と通貨建て資産は除く」とある。円やドルが仮想通貨ではないのは当然として、もう一つの「通貨建て資産」とは、国内の既存の電子マネーなどを指すものと見られる。例えば、スイカは1万円を入金すれば、原則運賃や買い物などに1万円分利用できる。一方、仮想通貨のビットコインの単位はビットコイン(BTC)で、円などと交換する際の相場は常に変動するのが大きな違いだ。

 主な関連銘柄としては、まずFX大手のマネーパートナーズグループ<8732>に注目。同社は有力なブロックチェーン技術を持つテックビューロとビットコイン関連サービスで業務提携し、システムの技術開発を進めている。セレス<3696>は「モッピー」「モバトク」などスマホ向けポイントサイトを運営している。同社は、ビットコインの国内大手取引所のビットフライヤーと業務提携しているのをはじめ、ビットコイン送金サービスもスタートする。

 GMOペイメントゲートウェイ<3769>は、ビットフライヤーと業務提携し、即時決済可能なビットコインを利用した決済サービスを既に展開している。メタップス<6172>は、日本だけでなく、シンガポール、中国、韓国、香港、台湾といったアジア諸国を拠点とした人工知能関連のスマホアプリ事業を展開しており、自社のオンライン決済サービス内で、仮想通貨「SPIKEコイン」を提供している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想