株価へ織り込み先行し値固めへ、日米金融政策決定イベント通過

著者:冨田康夫
投稿:2016/06/15 19:55

明日の東京株式市場見通し

 16日の東京株式市場は、日米の金融政策決定会合の内容いかんで株価動向が大きく左右される可能性もある。ただ、日経平均株価が既に1万6000円台を割り込んでいることから、イベント通過で値固め機運が高まりそうだ。

 今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)については、多くの市場関係者が「利上げは見送られる」との見方をしており、7月以降の利上げスタンスについて、米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長の発言内容に注目が集まる。また、日銀の金融政策決定会合についても、消費増税が再延期されたことなどで、大方の市場関係者は「現状維持」との見方だが、一部には、マイナス金利幅拡大や国債買い入れ規模増加など、追加緩和への期待もある。

 市場関係者からは「参院選の公示(22日)が迫っていることに加え、現地23日の英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票結果しだいで混乱も懸念される前のタイミングで日銀の追加緩和の可能性は少ない」との見方が出ていた。

 15日の東京株式市場は、海外株安の流れを引き継ぎ朝方の日経平均株価は安く始まったものの、前場中ごろから切り返して前日比プラス圏で推移した。日経平均株価終値は、前日比60円58銭高の1万5919円58銭と5日ぶり反発した。

15日の動意株

 ショーケース・ティービー<3909>=後場ストップ高。
同社は午後0時30分ごろ、AR/VRエンジンおよびプラットフォームの開発・提供を手掛ける英クダン社と業務提携し、新商品開発のための企画および研究開発を実施すると発表しており、これを好材料視した買いが入っている。今回の業務提携は、クダン社の画像認識技術・映像融合技術と、ショーケースTVが保有する顧客基盤とWebマーケティング支援に関する技術とノウハウを融合させ、金融業界、不動産業界、EC業界などのクライアントに対して新たなソリューションを提供するのが狙いとしている。

 クリーク・アンド・リバー社<4763>=後場一段高。
C&R社が協力会社となっている中国のVR関連企業であるIDEALENS(アイデアレンズ)がきょう午後2時30分から発表会を行う予定で、思惑買いが流入しているもよう。場所は東京渋谷区の恵比寿アクトスクエアで、アイデアレンズの新商品「IDEALENS K2」の紹介や今後の戦略などが行われる予定。午後3時45分からは製品のタッチ&トライも行われるという。

 クラボウ<3106>=反発。
きょう付の日刊工業新聞で、「産業用ロボット向け画像センサーシステムの開発に着手した」と発表しており、これを好材料視した買いが入っている。記事によると、染色工場向けを源流とするカメラ画像検査システムのノウハウを投入し、「ロボットの目」をつかさどる汎用性の高いシステムとして商品化を狙うという。また、16年内にもコンセプトモデルを完成させ、長期的に50億円規模の事業に育成するとしていることから、成長力強化につながるとの見方が強まっているようだ。

 フォーシーズホールディングス<3726>=急伸。
同社はECサイトの構築支援などが発祥だが、M&Aにより化粧品などの通販に経営の重心をシフトしている。同社は14日取引終了後、16年9月期の連結業績予想の修正を発表。化粧品事業の好調が牽引するかたちで売上高を41億円から42億8000万円(前期比80.4%増)へ、営業利益を1億2500万円から2億1500万円(同2.5倍)へ、最終利益を9000万円から1億円(同3.2倍)へ大幅上方修正しており、これが大きく好感される格好となった。

 メドレックス<4586>=ストップ高。
同社は14日の取引終了後、アルツハイマー治療薬(ドネぺジル・メマンチン含有貼付剤、開発コードはMRX―5DML)について、新規パイプラインとして臨床試験を実施する開発ステージへの移行を発表、これを好感した。MRX―5DMLは、現在、非臨床試験の実施準備中で、2017年に臨床試験を開始する計画。

 ノーリツ鋼機<7744>=6日ぶり大幅反発。
今週に入り下値模索の動きを強め、5日・25日移動平均線もデッドクロス目前と下放れモードにあったが、目先切り返す展開。同社はM&Aを駆使して医療事業分野への展開に注力、この経営戦略を評価する動きがある。 直近では、「(同社は)東京大学発の人工知能(AI)開発ベンチャー、パークシャテクノロジー(東京・文京)と組み、胸部レントゲンから病状を診断するサービスを始める」と15日付の日本経済新聞が報じた。これを材料視する買いが流入している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想