市場参加者減少で手控え、横ばい強含みの推移か

著者:冨田康夫
投稿:2015/12/21 18:14

明日の東京株式市場見通し

 22日の東京株式市場は、国内要因では天皇誕生日の祝日による休場を前にしているのに加え、クリスマス休暇入りに伴う外国人投資家の市場参加減少も想定され、売買エネルギー不足に拍車が掛かりそうだ。売り買いともに手控え姿勢は強まるものの、やや買い戻し優勢で、日経平均株価は横ばい強含みの推移が予想される。

 21日の東京株式市場は売り優勢となり、日経平均株価は一時前週末比335円まで下落幅を広げる場面があったものの、後場は、アジア株市場の堅調なども支援材料となり、買い戻しが入り次第に下げ幅を縮小した。結局、日経平均株価終値は、前週末比70円78銭安の1万8916円02銭と小幅な続落にとどまった。終値では、75日移動平均線(1万8768円=21日)割れを回避した。

21日の動意株

 ステラケミファ<4109>=急反発。
同社はフッ素化合物の大手で半導体シリコンウエハー洗浄剤向けなど高純度化合物に強い。EV市場の拡大などを背景に、リチウムイオン電池材料向け添加剤も急速に伸びており、リチウム電池関連として注目度が高まっている。16年3月期はデリバティブ評価損を計上するものの最終利益は従来見通しの1億9300万円から8億9000万円に増額修正されている。

 サンセイランディック<3277>=急反発。
同社は権利関係が複雑な土地の仕入れ販売というニッチ分野で実力を発揮し、業績成長を続ける。借地権者の底地権取得に対するニーズは強い。それは、建物の所有者である借地権者は土地の保有者である底地権者の了解なしに建物を売買できない不自由さがあるためだ。

 ペプチドリーム<4587>=後場一段高。
同社はこの日、正午にスイス・ロシュグループの米国ジェネンテック社と複数の創薬標的タンパク質に対して特殊環状ペプチドを創製する創薬研究開発を共同で実施することを目的として、ジェネンテック社およびロシュ社との三者間で創薬共同研究開発契約を締結することを発表した。

 エヌジェイホールディングス<9421>=急騰。
同社は前週末18日の取引終了後に自社株買いを発表。これを好感した買いが入っている。上限を10万株(発行済み株式数の3.73%)、または2億円としており、取得期間は来年1月4日から2月29日まで。経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とするためとしている。また同時に、ゲーム開発会社のシェード(東京都渋谷区)の株式を取得し子会社化すると発表しており、これも好材料視されているようだ。

 アイフリークモバイル<3845>=ストップ高。
同社は18日、フェイスブックの「Messenger」向けにスタンプを送信できるサービスとして、iPhone向けアプリ「Stapa!」の提供を開始したと発表。当初予定の11月からリリースが遅れていたこともあり、期待材料となっているようだ。このアプリは、デコメ・絵文字サービスの運営で培ってきたデータ分析・ノウハウをもとに制作されたiPhone向けアプリ。今後、「Messenger」にさらに緊密に統合されるよう、フェイスブック社に申請を実施する予定だとしている。

 インスペック<6656>=ストップ高。
この日朝方、同社はがんなどの病理検査などに使用する高倍率・高解像度の顕微鏡画像をコンピューターに取り込み、デジタルデータ化して病理専門医による診断や、遠隔地での診断を可能とするバーチャルスライドシステムの販売を今月から開始すると発表した。同社子会社のテラと医療用画像処理システムを手掛けるクラーロ(青森県弘前市)と共同で開発した「Fino」シリーズは、現在市場に流通しているバーチャルスライドスキャナーは1000万円前後が主流であるのに対して、400万円弱で実現したのが特徴。「医療機関や大学病院、研究施設などに初年度30~50台の販売を見込む」(テラ管理部)としている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想