落ち着きどころ模索する展開、売り買い拮抗で小動き

著者:冨田康夫
投稿:2016/06/27 18:17

明日の東京株式市場見通し

 28日の東京株式市場は、きょうの自律反発による大幅上昇を経て、当面の落ち着きどころを模索する売り買い拮抗の小動きが予想される。市場には、前週末に“下げ過ぎた”との思いが根強かったうえに、政府と日銀が朝方に緊急会合を開き、金融市場の安定へ向けて流動性確保などを確認したことで、機動的な対応策への期待感が買いにつながったという。

 市場関係者からは「ブレグジット(英国のEU離脱)ショックに伴う、前週末24日の主要国の株価指数下落率を見ると、ロンドン株式市場のFT100種平均株価は3.15%、米株式市場のNYダウ平均株価は3.39%といずれも3%台にとどまったのに比べ、日経平均株価は7.92%と極めてきつい下げに見舞われ、下げ過ぎとの判断からの押し目買いもあったようだ」との見方も出ていた。

 週明け27日の東京株式市場は、前週末の記録的な急落の反動から売り方の買い戻しや自律反発狙いの買いが優勢となり反発に転じた。日経平均株価終値は、前週末比357円19銭高の1万5309円21銭と大幅反発した。

27日の動意株

 ファーストリテイリング<9983>=大幅反発。
1000円を超える上昇で、日経平均上昇にひと役買った。きょうの東京市場は前週末の暴落の反動で買い戻される流れにあるが、輸出株の代表である自動車セクターや、銀行、証券株などが売られ、地合いは見た目ほど良くない。実需買いの乏しいなか、先物主導の裁定買いが全体相場の戻りに貢献している。同社株は日経平均寄与度の高い値がさ株として、インデックス的な資金流入が株価を浮揚させている状況だ。

 PR TIMES<3922>=大幅反発。
27日の午前10時ごろ、同社が運営する「PR TIMES」で配信するプレスリリースをインフォマート<2492>が提供する「BtoB(企業間電子商取引)プラットフォーム」へ掲載すると発表し、これが好感されている。「BtoBプラットフォーム」は、日々の受発注や請求業務をWeb上で行えるシステム。今回、「PR TIMES」が保有する企業プレスリリースをこのプラットフォームへ掲載することにより、担当者は取引先の最新動向をキャッチすることが可能になるという。なお、この提携でPR TIMESのパートナーメディアは計84メディアとなった。

 江崎グリコ<2206>=急反発。
岩井コスモ証券は24日、同社株の投資判断の「A」と目標株価7200円を継続した。同証券では、円高による原価低減効果などで17年3月期の業績は会社予想を上回ると指摘。具体的には、今3月期の連結営業利益は会社予想200億円に対して230億円(前期比34%増)を見込んでいる。また、国内では主力製品が好調なほか、「オフィスグリコ」など直販チャネルも拡大している。さらに、中国やタイ、インドネシアなどアジア市場の開拓にも注目している。

 大陽日酸<4091>=急反発。
同社は24日の取引終了後、米国子会社のMatheson Tri-Gas(MGT)を通じて、Air Liquideの米国での産業ガス事業の一部並びに関連する事業資産を買収することを発表、これを好感する動き。今回買収する資産はセパレートガス事業(米国東部、中西部の空気分離装置18基〈16カ所〉と炭酸ガス事業(液化炭酸ガスプラント4基)、パッケージガス事業(アラスカ州にあるAirgasの営業所3カ所)など。

 しまむら<8227>=急反騰。
同社は低価格帯の商品を積極展開し、全国で積極的な出店攻勢をかけ消費者ニーズをとらえている。スポーツウエアなどが牽引するかたちで、足もとの月次売上高も好調に推移するなか、きょう17年2月期第1四半期決算発表を控えており、好業績を先取りするかたちでリバウンド狙いの買いを集めている。

 ウェルネット<2428>=急反発。
同社は前週末、16年6月期の期末一括配当を従来計画の66円→80円(前期は50円)に大幅増額修正しており、これがポジティブサプライズとなった。同社はリアルタイムで購入代金を手数料なしで決済できる「マルチペイメントサービス」を手掛け、同サービスはその利便性から、大手通販会社向けや国内主要航空会社など幅広く導入され、成長エンジンとして注目されている。16年6月期の最終利益は前期比34%増の12億6000万円を会社側では見込んでいる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想