yuhsanさんのブログ

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株で生活できるでしょうか(その2)


皆さんこんにちわ。今日は昨日の続きです。

昨日まではバブルの崩壊後の暗転した人生のお話でしたが、今日はそれをいかに克服して「株でできる生活」にたどり着いたかです。

一度身についたうまい話は、簡単に変えられないものです。2000年に起こったITバブルでは、電気、通信、電子部品などの銘柄に10倍20倍となるものが続出しましたが、土地持ち会社中心の私のところには恩恵が及びません。何とか立ち直りたいと、政府の公共工事拡大に期待をかけて、土地持ち会社から土木建設会社へ持株をシフトしたのですが……。

駄目なときには、何をやっても裏目に出ます。大きな借金を抱えていたこれらの会社は、金融機関からの支援打ち切りで、相次いで倒産に追い込まれ、私の持株からも3社倒産しました。せっかく天井付近で現金化した資金を、暴落して行くボロ株の難平買いにつぎ込んでしまい、傷口を広げる結果になったのです。

弾けた後で冷静に考えると、何であんなボロ株に手を出したのだと思うのですが、その渦中にいると、株価の異常な高騰を、自分で勝手に正当化してしまっていたようです。土地バブルが弾け、金融機関の倒産劇にも、まだ頭の中から土地神話は抜けなかったようです。

2002年は、私にとって最悪の年となりました。95年に退職金をつぎ込んで設立した有限会社も、株式の評価損で大幅な赤字を出す始末。持ち株が10分の1にまで落ち込んだポートフォリオを眺めて、考えることはブルーテント暮らしか樹海行きです。頼りになるのは2か月に1回、必ず振り込まれてくる「年金」と愚痴を言わない「かみさん」だけです。

飛び出した会社の友人の助けで、社員のリクルートを手伝う仕事で本業は見つかりましたが、会社存続のコストに耐えられず、2005年、ついに会社を清算することにしました。信用の期日に追いまくられ、損切り資金捻出のために、再度親に頭を下げ借金しました。持株は思い切ってほとんどを損切りし、会社整理の資金で高配当の優良株を購入しました。株数は大幅に減りましたが、配当金は増え、小泉改革で持ち株も上昇し、06年には持株の評価額もバブル期の4割ほどにまでに回復したのです。

リーマンショックも配当金の落ち込みは軽微で、「株は売ってなんぼ」と、それほど気にしないで乗り切りました。「南の島を買っていい人と一緒に暮らす」という夢を捨てなかったことが心の支えになりました。

そして2012年からのアベノミクスで、先が見通せるようになって来ました。南の島は買えなかったものの、かみさんと年1回程度のビジネスクラスによる海外旅行と、月1回程度のグリーン車とタクシーを利用した国内観光旅行ができるようになりました。もちろんコロナがなければの話ですが、これも配当金のおかげです。

以上が、バブルで儲けバブル崩壊で失った老投資家の人生(一部には脚色もありますが)の記録です。

私は人一倍の趣味があります。物書き、株投資、旅行、登山、ゴルフなどなど。そして「思い立ったらすぐ実行」し、やる以上「プロ」を目指して頑張りました。物書きでは、作家の卵として、登山、海外旅行、ポルノ小説など全部で50点ほどありますが、売れたのは百名山登頂記録の紙の本だけです。2012年から電子書籍で始めた「波乗り投資法」では、題名を変えて18点ほど出版しましたが、売れ行きはどれも10冊ほどでほとんど売れていません。

刻々と変化してゆく株式市場にあって、投資法の基本は変わらなくても、相場観や銘柄選択などが古い情報のままでは、読者に興味を持って読んでもらえないと、内容がそれほど変わらない本を次から次へと、よく懲りもしないで出版したものだとの思いです。

とはいっても、無駄になったわけではありません。出版がどの程度影響したかは不明ですが、日本でも「投資家」という言葉が、以前のように博打打や、親の遺産で暮らしている遊び人のイメージから、アメリカのウォーレンバッフェットさんのような尊敬される投資家として定着してきたのです。これはうれしいことです。

私は、新らしい本の出版に合わせて旧版は発売を止めていますので、現在発売中の投資法は、
2018年5月に出版した「バブル大研究」
2919年1月に出版した「波乗り投資法」
2920年8月に出版した「環境対応で生き残る波乗り投資法」
の3冊のみですが、いずれも今回の表題になっている「株で生活できるでしょうか」がテーマになっています。

本来なら現在の投資環境に合わせた新本を出版したいところですが、歳でキーボードをたたく元気も失せてきました。ただ内容は、今回の投稿よりずっと詳しいので、興味のある方はご覧ください。いずれも、アマゾン社の電子書籍キンドル版として500円でご覧いただけます。

さて本の紹介も終わりましたので、表題についての私の答えです。株で生活できるかについては、基本は「ノー」ですが、次の条件が満たせば可能です。
(1)投資収入以外に、サラリー、年金、家賃収入といった基礎収入があること。
(2)投資法が値幅取りの短期投資(投機)ではなく、配当収入を目的とした長期投資(投資)であること。
(3)夢を持ちあきらめないこと。

なぜ配当金以外に生活を支える収入が必要なのでしょうか。数字を当てはめてみれば簡単です。今仮に1,000万円の資金があって株式投資を始めたとしましょう。ほかに収入がないとすると、株式投資の収益の中から年間120万円ほどの生活費がかかります。これを投資資金の中から捻出するのは大変で、投資家らのリターンが毎年12%ないと投下資金を食ってしまいます。投下資金はいったん減らすと、挽回には12%以上の収益が必要になります。私の経験ではとても無理です。定着した収入と同額の配当所得があること。それには定年時に、最低でも5,000万円の投資資金が欲しいところです。

もう一つの条件である長期投資はどうしてでしょうか。短気の値幅取りの方が簡単のような気がしますが。株式投資はいろいろ名前を変えてイメージをあげていますが、本質は国家公認の賭場であることには変わりありません。つまり勝ち組は負け組の損失によって収益を手にするのです。

短期であればあるほどこの傾向は強く、長期では薄められます。つまり長期のほうがより平和的で多くの人が収益を手にできるのです。それに長期も短期も土俵は一つ、証券取引所で相手は手ごわいファンドマネジャーです。資産、能力、機材、人材……、個人はどれをとっても歯が立ちません。土俵で横綱が子供を相手に相撲を取るようなものです。

とはいっても個人には時間という武器があります。ファンドマネジャーは1年ごとに収益が評価され、負け組のマネジャーは交代されてしまいます。個人にはそのようなことがありません。長期的な視線での銘柄選択と時期が可能となります。

果実を収穫するには、土を耕し、木を育て、そして実を収穫します。「桃栗三年柿八年」は、毎年いい果実を収穫するには、前工程と時間が必要であることを教えてくれています。株式投資はやってみないと分からないことが多く、経験がものすごく役に立ちます。経験をより多く身に着けるためにも、できるだけ若い時から投資を始めたいものです。そして夢を持ち続け、定年後は育てた木から配当という果実を収穫しましょう。

永い間ご覧いただきありがとうございました。皆さんの投資のご参考になれば幸いです。

1件のコメントがあります
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    rafinさん
    2021/11/29 05:06
    なるほど、貴重なお話ありがとうございます。
    市場には様々な種類の罠があって、気が付いたら抜き差しならない状態に陥っていることもしばしば。
    株で生活していくための条件1,2,3はとても理にかなっているように感じました。
    1,2,3の条件を満たせば、比較的に感情的にもフラットな状態でいられるのも強いですね。
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