円高警戒し売り優勢、25日線巡る攻防に

著者:冨田康夫
投稿:2016/03/18 19:41

来週の株式相場見通し

 来週(22~25日)の東京株式市場は、引き続き外国為替市場での円相場の動きを横目でにらみながらの神経質な展開が予想される。円相場は一時、1ドル=110円台後半まで上昇し、約1年4カ月ぶりの円高・ドル安水準をつけた。現状の円相場が長引けば、円高へのさらなる警戒感から、輸出関連の主力銘柄中心に売りが継続することが想定される。日経平均株価の想定レンジは1万6200~1万7000円とする。

 ただ、米株式市場は、今後の利上げペースが緩やかになる見通しとなってきたことに加え、米原油先物価格が1バレル=40ドル台を回復したことなどを背景に、順調な上昇軌道を継続している。したがって、円高傾向に歯止めの兆しが見えれば、日経平均株価が意外に大幅な戻りをみせる可能性もある。

 市場関係者からは、「上昇トレンドに転換した25日移動平均線が、18日現在で1万6497円に迫ってきている。来週、この25日線をあっさり割り込むと、2月12日を大底としてスタートした上昇相場に黄信号が灯りかねない」との警戒感が出ていた。

 日程面では、1月の全産業活動指数(22日)、3月14・15日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」(24日)、2月の消費者物価指数、2月の企業向けサービス価格指数、気象庁3カ月予報(25日)に注目。
海外では、米2月の中古住宅販売件数(21日)、独3月のIfo景況指数、独3月のZEW景況指数(22日)、米2月の新築住宅販売件数(23日)、米2月の耐久財受注(24日)、米10~12月のGDP確定値(25日)が焦点となる。

<動意株>=フォーサイド、ブランジスタ、クルーズなど

 フォーサイド<2330>=後場一時ストップ高。
同社はきょう、子会社のフォーサイドエンタテイメントがテックビューロ(大阪市)と業務提携し、ブロックチェーン技術の実証実験を開始すると発表。これが材料視されているようだ。この提携でテックビューロが持つプライベート・ブロックチェーン技術「mijin」を、フォーサイドグループが運営するスマートフォン向け次世代SNSアプリ「Catchboard」のポイントシステムに用いる実証実験を実施する。

 ブランジスタ<6176>=後場に入りストップ高で上場来高値を更新。
昨年10月に設立されたブランジスタゲームの第一弾ゲームとなるスマホゲーム「神の手」への期待感が高まっているもよう。同社は昨年12月8日に、リリース時期は16年6~7月を予定しているが、早ければ4~5月になる可能性もあるとコメントしている。「神の手」は、リアルとバーチャルを融合させた設計が特徴。総合プロデューサーには秋元康氏が就任している。

 クルーズ<2138>=後場一段高。
同社は17日、ファストファッション通販「SHOPLIST.com by CROOZ」に、カラフル・ボード(東京都渋谷区)が提供するファッション人工知能「SENSY(センシー)」の試験導入を開始したと発表。また、同日には「SHOPLIST.com by CROOZ」アプリのダウンロード数が200万を突破したことも明らかにしており、これらが買い手掛かりとなっているようだ。

 JUKI<6440>=急反発。
17日の取引終了後、自社株取得枠の設定を発表しており、これを好感する買いが入っている。100万株(発行済み株式数の3.35%)、10億円を上限としており、取得期間は18日から12月22日まで。

 ランドコンピュータ<3924>=急伸。
同社は17日引け後、16年3月期の非連結業績予想の上方修正を発表。売上高は従来予想の71億5000万円から73億8000万円(前期比16.5%増)に、営業利益は同4億6600万円から5億5500万円(同49.2%増)に引き上げている。会社側では、ネットバンク案件や保険関連、電力小売全面自由化案件が堅調なことに加え、セールスフォース関連の受注が堅調だったと発表した。同社はあわせて、16年3月期の期末一括配当を従来予想の45円から50円に増額することも発表している。

 ロックオン<3690>=大幅高で3連騰。
「ビッグデータ」「人工知能(AI)」「IoT」などの活用に積極的で、リアルとネットを融合した企業と顧客のコミュニケーションの円滑化を事業コンセプトとしており、成長期待を背景に投機資金の買いが続いている。推定2万2000店舗以上で利用されるオープンソースのECプラットフォーム「EC-CUBE」を提供するが、ヤマトクレジットファイナンスと共同開発した 「クロネコあんしん決済サービスモジュール」を、EC-CUBEのユーザー向け決済ツールとして14日から提供しており、これが株価を改めて刺激するかたちとなっている。

※未確認情報が含まれる場合があります。株式の売買は自己責任に基づいて、ご自身でご判断ください。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想