“上昇追い一服”の様相だが、“金利格差拡大への思惑”が下値を支える…!?

著者:武市佳史
投稿:2016/10/14 10:38

◆リスク回避の円買い戻し優勢で“にわか上値期待”収束

※ご注意:予想期間は10月15日と表示されていますが、本日(10月14日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


“にわか上値期待”が群がり始めると、やはりこうなってしまうのか…?

弱い中国貿易収支が株安・債券高をもたらした昨日は、リスク回避の円買い戻しが優勢でした。
また1.10ドルの大台を割り込んだユーロドルが“一旦の下値達成感”にて買い戻された欧州タイム序盤には、幅広い通貨に対してドル売りも進行しました。
この双方の影響を受けたドル円は、東京タイム序盤の104.60円水準から、NYタイム序盤の103.30円水準へと売り込まれていきました。

もっとも1万8000ドルを割り込んだNYダウが下げ渋ると、原油は反発、米10年国債利回りも1.72%⇒1.74%へと持ち直していき、ドル円も103円後半へと押し戻されていきました。
なお米新規失業保険申請件数は1973年11月以来の水準で横ばい(24.6万件)、来年の投票権を持つハーカー・フィラデルフィア連銀総裁は「年内は1回、来年は少なくと2回の利上げが望ましい」と発言しましたが、特に大きな反応は見られませんでした。

◆世界的な景気減速懸念⇒米年内利上げ観測の後退、には繋がらない…?

中国指標をキッカケに“世界的な景気減速懸念⇒リスク回避”とつながった格好ですが、NYタイム終盤以降は“リスク回避”よりも“米金利先高観が上回って”いました。
少なくとも現時点では“世界的な景気減速懸念⇒米年内利上げ観測の後退”へとつながる流れとはいえず、金利格差拡大への思惑が“ドル買い・円売りを促し続ける”と見られます。

◆“昨日と同じ展開”への懸念はあるが…!?

本日も中国経済指標(CPI&PPI)が予定されていますので、“昨日と同じ展開”となる懸念を拭い切ることはできません。
しかしながら本日は米小売売上高&イエレンFRB議長発言が予定されていますので、仮にそういう展開になったとしても、“金利選好の円売り”が下値を支える可能性が指摘されるところです。

懸念した“上昇追い一服”の格好ですが、思惑を曇らせるだけのサプライズが跳び出したわけではない…。
週末ですので103円台を中心とした方向感の出づらい展開とは考えますが、引き続き“押し目買い”で臨みたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:104.627(10/13高値)
上値4:104.427(ピボット1stレジスタンス)
上値3:104.133(10/13高値後の61.8%戻し)
上値2:103.980(10/13高値後の50%戻し、大台)
上値1:103.828(10/13高値後の38.2%戻し)
前営業日終値:103.680
下値1:103.499(日足・一目均衡表先行スパン上限)
下値2:103.289(10/12-13安値、100日移動平均線)
下値3:103.179(10/11安値、ピボット1stサポート)
下値4:102.947(20週移動平均線、大台)
下値5:102.795(10/10安値)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:52 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想