ECBが物価下振れ警戒感を強めると、ユーロ買いからドル売りに振れることも考慮すべき

著者:平野朋之
投稿:2016/09/08 11:12

■日本サイドでの材料では、円高トレンドを変えれないのか?


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昨日は引き続き重い流れを引き継ぎ、注目されていたベージュブックの発表を前に具体的な利上げ時期の手掛かりとなる内容が無かったことで、101円ミドルでもみ合う展開となりました。

また、日銀が金融緩和に対する効果の取りまとめを今月の日銀会合で行う予定だったのですが、一部の報道で取りまとめが難航しているとの話題が出ているようです。

それを裏付けるような今週初めの講演では、マイナス金利に対する副作用を認めた内容と追加緩和に対してやや消極的にように感じます。

総括的な検証を日銀が発表すると言っても、現実的にインフレターゲット達成に現在は程遠く、その達成時期も未だ不明です。
これ以上のマイナス金利やETF買い入れ策は、リスクであり本来あるべき「金融安定」という中央銀行のあるべき姿を逸脱した行動にしかすぎません。


■そう考えれば、現段階での日銀の採るべき行動は限界に達していると言わざるを得ません。

つまり日本サイドでの材料ではこの円高トレンドの方向を変えることはほぼ皆無とみています。その流れの中では、大手企業の輸出入レートを引き下げたのはある意味正解だとみています。


■本日のポイントになりそうなのが、ECB理事会です。

特にユーロ圏消費者物価指数が低調であったことからも、ECBは物価下振れ警戒感を強める可能性があるとみています。
その点を考慮すれば、更なる資産買入れプログラムの期間延長を行うとみています。
つまり、ユーロ買いからドル売り優勢となり、ドル円も下落するシナリオをイメージしています。

週間足ベースのユーロドルを見ると、移動平均線100週線(1.1268ドル)が抵抗になっています・・。

今週末、引値ベースで抜けているようであれば中期的にトレンド転換する可能性もあるのでこちらにも注目しておきたいです。


■本日のトレードポイントとしては、戻りを待って売ることを考えていますが、下値のブレイクも想定しているので、やはり指値・逆指値を利用して売る戦略を考えています。

戻り売り(指値)

今週の高安に対するフィボナッチ
・23.6%…101.87円
・38.2%…102.30円

ブレイクダウン(逆指値)

・昨日安値…101.18円
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想