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経済再開で物価高期待

【ロンドン=篠崎健太】国債利回りの上昇が欧州で勢いづいている。ドイツの10年物国債利回りは一時マイナス0・07%台まで上げ、約2年ぶりのマイナス脱却が視野に入る。新型コロナウイルスの感染状況の改善で規制緩和が進み、経済再開による物価上昇期待が広がっているためだ。粘り強い継続が示されてきた金融緩和策の持続性を試す展開になってきた。
 ユーロ圏の長期金利の指標となるドイツの10年債利回りは、19日に一時マイナス0・074%まで上昇(債券価格は下落)し、2019年5月以来ほぼ2年ぶりの高さをつけた。政策金利を世界最低の年マイナス0・75%としているスイスでも、10年債利回りがマイナス0・1%を上回った。春先までマイナス圏だったフランスやベルギーはプラス0・3%前後まで浮上している。
 先行して上げた米長期金利は4月以降は横ばい圏で、世界の債券市場のなかで欧州の国債利回りの上昇が目立つ。
 ドイツの10年債利回りは新型コロナ流行初期の20年3月に、過去最低のマイナス0・9%台まで下げた。リスク回避のパニック的な債券買いが一巡した後も、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和策の拡大で21年初めまでマイナス0・6%程度で安定していた。
 ラボバンク(オランダ)の金利戦略責任者、リチャード・マグワイア氏は「国債売り加速の主因はインフレ期待の高まり」と解説する。ユーロ圏で市場の物価上昇期待を測る目安となる「5年先5年物のインフレスワップレート」は1・6%と、18年後半以来の水準に上昇してきた。現在から5年後を起点として、そこから5年間の市場参加者の平均的なインフレ率の予想を示す。米国のインフレ期待上昇への追随に加え、欧州固有のマクロ要因も効いている。
 ワクチン接種が着々と進む欧州では規制緩和が進み始めた。英国では人口の大半を占めるイングランドで17日から飲食店の店内営業が許された。フランスでも19日から飲食店のテラス席が約半年ぶりに認められた。欧州景気は4~6月期から大きく浮上しそうで、債券売りを誘うインフレ期待をじわじわ高めている。
 景況感改善に伴う金利上昇との見方から、対円で1ユーロ=133円前後と約3年ぶりの円安・ユーロ高水準にある。
  
 米ゴールドマン・サックスは14日付のリポートで、ドイツの10年債利回りについて「0%の突破が予想の7~9月期から早まるリスク」に注意を促した。6月10日のECB政策理事会で資産購入ペースの緩やかな減速が決まる可能性があるとし、それに向けて一段高となるシナリオを示した。
 景気回復を織り込む金利上昇は本来自然な動きだが、コロナ禍からの経済回復を確実に支えたいECBには試練となる。3月から「かなり速いペースで」としてきた資産購入の手を緩めれば債券売りに弾みがつきかねない。さらに金利上昇が進めば「金融環境の緩和状況を長く保つというメッセージを損なう」(英キャピタル・エコノミクスのジャック・アレンレイノルズ氏)。
 イタリアの10年債利回りは2月につけた0・4%を底に、直近で1・1%前後まで上昇。ドイツ国債に対する上乗せ金利(スプレッド)も拡大するなど上昇ペースは速い。この流れが続けば債務が膨らんだ財政運営にも中長期で逆風となる。
 ドイツをめぐっては、9月の連邦議会選挙(総選挙)を控えて「緑の党の躍進にも関心が集まっている」(欧州銀のストラテジスト)。支持率でメルケル首相の与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を上回る世論調査結果が出始めており、仮に政権奪取なら環境政策の推進に向けた財政出動拡大が想定される。政治日程もにらみつつ一段高の余地を探る展開が続きそうだ。
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1件のコメントがあります
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    物価高は多方面に至り、代用など企業努力出来る事もあるが
    友人が消費者目線で言うには食べる品など企業努力が出来てないと、
    言っている要は医食同源を言っている。私も友人の意見には賛成だ。
    企業は学ぶ必要がある、ここに企業努力でとことん経済を学んでます。