週末控えで売り買い拮抗、値固めに時間必要の見方も

著者:冨田康夫
投稿:2016/07/21 18:45

明日の東京株式市場見通し

 22日の東京株式市場は、引き続き買い姿勢の継続は予想されるものの、週末控えであることに加え、来週から3月期決算企業の第1四半期(4~6月)の決算発表が本格化することもあり、一方で見送りムードも強まり、売り買い拮抗の展開となりそうだ。

 市場関係者からは「きょうは前日の欧米株式市場の堅調や、外国為替市場での1ドル=107円台半ばまで進行した円安・ドル高を好感して、寄り付きから反発のスタートとなった。ただ、過去に累積売買代金の多かった日経平均1万7000円前後の水準では戻り待ちの売りも出てやや伸び悩み、その後は上昇幅が縮小した。1万7000円を大きく上回り株価がその水準で安定するには、もう少し時間が必要となりそうだ」との見方が出ていた。

 21日の東京株式市場は、海外株高と円安の流れを好感して買い優勢で始まり、日経平均株価は一時、1万6900円台まで買われる場面があったものの、前場前半に高値をつけた後は伸び悩んだ。終値は、前日比128円33銭高の1万6810円22銭と反発した。

21日の動意株

 アプリックスIPホールディングス<3727>=ストップ高。
同社は20日取引終了後、同社が製造するBluetooth Low Energyモジュールの累計出荷台数が2012年の販売開始以来30万台を超えたと発表し、これが好感されている。同社では、家電機器や浄水器、空気清浄機にBLEモジュールを組み込むことで、IoT社会の実現に向け取り組んでいるが、これまでのコンセプト提案から受注出荷へと移行していることが出荷台数増加の背景にある。

 プレシジョン・システム・サイエンス<7707>=後場急伸。
同社は正午ごろ、内閣府革新的研究開発推進プログラムImPACTに参画し、「豊かで安全な社会と新しいバイオものづくりを実現する人工細胞リアクタ」プログラムの基盤技術開発テーマ「全自動デジタルELISA装置開発」を担当することになったと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。ImPACTとは、政府の科学技術・イノベーション政策の司令塔である総合科学技術・ イノベーション会議が、ハイリスク・ハイインパクトな研究開発を促進し、持続的な発展性のあるイノベーションシステムの実現を目指すというもの。

 イトクロ<6049>=急反発。
同社は学習塾を選ぶ際に役立つポータルサイト「塾ナビ」を中心に教育メディアを展開。「塾ナビ」のほか「みんなの学校情報」や「家庭教師比較ネット」などが好調に推移しており、16年10月期の連結営業利益は前期比20%増の11億5000万円が見込まれている。昨年7月に東証マザーズに新規上場したが、株価は3100円前後と公開価格(1930円)から順調に上昇していることも評価されている。

 山一電機<6941>=急反騰。
20日午後4時過ぎに提出された大量保有報告書(変更報告書)でレオス・キャピタルワークスの保有割合が直近の9.88%から10.91%に上昇したことを受けて、受給思惑が働いているようだ。なお、保有目的は純投資としている。

 ミネベア<6479>=大幅反発。
きょう付の日本経済新聞で「2016年4~6月期の連結営業利益は前年同期に比べて4割程度減り、70億円前後になったもようだ」と報じられたが、「会社側の期初の想定(55億円)は上回ったとみられる」とあることが好材料視されているようだ。記事によると、減益は円高の影響に加えて、スマートフォン向けLEDバックライトの落ち込見が響いたという。ただ、主力の小型ベアリングは自動車や家電向けに受注好調が続いていることから、計画は上回ったようだ。なお、決算発表は8月2日を予定している。

 安川電機<6506>=急反発。
同社は20日取引終了後、17年3月期の第1四半期(3月21日~6月20日)連結決算を発表。売上高は903億8000万円(前年同期比10.6%減)、営業利益は54億6500万円(同40.2%減)、最終利益は34億3800万円(同40.5%減)だった。中国を中心とした新興国経済が前期後半の急速な冷え込みから脱し、市場環境は改善傾向にあるが、為替の急激な円高進行に伴う収益デメリットが反映された。ただ、足もとの業績低調は株価に織り込まれており、減益幅も市場コンセンサスよりは小さかった。信用取組が売り長ということもあって、決算発表を受けて買い戻しを誘発する格好となった。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想