我々が見据えるべきXデーとは・・・? 2月・3月は大荒れ相場になる可能性も?

著者:津田隆光
投稿:2016/01/28 18:50

原油価格は目先“底”との専門家見方も!

日本時間本日未明まで開かれていた米FOMC(米連邦公開市場委員会)では、事前予想通り金利の据え置きを決定したものの、その後の声明文で世界の経済・金融動向を注視する姿勢を示したことで、若干の“ハト派”色が意識されたことがサプライズと言えばサプライズ。

ただし、当コラムでも繰り返しお伝えした通り、1月の騒々しいマーケットの震源地は「原油」や「上海株」「人民元」は一要素に過ぎず、本来は「世界的なリセッション環境下、本当に米国は年数回にわたって利上げできるのか?」という市場参加者の“疑心暗鬼”が主題・テーマと捉えるべき。
いわばマーケットのメインテーマである「米利上げ」の回数やペースこそが『主』であり、それを決定するために必要な判断材料としての原油価格であり、中国経済状況であり、そして米国国内景気動向であるため、これらは言うなれば『従』。

よって1月のマーケットは、いわば答えのない、もしくは変数「x」が常に変化する方程式とにらめっこしているのと同じ状況であったため、「漠たる不安」や「先行き不透明感」が常に視界不良をもたらし、市場参加者が暗中模索のトレードを行った結果とも言い表せそう。
とはいえ、足もとの相場材料において「原油」「上海株」「人民元」の3大要素については依然相場の「カタリスト」(=相場材料、触媒)となっており、しばらく目が離せない状況であることは確か。

そんな中、かつてWTI原油が1バレル125ドルを付けていた時に、同価格の30ドル台までの下落を見通した、“コモディティ王” デニス・ガートマン氏が先週金曜日の米CNBC番組内インタビューで、「現時点で原油をショート(=売り)したいとは思わない。長い間弱気を続けてきたが、その時期は終わったと思う。」との発言をし、「原油については“底”。当面(のWTI原油相場)は37ドル台を中心としたボックス相場となる。」との見通しを明らかにしました。(ただし、「株はまだ下」とのこと。)

一方で、25日発表されたロシアの2015年実質GDP速報値では前年比▲3.7%となり、事実上のマイナス成長となったのはリーマン・ショック後の2009年以来6年ぶりとのこと。これは、ウクライナ危機に伴う西側諸国の対ロ経済制裁もさることながら、資源価格に大きく依存するロシア経済にとっての原油安こそがその大きな要因。そのロシアは、経済危機阻止のために1兆7000億ルーブル(220億ドル)規模の景気下支え策を発表し、原油安に歯止めをかけることを目的にOPECとともに減産協議の必要性についても明らかにするなど、プーチン政権はロシア経済の凋落阻止に必死の様相。

いずれにしても、足もとの原油価格の動向は常にチェックをしつつ、見据える先は・・・2月10日のイエレンFRB議長の議会証言内容と次回米FOMC会合が開かれる3月15・16日。

以下余談ながら、今年はかのシェークスピア没後400年に当たる年。そのシェークスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』の中に登場する占い師の警告こそ・・・「3月15日には気を付けろ」。
我々もその警告に従い、3月15・16日の米FOMCには気を付けるべきなのでしょうか・・・?
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想