■米雇用統計は直近2ヵ月の内容が良過ぎた為、その反動がきても不思議ではない!

著者:平野朋之
投稿:2016/08/30 11:12

■目先は「押し目買い」


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■昨日は、先週末の流れを引き継ぎドル買いが先行しました。しかし、その後は週末の雇用統計の発表を控えて就業者数の下振れ警戒感から利食い売りに押され、101円台後半で引けました。

■週末に控える雇用統計の内容次第では、9月利上げの声も遠くはないものの、直近2ヵ月の25万人越えの内容が良すぎただけに、その反動がきても不思議ではないとみています。
つまり、予想以下の発表が出た場合、「9月先送り観測」が台頭し、失望売りを誘う可能性も否めないとみています。

■また、昨日発表のPCEコア指数をみる限り、市場予想の1.5%(前年比)を上回り1.6%となったものの、FRBの目標である2%には程遠く、個人消費の鈍さが懸念されるところです。その意味でも週末の平均時給(前年比)が先月2.6%となっているので注目したいです。


■本日は、株価や原油を横目にしながら、押目が拾われ、昨日の高値(102.38円)や今月高値(2日…102.82円)にトライする可能性もあるとみています。
しかし、週末の雇用統計を控えているので利食い幅を狭めて押目買いを推奨したいと考えています。

■先週のジャクソンホールに黒田総裁も参加し、マイナス金利の下限制約からまだかなりの距離があると述べたようです。
この先の日銀の追加緩和策を見るうえで、重要なポイントになっていないようにみえます。

米国から見た日銀の緩和策は、円安誘導にしか見えていなく、マイナス金利の深堀りは通貨安競争を招く恐れがあるからです。

日本におけるマイナス金利の効果やそれに対するデータもパッとせず、消費者に向けたコメントにおいては住宅金利の押し下げで個人消費の増大に寄与していると説明しています。しかし、この先の所得に対する不安解消を取り除かなければ、使うどころか溜め込んでしまうのが関の山ではないかとみています。

むしろ、マイナス金利の深堀りは日本の金融機関の収益圧迫と金融不安を招く恐れすらあるので、本来の日銀の政策運営の在り方、つまり「金融安定」の原点に返るべきだと考えています。

平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想