買い疲れで見送り継続、売買代金の低下を懸念

著者:冨田康夫
投稿:2016/03/07 18:27

明日の東京株式市場見通し

 8日の東京株式市場は、手掛かり材料難の地合いが継続することが予想され、売り先行で日経平均株価は続落となりそうだ。先週の短期間での急騰に対する反動で、利益確定の売りが優勢となりそうだ。

 市場関係者からは「先週の4日続伸で、日経平均株価は合計988円高と急騰した。この急上昇で、主力銘柄を中心にやや買い疲れ感が出ている。激しい運動の後のクールダウンのような状態といえる。ただ、そのなかでも東証マザーズ指数が6日続伸となるなど、物色意欲は高水準を維持している」との見方が出ていた。

 7日の東京株式市場は、外国為替市場での円高基調などを背景に利益確定売りに押される展開となった。日経平均株価終値は、前週末比103円46銭安の1万6911円32銭と5日ぶり反落した。東証1部の売買代金概算は2兆1722億円と低水準にとどまった。

7日の動意株

 サン電子<6736>=後場一段高。
専用メガネなどを利用して人の視覚に文字や画像などの情報を重ね合わせるAR技術を深耕する動きが強まっている。そのなか、同社はAR技術で先駆するイスラエル企業2社と提携(提携先の1社であるインフィニティAR社には33.5%出資)しており、これが投機資金攻勢の背景にある。カメラを搭載して空間や物体を把握する「エースリアル」という眼鏡型のウエアラブル機器を開発、今年1月に東京ビッグサイトで開催されたウエアラブルEXPOに出展し、関係者の耳目を驚かせた。

 AKIBAホールディングス<6840>=後場急上昇。
傘下のアドテックがこの日、7日からグループ内のシステム開発ソリューションの提供を開始すると発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っている。WEBアプリケーションやスマートフォンアプリ、組み込み系ソフトウエア開発や各種ドライバの開発にいたるまでの、システムの設計、開発、運用、保守までをワンストップで提供するという。また、各種ドキュメント作成やアプリケーションテスト単体といった単発・スポットのニーズにも対応するとしている。

 東邦チタニウム<5727>=大幅高。
2月下旬から一貫した戻り相場にあり、前週末こそ一服したものの、下押し幅はわずかにとどまったことで、これが逆に売り方の買い戻しを急がせる背景となっている。スポンジチタンの在庫調整が最終段階に近づいているとの観測が強まっており、今後は増産指向にある航空機業界向けに中期的な同商品の需要後押しが見込まれる。そのなか、同社はサウジアラビアでスポンジチタン製造合弁事業のための新会社を設立したことを発表、出資比率は合弁相手先であるAMIC社が65%、同社が35%。2017年内の営業開始を予定しており、これが新たな株価支援材料となっている。

 コスモ・バイオ<3386>=ストップ高。
前週末4日の取引終了後、がん研究用抗体「抗LAT1-CD98抗体」を3月から世界に向けて発売すると発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っている。今回発売する「抗LAT1-CD98抗体」は、がん細胞の表面に高発現しているLAT1-CD98複合体を特異的に認識するモノクローナル抗体。同抗体を用いることで、これまで困難であったLAT1-CD98複合体を発現しているがん細胞の単離・濃縮を容易に行うことができるという。

 明豊エンタープライズ<8927>=堅調。
日銀によるマイナス金利導入を背景に市場金利の低下が顕著となっており、不動産セクターは調達金利の低下や住宅ローン金利引き下げなどフォローの風が強い。特に足もとは流動化ビジネスを手掛ける中小型不動産株に物色の矛先が向いている。同社は新興のマンション開発企業。賃貸アパートの新ブランド「ミハス」事業や中古マンションのリニューアル事業を積極化し業績は回復色を強めている。商いも増勢、低位材料株素地に富む不動産関連として注目が集まっているようだ。

 ハウスドゥ<3457>=反発。
同社が午前9時30分ごろに発表した2月度の月次IRニュースで、収益の柱であるフランチャイズ加盟契約数が347店(出店293店、出店準備中54店)となったことが好感されている。また、賃貸事業で利益への貢献が大きいハウス・リースバックの累計保有件数も順調に増加しており、業績押し上げ効果が期待されている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想