日米の金融政策イベント巡り神経質な展開、米利上げあれば波乱も

著者:冨田康夫
投稿:2016/09/16 20:04

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は飛び石連休を挟んで3日間の営業日となる。ともに20~21日に開催される日米の金融政策決定のイベントの内容を巡り、思惑を含めて売り買いが交錯する神経質な展開となりそうだ。日経平均株価の想定レンジは1万6000~1万6900円とする。

 市場関係者からは「もし、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが打ち出された場合は、ほとんどの市場参加者が想定していないだけに、サプライズとなり金融市場の大荒れが予想される。ただ、それ以外のケースは、日米両市場ともにかなり織り込んでおり、発表直後に思惑的な売買で変動しても、次第にイベント前のレンジに復帰する可能性が高い」との見方が出ていた。

 ただ、日銀の金融政策決定会合については、政策金利のマイナス幅の深掘りと、長短金利差の拡大を促す新たな施策の導入が取りざたされている。もし、こうした内容が市場で“期待した追加緩和策に達していない”と受け止められた場合、一時的に売りが加速する懸念もある。

16日の動意株

 小野薬品工業<4528>=年初来安値。
国立がん研究センターと、抗がん剤創出やがん免疫療法などにおけるバイオマーカー探索を目指した共同研究を推進するための包括的研究提携契約を締結したと発表しており、これを好感した買いが入っている。同契約は、国立がん研究センターの有する高度ながん研究技術や臨床経験と、小野薬の有する高い研究能力と創薬技術を融合することで革新的な医薬品と適切な治療方法を確立するのが狙い。

 オプティム<3694>=堅調。
この日正午ごろ、IoT時代に最適化された新型OS「OPTiM Cloud IoT OS」をパートナー向けに提供すると発表、これを好材料視。「Cloud IoT OS」は、直感的かつ安全なIoT端末の管理・制御、データの蓄積・分析、クラウドサービスとの連携までを包括的に実現するOS。新型OSにより、パートナーはIoTプラットフォーム基盤を活用できることで、効率的な開発が行えるようになり、さまざまな産業分野でのサービス構築と応用を素早く実現。

 ほくほくフィナンシャルグループ<8377>=5日ぶりに反発している。
15日の取引終了後、発行済み株数の2.21%にあたる3000万株の自社株を9月30日付で消却すると発表しており、需給が締まるとの見方から買いが入っているようだ。なお、消却後の発行済み株数は13億2163万146株となる。

 ニチハ<7943>=急反発。
同社は15日の取引終了後、17年3月期の連結業績予想について、売上高を1150億円から1160億円(前期比4.2%増)へ、営業利益を92億円から112億円(同34.1%増)へ、純利益を58億円から77億円(同43.3%増)へ上方修正したことを好感。主力の窯業系外装材事業で、国内・海外ともに販売数量が想定を上回ることに加え、合理化・コストダウンなども順調に推移していることが要因としている。また、業績予想の修正に伴い、従来、中間・期末各16円を予定していた配当について、それぞれ21円に引き上げると発表しており、これも好材料視されている。年間配当は42円(従来予想32円)となり、前期実績の30円に比べて12円の増配となる。

 アライドアーキテクツ<6081>=年初来高値。
同社はSNS活用支援業務を展開するが、15日、中国SNSマーケティングのリーディングカンパニーであるIMS社と、中国向け動画インフルエンサーマーケティング事業の合弁会社を設立に関し基本合意書を締結したことを発表、これを材料視する買いを呼び込んでいる。時価は2014年3月以来、2年半ぶりの高値圏にある。

 メンバーズ<2130>=ストップ高。
同社は15日の取引終了後、17年3月期の第2四半期累計(4~9月)連結業績予想の修正を発表。売上高を30億1500万円から36億円(前年同期比26.0%増)へ、営業利益を1億円から1億8500万円(同17.8%増)へ、純利益を6000万円から1億1000万円(同4.8%増)へ上方修正、これを好感した。当初は人件費の増加により利益面での減益を見込んでいたが、EMCモデル提供クライアントとの取引が堅調に拡大したことが寄与した。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想