ここからの大きな上昇力に繋がらないドル円、そのリスク回避の要因とは?

著者:平野朋之
投稿:2016/10/12 11:36

■目先は「押し目買い」有利も、高値追いには注意が必要


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■昨日は、引き続き年内利上げ見通しや最近の原油価格上昇、そしてポンド売りからのドル買い優勢でドル円も上昇しました。
しかし、NYタイムに入ると、企業業績懸念から株安からリスク回避の円買い優勢となり、103円台ミドルまで押し下げられました。

■本日は、これまで上昇要因となっている年内利上げ見通しに対する確認の意味合いでも重要なFOMC議事録公表です。
内容次第ではこれまでのドル買いを加速させる可能性もあるので注目したいところです。


■今日は最近の流れをみる上で気になるポイントを挙げたいと思います。

まず、50ドルの大台にのせた原油市場です。
OPECの事実上減産決定に同調する格好となっているロシアサイドの動きが今後のキーポイントになるかと思います。
11月の総会で減産に向けてどのように具体化されるのかがポイントになりそうです。現状は期待感で買われているだけに、世界的な需給を見れば未だ緩和状態は回避されていないところが50ドルの大台に対する心理的抵抗があるのではないかとみています。


■次に、大統領選事情です。

先日2回目のテレビ討論会がありましたが、現状ではクリントン氏優勢となっています。しかし、経済政策等の肝心な話は一切されず、醜い批判論戦が加速するなどワイドショーを見ている状況になっています。

今年の英国民投票でも事前情報までは「離脱は無い」との話題が優勢でしたが、それは投開票してみなければわからないというのが本音です。となれば市場としてもやはり「トランプリスク」を想定した動きになる可能性も否めません。その意味でも、再びドル売りを加速させる場面も想定しておく必要もありあそうです。

■最後は、NYダウの動きです。

昨日200ドル下落しましたは、材料的にアルコアの決算が良くないことから業績不振から全体的に売り姿勢が強まっています。
今年は、2月の15,500ドルを底値に上昇トレンドが形成されています。

しかし、18,000ドルを超えてからはブレーキがかかりだしています。そこで日足上で気になるのが、2月11日の安値と6月27日の安値を結んだサポートラインを割り込んでいることです。もし、18,000ドル割れとなれば完全に調整局面に入る可能性もあります。


■以上のポイントを踏まえ、リスク回避が未だに強い理由がさまざまあります。
しっかりとリスク管理を行って今後のトレードを行っていただきたいと思います。

現状ポンドにおいても「ハードブレクジット」と呼ばれているだけに更なるリスク管理が必要とみています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想