英の国民投票巡り波乱展開、思惑浮上で変動幅拡大も

著者:冨田康夫
投稿:2016/06/17 19:43

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、現地23日に実施される英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を巡って、さまざまな思惑が浮上する可能性があり、変動値幅の大きな展開が予想される。日経平均株価の想定レンジは、1万5000~1万6300円とする。

 英国の国民投票は、これまでの事前の世論調査の結果からも残留・離脱両派の勢力は拮抗しており、最後まで予断を許さない状況が続きそうだ。外国為替市場での円相場の変動を注視しながら、株価指数先物主導の値動きが想定される。

 市場関係者からは「外国為替市場でのポンドやユーロに対する円高進行は、“離脱”の結果を既にやや織り込んでいるともいえる。結果が“離脱”になれば、さらに円高となる可能性はあるものの、一方で“残留”となった場合には、積み上がった円買いのポジションが一気に巻き戻されて、急速な円安進行で日経平均株価が大きく戻すことも考えられる」との見方が出ていた。

17日の動意株

 エスクロー・エージェント・ジャパン<6093>=後場に入り一時ストップ高。
17日午後0時30分、17年2月期の連結業績予想の修正を発表し、売上高を20億1800万円から23億4200万円(前期比38.8%増)へ、営業利益を4億400万円から5億3400万円(同32.8%増)へ、最終利益を2億8000万円から3億6200万円(同48.4%増)へ上方修正したことが好材料視されている。取引先金融機関におけるローン借り換えの取り扱い件数が増加したことを背景に、同社への委託件数が増加。それによって、エスクローサービス(第三者寄託)におけるシステム利用頻度やBPO(業務委託)サービスでの融資関連業務の受注が当初の想定以上に増加したことが業績を牽引した。

 京セラ<6971>反発。
SMBC日興証券が17日付のリポートで、投資評価「2」を継続しつつ、目標株価を5650円から6100円へ引き上げたことが好感されている。同証券は、京セラが保有するKDDI<9433>株を売却し、株主還元に回した場合の企業価値を7000円、継続保有した場合を5200円と試算、長期的にそれぞれ実施される可能性を50%とし目標株価を算出したという。現株価は既にKDDI株の継続保有を前提とした水準にあり、PBRも1倍を割り込んでいることから、これ以上の下落は考えにくいと予想している。

 三菱総合研究所<3636>=後場に上昇加速。
同社はきょう、コミュニティネット(東京都千代田区)とプラチナ・コミュニティ型高齢者施設(日本版CCRC)の全国展開で資本業務提携すると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。日本版CCRCとは、健康時から介護時まで安心して暮らし続けることができるシニアコミュニティである米国のCCRCを参考にしたもの。両社はこの日本版CCRCを具現化するため、各地域の施設運営事業者を広く募る事業モデルを通じ、全国規模で同施設を展開する事業を立ち上げる。

 メディアシーク<4824>=ストップ高。
同社はきょう、スマートフォン向けWEB環境で最大7つの動画コンテンツを同時に再生できる世界最高レベルの高速動画配信技術「MADO」を開発し、サービス提供を開始したと発表。これが材料視されているようだ。MADOを使ったスマホ向けWEBサイトは、高画質の動画がサクサク瞬時に再生開始できるなど従来の制約を一気に解決。手軽に高品質の動画コンテンツを楽しむことができる。

 モブキャスト<3664>=ストップ高。
同社は15~16日にかけて手掛かり材料を相次いで発表しており、前日に値幅制限いっぱいまで買われた流れを引き継ぐかたちとなっている。同社は15日にマイネット<3928>と包括的業務提携契約を締結したと発表したのに続き、16日には「モンスターストライク」や「ストリートファイター2」シリーズなどを手掛けた岡本吉起氏とスマホ向け新作ゲーム「Project OK(仮)」の共同開発に着手したことを公表している。

 日本エスコン<8892>=急反騰。
16日の取引終了後、東京証券取引所の承認を受けて、6月23日付で東証2部から東証1部市場へ指定されることになったと発表しており、TOPIX連動ファンドなどによる買い需要を先取りする格好で買いが集中している。京阪神地区を中心とするマンション分譲のほか、ホテル・商業開発などを手掛けている。16年12月期連結業績は、売上高327億円(前期比18.0%増)、経常利益33億円(同5.5%増)を見込んでいる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想