「ドル買い」は一時的な買い戻し要因に過ぎなかったのか?円買いポジションは増加中

著者:平野朋之
投稿:2016/09/05 11:41

■本日の売買ポイントは?

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■先週末は、注目された雇用統計が予想以下になったことを受けて、一時102円台後半まで売られた・・・。しかし15.1万人増の数値はフィッシャーFRB副議長の追加利上げの目安とする範囲内であったこともあり、再びドルがジリジリと買い戻され104円台まで上昇する場面もありました。


■雇用統計の内容を振り返ると、非農業部門雇用者数に関してはそれほど悲観するものではなく、むしろ雇用面に関しては安定を取り戻している印象を受けました。
しかし、追加利上げの条件は雇用面だけで判断するものではなく、足元のインフレ事情も重要なポイントです。

特に、平均時給(前年度比)が+2.4%と追加利上げした場合の消費の鈍さが懸念される数値です。というのもリーマンショック前は、+3.0%水準であったのに対し、今年の最大値は2.7%と一向に上向かない現状です。

■総合的に見れば9月のFOMCで思い切った行動に出る可能性は無い、つまり「見送り」となる公算もありそうです。


■では、先週末の104円までの戻りは一体、何だったのか‥?

先週の流れを振り返れば、議長講演をはじめFRB高官発言を理由に9月追加利上げ期待から上昇しました。しかし、中期的な流れを変えるほどの力強い上昇だったかというとそうではない‥むしろ、買い戻しのイメージにみえます。

というのも、シカゴの日本円の投機筋のポジションが8月30日現在で前週と比較して三千枚強売り玉を増やしているのです。
しかし、日増しにジリジリ価格を上げることと、雇用統計前、そしてレイバーデーや海外勢のサマーバケーション明けもあるので、一旦ポジションをフラットにしたのではないかとみています。

そして、テクニカルで見れば今年のアノマリー的な見方ができるポイント、移動平均75日線に先週末現在で、一旦タッチしていることです。タッチした後は、いずれも価格は下落しているのです。(日足チャートの2月・5月・7月をご参照ください)


■その状態で、米市場はレイバーデーで休会、海外勢は夏休み明け初日と市場としては商いが閑散となりやすいことでスクイズ的な値動きに発展する可能性も否めないとみています。
また、本日は黒田日銀総裁による講演が予定されているので、追加緩和やマイナス金利への深堀期待もあって、それなりに注目されています。しかし、期待する内容でない場合は失望売りの可能性もあるので注意は必要です。


本日は、基本ベースとして「売り」からを想定しています。


以下は、戻りポイントとブレイクを想定した売りです。

戻りポイント(指値)
・4時間足ボリンジャーバンド+2σ(104.05円)
・先週末高値…104.32円


ブレイクポイント(逆指値)
・先週末安値…102.81円
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想