衆院補選を前に手控え、中期的には上昇波動入りも

著者:冨田康夫
投稿:2016/10/20 20:14

明日の東京株式市場見通し

 21日の東京株式市場は、23日に投開票される衆院補選(東京10区・福岡6区)や、富山県・岡山県の知事選挙を前にして買い手控え姿勢が強まりそうだ。また、日経平均株価が、前週末の14日からきょうまでの5日続伸で、合計461円の上昇幅となっていることから、週末の利益確定売りムードが強まる可能性もある。

 市場関係者からは「取引時間ベースの日経平均株価では、5月31日につけた1万7251円に肉薄してきた。この水準を突破すれば、中期的に見て新たな上昇段階に入る可能性が高い。さらに、きょうの東証1部の売買代金が2兆825億円と9月30日以来の2兆円台回復となったことも明るい材料だ」との見方が出ていた。

 20日の東京株式市場は朝方こそ売り買い交錯で始まったものの、その後は買い優勢で上昇幅を拡大する展開となった。日経平均株価終値は前日比236円59銭高の1万7235円50銭と5日続伸した。

20日の動意株

 ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>=後場急動意。
同社はきょう、スマートフォン向けRPG「セブンス・リバース」を今秋にも配信することを決めたと発表。期待感が高まるかたちとなっているようだ。このゲームは、時間を超えて他のプレイヤーと繋がるガンホーの新作オンラインRPG。なお、サービス開始に先駆け、きょうから事前登録キャンペーンを開始している。

 川上塗料<4616>=ストップ高。
引き続き、日露天然ガスパイプライン関連銘柄として脚光を集めているようだ。自民、公明両党の有志議員でつくる日露天然ガスパイプライン推進議員連盟(河村建夫会長)では、サハリンから東京湾を結ぶ天然ガスのパイプライン建設を政府に要望しており、年末に日露首脳会談を控えて、これに対する思惑が膨らんでいるもよう。川上塗料は1991年からロシア・ガスプロム社に天然ガスパイプライン用塗料を納入した経緯があることから、物色人気が高まっているようだ。

 エヌジェイホールディングス<9421>=一時ストップ高。
スクウェア・エニックス(東京都新宿区)のスマートフォン向け新作ゲーム「スターオーシャン:アナムネシス」の開発をNJHD子会社のトライエースが担当していることから、今週に入り一気に人気化しているが、この日から同ゲームが事前登録受付を開始していることから、これを好感した買いが改めて入っているようだ。「スターオーシャン」シリーズは、第1作が1996年にスーパーファミコン用に発売された人気ゲームシリーズ。

 安永<7271>=ストップ高。
同社は19日の取引終了後、集計中の第2四半期累計(4~9月)連結業績について、売上高を163億円から160億6000万円(前年同期比4.6%増)へ下方修正した一方、営業利益を4億5000万円から6億3000万円(同3.5倍)へ、最終損益を2億円の赤字から5000万円の赤字(前年同期9600万円の赤字)へ上方修正したことが好感されている。エンジン部品事業における原価低減活動などが寄与したという。なお、決算発表は11月10日を予定している。

 メンバーズ<2130>=急伸し、年初来高値を一気に更新。
同社は19日の取引終了後、17年3月期の連結業績予想について、売上高を67億円から74億円(前期比14.4%増)へ、営業利益を4億7000万円から5億2000万円(同16.1%増)へ、純利益を2億9500万円から3億1000万円(同6.9%増)へ上方修正したことが好感されている。Webを通じたユーザーとの継続的な関係構築を通じてマーケティング成果を創出する総合的なWeb運用サービス 「エンゲージメント・マーケティング・センター(EMC)」モデルの確立と提供クライアントの拡大に注力していることが奏功した。

 JAC Recruitment<2124>=大幅高。
外資系向けで高実績を有する人材サービス会社で高度なスペシャリストや幹部職の人材など高額案件に特化することで収益拡大基調を維持している。医薬、金融業界の人材ニーズが好調で、コンサルタント1人当たり月額成約金額も高い。足もとの業績も好調、同社が前日発表した9月の月次売上高は前年同月比31.2%と急増、今年4月以来の高い伸び率となった。これを材料視する買いを呼び込んでいる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想