高値警戒感から上昇一服、任天堂効果で市場に熱気

著者:冨田康夫
投稿:2016/07/19 18:56

明日の東京株式市場見通し

 20日の東京株式市場は、きょうまでの6日続伸で日経平均株価が短期間に合計1616円もの急騰を演じていることから、高値警戒感からの利益確定売りが優勢となり、上昇一服が予想される。

 日経平均株価は6日続伸で1万6700円台を回復。きょうの東証1部では、スマートフォン向けゲーム「ポケモン GO」の強烈な人気に伴い、任天堂<7974>の売買代金が東証1部全体の4分の1近くを占める異彩の大商いとなり、関連銘柄への波及人気も拡大していることから、この動きが全体相場の上昇を牽引するかたちとなっている。

 市場関係者からは「これまで、円高進行による4~6月期決算の内容とそれに関連した今期業績見通しへのマイナス影響を懸念して、敬遠されていた主力の輸出関連銘柄が物色対象として見直されてきた。英国の欧州連合(EU)離脱決定直後の1ドル=100円をめぐる攻防と、足元の1ドル~105~106円水準では、投資家の対応が全く異なってきた」との見方が出ていた。

 19日の東京株式市場は、朝方から買い優勢で上値指向を継続。日経平均は1万6700円台まで上値を伸ばしほぼ高値圏で着地した。終値は前週末比225円46銭高の1万6723円31銭と6日続伸した。東証1部の売買代金は2兆9957億円と3兆円に肉薄する大商いとなった。

19日の動意株

 フリービット<3843>=後場に入ってストップ高。
同社グループのドリーム・トレイン・インターネットはきょう、モバイル高速データ通信サービス「DTI SIM」の新プランとして、特定のアプリ利用で発生する通信量を通信容量に1年間含めない「DTI SIMノーカウント」の予約受け付けを開始したと発表。これが材料視されているようだ。サービス提供開始時期は、「ポケモンGO」の国内配信開始後を予定。「DTI SIMノーカウント」を利用すれば、「ポケモンGO」など対象となる特定アプリを、通信容量を気にすることなく利用することができる。

 太平洋セメント<5233>=きょうで7連騰。
補正予算編成では、大規模地震への対応やインフラ整備需要など公共投資への厚い配分が見込まれ、建設資材としてセメントを手掛ける同社の収益環境にもフォローの風が期待される。17年3月期営業利益について会社側では前期比2.6%増の620億円を見込む。景気の強さが改めて確認されている米国での需要拡大や製品値上げ効果を考慮すれば十分に達成可能で、PER10倍未満の時価は指標面でも見直し余地がある。

 エスケイジャパン<7608>=ストップ高。
前週末に第1四半期の好決算発表を受けて値幅制限いっぱいに買われており、このままいけば連続のストップ高となる。16年3~5月期はゲームセンター向けを主力とするキャラクター商品や景品が好調で、本業のもうけを示す営業利益段階で5700万円を稼ぎ出しており、17年通期計画の既に7割を超える水準に達している。風適法の改正によりアミューズメント施設への年少者入場制限が緩和されていることも同社にとって商機拡大につながる材料として注目されている。さらに、キャラクター商品として「ピカチュウ」などポケモンも取り扱っており、一連のポケモノミクス関連株の一角として物色人気に乗っている。

 任天堂<7974>=大幅高で、6年2カ月ぶりの3万円大台乗せ。
海外で人気沸騰中、米国では社会現象化するほどの熱狂的な支持を集めているスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」の躍進に対する高揚感が驚異的な株価の快進撃をもたらせている。国内配信も目前に迫っており、東京市場でも先行して上昇する米ADRに追随するかたちで買い方の勢いが増している。ポケモンGOの周辺機器である「ポケモンGOプラス」の売り上げは、そのまま任天堂の収益にオンされる見通しで、これに対する期待や、将来的な視野ではポケモンに続く、同社が有するキャラクターの知的財産にも市場の熱視線が注がれている。

 日本マクドナルドホールディングス<2702>=一時ストップ高。
任天堂の「ポケモンGO」の海外の人気を受けて、「ポケモンGO」関連への人気が高まっているが、「ピカチュウけん玉」などポケモンのおもちゃがつくハッピーセットを15日から販売している同社にも物色人気が波及している。また、「スポンサー付きロケーション」機能が追加されると伝わっており、その第1弾候補としてマクドナルドの名も挙がっており、こうした思惑も働いているようだ。
 
 アドバンスクリエイト<8798>=急反発し年初来高値を更新。
前週末15日の取引終了後、東京証券取引所の承認を受けて、7月22日付で東証2部から東証1部市場へ指定されることになったと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。同社は、「保険市場」ブランドで生命保険や損害保険の販売代理店事業を展開している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想