3連休控え売り優勢に、LINEの上場を注視

著者:冨田康夫
投稿:2016/07/14 18:38

明日の東京株式市場見通し

 15日の東京株式市場は、きょうまでの4日続伸で日経平均株価が合計1278円と短期間に急上昇を続けていることに加え、3連休を控えていることもあり、利益確定の売りが先行するものと予想される。ただ、外国為替市場での円安・ドル高がさらに進行した場合や、きょうも驚異的な大商いを集めて大幅反発した任天堂<7974>や、あす東証1部に新規上場する無料通信アプリ大手のLINE<3938>の株価動向次第では、全体相場にも波乱要素が加わることになりそうだ。

 市場関係者からは「きょう前場の半ばまでは、利益確定の売りも出て日経平均株価は小幅高での推移となっていた。ところが、スマートフォン向けゲーム“ポケモンGO”の人気沸騰を手掛かりに任天堂が異彩高となったことや、外国為替市場で1ドル=105円台へと円安・ドル高が加速したことが全体相場を牽引した。あすは、これにLINEの新規上場が加わることになる」との見方が出ていた。

 14日の東京株式市場は、前日の米株堅調を受けて朝方から買い優勢、途中伸び悩む場面があったものの、前場後半から買い直され、日経平均株価は高値圏で推移した。終値は前日比154円46銭高の1万6385円89銭と4日続伸。東証1部の売買代金は2兆4920億円と高水準を保った。

14日の動意株

 オールアバウト<2454>=ストップ高。
米国やドイツでの「ポケモンGO」の大ヒットを手掛かりに任天堂<7974.T>の人気が続き、これをきっかけに位置情報ゲームへの関心が高まっているが、同社では15年2月に位置情報ゲーム(位置ゲー)を開発するファイブスターズゲームを子会社化していることから、物色人気が波及したようだ。ファイブスターズゲームでは、位置ゲーとして「しろくろジョーカー」や、Tカード連動型お店づくりゲームアプリ「Tのお店」なども展開しており、「ポケモンGO」で位置情報ゲーム人気に火が付けば、同社およびオールアバウトへの関心も高まりそうだ。

 フジタコーポレーション<3370>=ストップ高。
13日発表の6月の月次売上速報は、全店売上高が前年同月比2.1%減となったが、第1四半期では0.3%増と増収を確保しており、17年3月期通期業績の2.5%減収を上回って推移していることが好感されている。同社は、北海道を地盤にミスタードーナツなどの飲食店や物販店をフランチャイジー展開。今期は出退店ゼロの予定で、売上高50億2200万円、経常利益7600万円(同27.8%増)を見込んでいる。

 エリアクエスト<8912>=大幅高。
同社はビル経営支援やサブリースなど不動産管理業務を手掛け、不動産市況の回復を背景とした空室率の改善で16年6月期業績は営業利益段階で35%増益の2億5400万円と高変化を継続、低位材料株特有の値運びの速さも短期筋の食指を動かしている。今月28、29日に予定される日銀の金融政策決定会合では追加の量的緩和の可能性が強く意識されており、不動産セクターの銘柄に思惑が巡っている。

 大和コンピューター<3816>=一時ストップ高。
13日の取引終了後、7月31日を基準日として1対1.2株の株式分割を実施すると発表しており、これを好材料視した買いが入っている。より投資しやすい環境を整えるために、投資単位当たりの金額を引き下げ、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることを目的としているという。効力発生日は8月1日。

 CSP<9740>=大幅反発。
同社は13日の取引終了後、17年2月期の連結業績見通しについて、売上高を473億円から478億円(前期比3.1%増)へ、営業利益を13億1000万円から13億9000万円(同51.2%増)へ、純利益を8億2000万円から10億円(同39.5%減)へ上方修正したことが好感されている。伊勢志摩サミットの臨時警備などが寄与したという。同時に発表した第1四半期(3~5月)決算は、売上高128億1400万円(前年同期比9.0%増)、営業利益7億4600万円(同2.3倍)、純利益5億2000万円(同59.0%減)だった。常駐警備をはじめ、機械警備、運輸警備、工事・機器販売などが伸長し、主力のセキュリティー事業が好調だったことが牽引役となった。

 TSIホールディングス<3608>=急騰。
同社は13日取引終了後、上限を200万株(発行済み株数の1.82%)、または13億円とする自社株買いを発表し、これが好感されている。取得期間は7月14日から10月13日までで、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するためとしている。あわせて17年2月期の第1四半期(3~5月)連結決算を発表し、売上高は413億5600万円(前年同期比6.0%減)、営業利益は24億300万円(同50.6%増)と大幅増益だったことも好材料視されている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想