円高警戒感根強く下値模索、押し目買いは限定的か

著者:冨田康夫
投稿:2016/05/02 18:25

明日の東京株式市場見通し

 6日の東京株式市場は、3連休と土・日曜日の休日谷間の営業日となる。市場参加者の懸念は、日本市場が休場中の3~5日の3日間の外国為替市場での円相場だ。日本の市場参加者が休暇中に、海外の投機筋などの売買で、さらなる円高・ドル安が進行することへの警戒感が強まっている。

 市場関係者からは「日経平均株価はきょうまでの5日続落で、終値ベース合計で1425円の急落となり、25日移動平均線(1万6595円=2日)を大きく割り込んだ。通常であれば、短期間の急落により“突っ込み警戒感”が台頭して自律反発への期待も高まるが、円相場の先行きに不透明感が強いだけに、押し目買いの動きも限定的となりそうだ」との見方が出ていた。

 2日の東京株式市場は、外国為替市場での円高加速を嫌気して売り優勢の展開となり、日経平均株価終値は、前日比518円67銭安の1万6147円38銭と大幅続落した。

2日の動意株

 九電工<1959>=逆行高。
同社が4月28日取引終了後に発表した17年3月期の連結業績予想は、売上高が3400億円(前期比9.2%増)、営業利益は290億円(同15.1%増)、最終利益は210億円(同17.3%増)を見込んでいる。前期は営業利益段階で50%の増益をみせており、これに続く2ケタ増益予想を評価する買いを呼び込んだ。また、配当は前期比15円増配の年60円を計画しており、株主還元姿勢の厚さも評価されている。熊本県を震源とした大地震を受けインフラの復興を担う銘柄群としても注目度が高い。

 ネクシィーズグループ<4346>=大幅続伸で、年初来高値更新。
TBSテレビ(東京都港区)は4月28日、ネクシィーズグループが出資しているC Channel(東京都渋谷区)と資本業務提携したと発表。これが材料視されているようだ。C Channelは、LINE(東京都渋谷区)の前社長の森川亮氏が代表を務め、ファッションやヘアメーク、フード、トラベルなどの情報を動画で紹介するサービスを運営している企業。TBSテレビとC Channelはこのほど、スマートフォン向けオンライン動画事業で業務提携を進めることで合意した。

 ユニゾホールディングス<3258>=続伸。
同社は4月28日取引終了後、17年3月期の連結業績予想を発表し、売上高は389億円(前期比20.1%増)、営業利益は130億円(同22.6%増)、最終利益は67億円(同1.6%増)と過去最高更新予想が好感されている。不動産事業では、東京都心のオフィスビル空室率低下を背景に賃料改定や新規入居獲得を目指し、収益のかさ上げを狙う。また今期に「ホテルユニゾ銀座七丁目」「ユニゾイン八丁堀」の開店を予定しており、訪日外国人観光客による客室稼働率の増加を見込んでいる。

 スタートトゥデイ<3092>=大幅高。
きょうは全般地合い悪に加え、同社株はここ高値圏推移が続いていたこともあって利食い圧力も意識される場面だが、前週28日に発表した好業績予想がそれを払拭するポジティブ材料となった。同社が展開する衣料品通販サイト「ゾゾタウン」が絶好調に推移しており、17年3月期の連結業績予想は、売上高が690億3000万円(前期比26.8%増)、営業利益は221億4000万円(同24.7%増)、最終利益は152億6000万円(同27.3%増)を計画、前期に続く大幅な伸びを見込んでいる。 

 アートスパークホールディングス<3663>=急伸。
同社が前週4月28日取引終了後に発表した16年12月期の第1四半期(1~3月)連結決算では、売上高が10億8300万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は1億7300万円(同3.6倍)、最終利益は1億3200万円(同7.7倍)と高水準の伸びを示した。これを評価する買いが集中した。同社はソフト開発を手掛け、自動運転技術などに展開するZMPと協業関係にあり、自動運転車関連の有力株としても注目度が高い。

 マルコ<9980>=ストップ高。
同社は4月28日取引終了後、5500万株の第三者割当増資を発表、全株式を資本業務提携先の健康コーポレーションに割り当て、調達資金約27億5000万円をRIZAP社の株式取得資金などに充当させる計画にあり、これを材料視する買いが集中した。なお、同日16年3月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を131億円から134億8000万円へ増額する一方、営業損益を8億円の赤字から6億円の赤字へ上方修正している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想