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長期投資 仕込みどきなのか?

今井潔先生のブログから

映画「駅馬車」と待ちに待った朗報(11月11日号)

 映画「駅馬車」は1938年作の西部劇の名作中の名作。ジョン・フォード監督。荒野を
疾走する馬車の爽快感、乗り合わせた人たちの織り成す人間模様、そしてインデインの
襲撃。ラストには1対3の決闘。一番盛り上がるのは、インデイアンとの戦いで銃弾を撃
ち尽くして覚悟した乗客たちに聞こえる救援の騎兵隊の突撃ラッパの音。私はまだ小学
生の頃この映画を見て、あのシーンで私を含めて映画館中に巻き起こった拍手を忘れない。
後になって、西部劇では主役は死なないものとわかって拍手をしなくなったが。  
} 毎日のように恐慌だの、長期の深刻な世界大不況だのが報道される。私は金融市場
というものは10年に1回に大地震が来るもので、そのつどパニクっていたら身が持たない
ことを知っているが、それでも次のような報道は背中を寒くする。  まず私の信じる鉄スク
ラップ価格。日本鉄資源協会によると10月最終週にトン1万8000円まで下がった。6月の
ピーク価格7万4000円のほぼ五分の一。トン当たり輸出単価は7万4000円だがやはり
これだけ下がると気味が悪い。またバルチック海運指数(BDI)も6月のピーク1万1689
ポイントから10月下旬たった1292に、ほぼ十分の一になった。  海運業界から聞いた
ところでは、中国とブラジルのケンカが原因とか。中国の鉄鋼の輸出のための港頭在庫
が7000万トンに達しスペースがなくなったところで荷動きが夏に止まった。そこへブラジル
の鉄鉱石の再値上げ通告で中国側が船積みを停止。輸送数量が10%近く減少。これが
鉄スクラップと海運市況の下落の背景。なるほど。世界貿易の一時的停滞、なのかと、納得。
 もう少し聞くと、世界の荷動きは人口と所得とに連動する、と。現在の人口65億人、
荷動き78億トンで一人1・1トン。昨年は1・0トン。2005年は0・5トンだった。2030年は人口の
増勢一服といわれるが、その頃には一人1・5トンだろう、との予測だ。都市生活者が増える
と海上輸送も増える。輸入品や地方からの生活関連品などの物資も増加する、とも聞いた。
 10月8日に発表されたIMFの世界経済予測も、世界成長は2008年3・9%、2009年3・0%
と昨年の5・0%より減速はするが、マスコミの騒ぐような大不況、景気後退とはほど遠い、
先進国が低成長なだけ。新興国は昨年の8・0%が今年6・9%、来年6・1%予想。結構な
成長率だ。
 私は10月12日からニューヨークとワシントンに出張し、住宅と自動車が米国の不況の
根源で、その背景には銀行の貸し渋りがあるーという見方を再確認した。また日本のバブル
時との違い、たとえばマンハッタンのオフィス賃料は80%アップとか三倍とか、信じられない
値上げが現在でも継続していることも発見した。年内に銀行への公的資金注入2500億ドルが
効いてくると、ガソリン価格の下落と合わせると自動車販売は回復する。  そこへ騎兵隊の
突撃ラッパ! ブルンバーグの報道では9月のカリフォルニア南部(ロス、サンデイエゴを含む)
の中古住宅販売は前年比65%増。その戸数の6割は「安くなったので買った」というローン
担保流れ物件。いや、これだ、これだ。まだあとひとつ。ヘッジファンドの整理は残っているが、
大いに希望が出てきた。  映画のセリフから。アパッチの危険性のあるところに馬車を進め
るかどうか議論の中で、酔いどれ医師が言う。「わしは哲学者であり運命論者でもある。
危険と死はどこにでもある。矢に当らなくてもどうせ酒で死ぬさ」。私も同感。
あんまり破滅論者にならない方がいい。



このひとは当たり屋として昔から注目しています。
今後も注目していきます。
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