G20への期待で続伸、通貨安競争回避へ協調なるか

著者:冨田康夫
投稿:2016/02/25 19:38

明日の東京株式市場見通し

 26日の東京株式市場は、この日から中国・上海で始まるG20財務相・中央銀行総裁会議への期待感などを背景に、買い先行で日経平均株価は続伸を予想する。外国為替市場での円相場は引き続き1日の変動幅の大きな波乱展開が予想される。

 市場関係者からは「投資家は、G20会合での“通貨安競争回避に向けての協調”に対してある程度の期待感を持っている。もし、この協調で円高傾向に歯止めがかかれば、来週の東京株式市場は意外高の可能性もありそうだ」との見方が出ていた。

 25日の東京株式市場は、前日の米株式市場でNYダウ平均株価がプラス圏で引けたことを受け、投資家の不安心理が後退。全般は内需株中心に買い戻しの動きが活発化し、日経平均株価終値は、前日比224円55銭高の1万6140円34銭と3日ぶり反発した。

25日の動意株

 アイダエンジニアリング<6118>=大幅続伸。
ゴールドマン・サックス証券は、多くの機械メーカーの受注低迷や見通し悪化が顕在化した第3四半期決算で、同社は強い受注動向と高い利益率を維持したものの、株式市場の反応は芳しくないとリポートで紹介。ただ、リピート品を含め受注残が過去最高水準にあるため来期展望は明るく、為替の逆風も限定的と見ると解説している。同証券は投資判断「買い」を継続し、コンビクション・リストに新規採用。目標株価は1400円から1200円へ調整している。

 インテリジェント ウェイブ<4847>=急動意。
大手クレジット会社などを主要顧客に決済システム構築する。情報漏洩やサイバー攻撃防御ソフトなどを展開し、時流を捉えて業績は好調。本業の儲けを示す営業利益は、3.3倍という高変化を遂げた前期に続き、16年6月期も前期比2ケタ増益の5億4000万円を見込む。人工知能(AI)によるパターン認識技術を駆使した情報漏洩対応のセキュリティーシステムを開発するなど、AI関連としての切り口でも人気素地を内包する。

 ULSグループ<3798>=ストップ高。
同社はきょう、子会社のウルシステムズが英C24テクノロジーズと提携し、Javaプログラムのメモリー使用効率を最大500倍に高めるミドルウエア「ULFIRE Memory Optimizer」の提供を開始したと発表。これが材料視されているようだ。これはJavaプログラムの実行に必要なメモリー使用量を削減するミドルウエア。FinTech(フィンテック)やIoT(モノのインターネット)の高速処理を支える技術として期待される。

 アドヴァン<7463>=続伸。
同社は輸入建材商社だが、都市再開発の動きを背景に商業施設やマンション向け建材が好調、16年3月期は本業の儲けを示す営業利益が前期比28%増の60億円を見込んでいる。好業績を背景に株主配分も強める構え。同社は24日、16年3月期の期末配当(一括)を、従来予想の18円から25円に大幅に上乗せすることを発表、これが好感されている。前期配当実績は36円だが、同社は昨年10月1日付で1→2の株式分割を実施しており、実質は18円に換算され、前期比7円の増配に等しい。

 ODKソリューションズ<3839>=急騰。
同社は24日の取引終了後、ファルコホールディングス<4671>との業務提携を発表、これを好感する動き。ODKソリューションズはファルコホールディングスの子会社であるファルコバイオシステムズの主要な社内システム運用業務の委託や協業サービスの企画開発を行う方針。

 大井電気<6822>=大幅反発。
同社は24日の取引終了後、16年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の310億円から322億円(前期比27.3%増)へ、営業利益を9億5000万円から16億円(同3.4倍)へ上方修正したことが好感されている。今年4月からの電力小売り自由化に備えた前倒し需要があり、スマートメーター関連機器など情報通信機器製造販売事業の売り上げが大幅に増加していることが要因。また、ネットワーク工事保守の固定費削減なども寄与するという。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想